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公開日:2017/12/21
フランチャイズインタビュー

コンビニオーナーから、サラリーマンへ。「元」オーナーだからこそ語れる本音、たっぷり聞いてきました。【後編】

27歳でコンビニオーナーとなり独立、起業した志水敏之さん。コンビニ経営のほか、フランチャイズのラーメン店経営、フリーの店舗プロデューサー、他のコンビニフランチャイジーでのSV(スーパーバイザー)職の経験を持ち、現在はサラリーマンとして店舗開発に携わっているユニークな経歴の持ち主。前編ではコンビニ経営時代の話を中心に伺いましたが、後編ではコンビニ経営後のキャリアについて、そして「独立」や「フランチャイズ」について率直に語っていただきました。

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<INDEX>

店舗プロデューサーとして活動していた時期も、頭から離れなかった古巣への想い。再び、コンビニ業界へ。

志水さんメイン

──共同代表を務めていた会社を退職し、ラーメン店経営、コンビニ経営から手を引いたのが37歳のときですよね。その後は、どんな仕事をされていたんですか?

志水:親戚の会社を手伝っていました。店舗の内装設計や施工をする会社なんですが、そこで営業をやっていました。

──営業ですか?それはまた意外な選択ですね。

志水:コンビニオーナーを辞めて、何をしようかなと思っていたときに、ちょうど親戚の会社が人手を必要としていたので、手伝うことになったんです。営業の勉強をしながら、いろいろな人と会ってコネクションを広げられる良い機会だなと思いました。ただ、結果的には営業というより、フリーランスの店舗プロデューサーのような感じになってしまいましたけどね(笑) 内装の営業に行っているのに、店舗側の事情をよく知っているので、ついお客様に店舗運営や経営の話までしていたんです。すると「志水さん、内装だけじゃなくて食器も選んでよ」「飲食から別の業態に切り替えたいんだけど、どんな事業が良いかな?」という感じで、内装以外の相談もどんどんいただくようになって。コンビニオーナーとしてのキャリアが役に立ったというか、そこから事業が広がっていく感覚が楽しかったですね。この時期は、本当にプレッシャーもなく自由にやらせてもらっていました。

──すごく良い環境だったんですね。そのまま、その道でキャリアを積もうとは考えなかったんですか?

志水:それは考えませんでした。楽しくやってはいたんですが、基本的に1人で行動していましたから、誰かと喜びを分かち合うようなことも少なくて、単純に寂しかったですね(笑) コンビニ時代はスタッフと一緒に「店舗」という1つのハコを共有して、みんなでつくりあげていく楽しさがあったんですが、フリーランスのような働き方になって、そういう感覚はなくなりました。やっぱり、私は「接客が好き」「人が好き」というタイプなので、日常的にいろいろな年代の仲間やお客様とコミュニケーションがとれる「コンビニ」という環境が合っていたんだと思います。それまで20年近くその業界にいましたから、ずっとどこかで後ろ髪を引かれるような思いがありました。

──それで、またコンビニ業界に戻るわけですね。オーナー時代のコネクションや、知人の紹介があったんでしょうか?

志水:いえ、たまたま入ったコンビニで社員募集の広告を見かけて、その場で電話して入社しました(笑) 前に加盟していたチェーンに復帰することには抵抗があったので、コンビニ業界に戻るなら別のチェーンで、という思いもありました。

──電話したんですか(笑) それは即戦力として歓迎されたでしょうね。そこではどのような業務を担当されていたんですか?

志水:入社したのは12店舗を経営するフランチャイジーだったんですが、そのうち6店舗の面倒をみるSVのような仕事をしていました。フランチャイジーに所属しながら、本部の戦略会議にも出席し、本部のSVの代わりに自社の店舗を指導する役割ですね。

外から見れば同じコンビニでも、中はまったくの「別モノ」。2つのコンビニチェーンを経験して感じたカルチャーの違い。

──オーナー時代とはチェーンも違えば、担当する役割も異なる環境で、初めて知ることも多かったのではないでしょうか?

志水:もちろん、オーナーのときはSVにお世話になる立場でしたから、SVの細かい仕事までは知りませんでした。自分がSVとしてクレーム処理などを担当するようになって、「こんなフォローまでしてくれていたんだ」と改めて気付かされることも多かったですね。

──チェーンの違いによるギャップはいかがですか?企業文化や経営戦略の面で、違いを感じることはありましたか?

志水:それはたくさんありましたね。同じコンビニではありますが、思っていた以上に「別モノ」という感じでした。あくまでも私の主観的な印象ですが、たとえば、経営戦略の面では、一方は「ウチはウチ」というスタンスで「自分たちのオリジナリティや思いを大切にしよう」という考え方でしたが、もう一方は競合チェーンを徹底的に意識していたように思います。商材ごとに自社との売上高を比較し、その差分を埋める・広げるためにどうすれば良いかを考える、というスタイルでしたね。
また、本部とオーナー(フランチャイジー)との関係性にもそれぞれのカラーがありました。もちろん、私自身の立場が「オーナー」と「フランチャイジーのSV」という違いがあったので、本部への印象が異なる部分もあると思いますが、一方は本部のSVとオーナーの距離が近く、経営パートナーとして二人三脚でやっているイメージ。もう一方は「オーナーを事業主として尊重する」という意識が強く、本部がちょっと後ろに引いてサポートするような関係でした。わかりやすい例で言うと、本部のSVが加盟店に通う回数。フランチャイズ加盟の契約書には、週の訪問回数が定められているんですが、本部とオーナーの距離が近いチェーンのほうがその回数が多かったですね。

──カルチャーがまったく違うので、そのチェーンに合う人、合わない人という「相性」もありそうですね。

志水:それはあると思います。人とべったり付き合うことが得意な人もいれば、ほどよい距離感を好む人もいますからね。こういう目に見えない情報は、実際に開業してみないとわからないことも多いと思いますが、コンビニオーナーになろうと考えている人は、本部がどういうカルチャーなのか、できる限り事前に調べるべきだと思います。近所のコンビニでもいいので実際に経営しているオーナーの話を聞いてみるのが一番良いと思いますよ。

──2つのコンビニチェーンを経験している志水さんならではのアドバイスですね。ちょっと話は逸れますが、20年以上にわたってコンビニに携わってきた志水さんから見て、コンビニ業界の未来はどうなっていくと思いますか?

志水:まず言えるのは、絶対になくなることはないということ。ただ、これまでは他の業種からマーケットを穫ってくる立場でしたが、スーパーやドラッグストアのコンビニ化が進む中で、逆にマーケットを奪われる立場になっていくかもしれません。それでも、30年以上かけて成熟してきた業界ですから、短期間で市場が縮小することは考えられませんし、時代のニーズに合わせながら、社会インフラとして残っていくと思います。
それに雇用の受け皿という観点でも、社会的な重要度は高いですよね。今や、コンビニ業界は本部と加盟店という範囲にとどまらず、製造、物流、設備管理など多様な業種が紐づく一大産業ですから。場合によっては、どこかのコンビニチェーンが傾いたら公的資金が入るんじゃないかというレベルですよね(笑) そのあたりの安心感はあると思います。

──業界の成長性としては、成熟しつつあるという見方ですね?

志水:出店数は、これまでのようなペースでは増えないと思います。新規出店のペースがゆるやかな局面になれば、今のようにオーナーを広く募集するのではなく、少数精鋭でやっていく時代、能力のあるオーナーが有利な時代がくるかもしれません。

──なるほど。その後、再びコンビニ業界に戻った志水さんですが、現在はコンビニから離れています。フランチャイジーのSV職を辞めた理由はなんだったんでしょうか?

志水:6店舗の面倒をみていたんですが、 結局店長を任せている社員よりも、私のほうがコンビニ経営の経験が豊富なので、どうしても「あれもやってあげたい」「これもフォローしないと」と、仕事の負担が大きくなりすぎてしまったことが一因ですかね。自分の勤務時間を振り返って「あっ」となりました(笑)40歳になってこの働き方は厳しいな、と。それで新しい仕事にチャレンジすることにしました。

「フランチャイズに加盟したら、それを一生の仕事にする」と考える必要はない。将来のキャリアはいくらでも広がる。

──そして、次のキャリアとして選んだのが、現職の会社ですね。現在はどのような仕事をされているんでしょうか?

志水:土地の仕入れから店舗開発までトータルに手がける会社で、チェーン店を展開しているお客様の「出店のお手伝い」をしています。土地・建物などを持つ不動産オーナー様と、出店を検討しているチェーン店のお客様をつなぐ役割ですね。「今度、ここのエリアに出店したいので、良い物件を探してほしい」というチェーン店側の要望を受けて動くこともあれば、私たちが良いと思った土地や物件を仕入れて、チェーン店のお客様にご提案することもあります。

──これまでのキャリアとは異なる業界での仕事ですが、今までの経験が役に立っていることはありますか?

志水:それは、たくさんあります。オーナーをやっていたときは気付かなかったんですが、店舗経営で培った感覚や経験はむしろ外に飛び出してから活きているように感じますね。たとえば、現場の視点で「この場所なら繁盛しそう」「人が来そう」という判断ができますし、地主さんと交渉するときも「元々コンビニのオーナーだったんですよ」という話をすると、グッと距離が縮まる気がします。「不動産業者の人」ではなく、「実際に店舗で働いていた人」「商売をやっていた人」という見方になるので、より身近な存在に感じてもらえるようです。「店舗経営の経験を活かして、今は開発の仕事をしている」という私のキャリアの流れも、地主さんからするとわかりやすいというか、納得感があるみたいですね。

──チェーン店の開発担当者とのやり取りにおいてはいかがですか?

志水:もちろん、コンビニの開発担当者とのコミュニケーションはスムーズというか、話が早いですね。私のほうがコンビニ業界の経験が長いので、「よくご存じですね」と言われることも少なくありません(笑)

──これまでのキャリアが今につながっているんですね。コンビニオーナー時代、ご自身が店舗開発の道に進むということは想像していましたか?

志水:まったく想像していませんでした。ただ、就職先を決めるときに、コンビニを選択しなければ、今の自分は絶対になかったでしょうね。総合病院に就職していたら、事務方のちょっとしたお偉いさんにはなっていたかもしれませんが(笑)
自分のキャリアを振り返って思うのは、「フランチャイズに加盟したら、それを一生の仕事にする」と無理に考える必要はまったくない、ということ。特に若いうちから開業を考えている人に、そう強く言いたいですね。私自身、20代でコンビニオーナーになって、今は不動産会社でサラリーマンとして働いていますが、先ほどもお話しした通り、コンビニ経営時代に身につけたことが、すごく活かせています。まったく別の業界でも、自分の強みやスキルは活かせる。そのことを改めて実感しました。

──志水さんの経歴を見ていると、若くしてフランチャイズのオーナーを経験したことが、その後のキャリアの可能性を広げているように感じます。

志水:私自身そのように感じていますが、結局は、「その人次第」だと思います。フランチャイズの場合、本部のサポートがあって、特にコンビニの場合はなにからなにまで本部が面倒をみてくれるので、「自分が事業主である」という意識をしっかりと持っていないと、経営者の視点が身に付きません。受け身の姿勢ではなく、「自分なりに工夫してみよう」「情報を取りにいこう」「人脈を広げよう」といった主体的に動ける方であれば、長いキャリアの「ホップ・ステップ・ジャンプ」の「ホップ」として、フランチャイズのオーナーは最高の環境だと思います。

──フランチャイズの場合、あまり「人脈が広がる」というイメージはありませんが、それもオーナーの意識次第ということでしょうか?

志水:私の場合は、異業種の経営者が集まるような交流会や、地元の経営者の集まりなどにも積極的に参加していました。経営者として見識を広げられる良い機会でしたし、その場でお店の宣伝もしていました。
それから、アルバイトスタッフとのつながりを大事にするようにしていましたね。スタッフは定期的に入れ替わるので、長くやっていると地元のコネクションが自然と広がっていくんですよ。学生だったアルバイトスタッフが、今は金融機関に就職して活躍していたり、フランスに移住していたり、色んな道に進んでいます。今でも当時のスタッフと連絡をとって情報を得ることも多いですね。

──このインタビューを読んでいる方の中には、フランチャイズへの加盟を検討している方も多くいると思います。志水さんが思う「フランチャイズオーナーに向いている人」とはどういうタイプですか?

志水:第一に「人が好き」ということですね。私自身そういうタイプですが、「人と接すること」や「人に気を配ること」が好き・得意という人はフランチャイズオーナーに向いていると思います。フランチャイズの場合、ビジネスの土台はしっかりとあるわけですから、オーナーとしてやるべきことは、とにかく本部・お客様・従業員と円滑にコミュニケーションをとることなんです。言わば、「人へのサービス業」と言ってよいと思います。オーナーを中心に、人間関係がうまくいっている店舗は、経営もうまくいっていることが多いですね。「人が好きか、お金が好きか」と聞かれて、「人が好き」と言える人に、きちんとお金が巡ってくる仕組み。それがフランチャイズという事業形態だと思っています。

──なるほど。今日はとても面白いお話をありがとうございました。最後に1つだけ質問させてください。もし志水さんが今後フランチャイズのオーナーになるとしたら、どんなビジネスをやってみたいですか?

志水:まだ一般的にフランチャイズのパッケージになっていないようなビジネスをやってみたいですね。具体的な業種を挙げることは難しいですが、たとえば、海外の顧客を相手にグローバルに取引できるようなビジネスなどに挑戦できたら面白いかな、と。ただ、これはあくまで空想の話ですよ。まだ入社したばかりの新人ですから、まずは今の会社で実績を出すことが一番の目標です(笑)

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志水 敏之

大学を卒業後、コンビニフランチャイジーに就職。店長を経験後、27歳でコンビニオーナーとして独立。その後、前職の先輩と共に会社を立ち上げ、共同代表としてコンビニ5店舗、ラーメン店1店舗を経営。37歳でコンビニ経営から離れ、フリーの店舗プロデューサー、フランチャイジーでのコンビニSV職を経験。2017年7月、まちづくりコーポレーション株式会社に入社し、現在は土地の仕入や店舗開発などを担当。土地オーナー・テナント双方に利益を創出することを目指している。
まちづくりコーポレーション 企業サイト

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