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公開日:2018/11/28
フランチャイズインタビュー

お笑い芸人響・長友光弘が語る、副業で始めたFCラーメン店がヒットした理由

芸能人が飲食店をオープンすることは珍しくありませんが、それがフランチャイズチェーンとなると、事例はぐっと少なくなるのではないでしょうか。

お笑いコンビ「響」の長友光弘さんは、おかっぱ頭にセーラー服を着た「ミツコ」のキャラクターで一躍お茶の間の人気者に。人気芸人の仲間入りを果たしました。芸人として活躍する一方、2014年に自身の出身地・宮崎でラーメン屋「暖暮」のフランチャイズ店をオープンし、翌年には年商5,800万円を売り上げるなど、オーナーとしても成功を収めています。

なぜ長友さんはフランチャイズでお店を始めようと思ったのか。そして、数ある業種のなかからラーメン屋を選んだのはなぜか。開業までの経緯やフランチャイズ加盟のメリット、経営におけるこだわりを教えていただきました。

お笑い芸人響・長友光弘が語る、副業で始めたFCラーメン店がヒットした理由

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「ミツコ」が世に出た瞬間、副業をやらなきゃと思った

「ミツコ」が世に出た瞬間、副業をやらなきゃと思った

──ラーメン屋を始めようと思ったきっかけを教えてください。

長友:ミツコというキャラクターがウケて、テレビに出してもらえるようになった瞬間に、副業をやらなきゃと思ったんですよね。こんなガッチガチに設定を固めたキャラクターは、当初はウケていても長続きしないとわかっていたので。

でも、世間にぼくの顔は知られちゃったから、アルバイトも簡単にはできない。だから何かお店を開きたいと思ったんです。どうせやるなら好きなものがいいので、飲食店だなと。そのなかでも、いちばん好きなものは何かと考えたらラーメンで、好きなラーメン屋を考えたら「暖暮」だなと。フランチャイズをやっていることは知りませんでしたが、とにかく「暖暮」でお店を持ちたいと思ったんです。

それで、ありがたいことに全国ネットに出る機会が増え、交友関係も広がったので、このコネクションを使って暖暮の社長に辿り着けないかと、いろんな人に「暖暮の社長に会いたい」と話していました。

そんなとき、ある先輩芸人の方に飲もうと誘われて、お店に行ったら暖暮の社長がいらっしゃって。先輩芸人の方がお知り合いだったらしく、連れてきてくれたんですよ。

──めちゃくちゃラッキーですね!

長友:そのときに「ぼく、暖暮めっちゃ好きなんです」「地元の宮崎で暖暮やりたいんです」っていう話をして。ただ、当時はミツコの忙しさがピークで、ラーメン屋を開業できる状態ではなかったんです。

その後もラーメン店をやりたいという話はしていたんですけど、開店資金で2,000万円くらいかかると言われて。当然そんなお金はないじゃないですか。

でも、ちょうど仕事が落ち着いてきた頃に、社長から、「暖暮の社員が独立して店を出したいと言ってるから、一緒にやらないか」と声をかけてもらったんです。「お金も銀行から借りられるぞ」って。

それで、共同オーナーというかたちで、暖暮の社員2人とぼくの3人で、1店舗目をスタートしました。いまは社員の1人が本社に戻ったので、2人で運営しています。

──フランチャイズチェーンの本部と近い関係性から、独立・開業をスタートできたら安心ですね。

長友:そのおかげでぼくもお店を持つことができたというか。これが個人店だったら、誰にも相談できないし、すべて自己責任じゃないですか。

人手不足のときは、ほかの店舗からスタッフを借りることもできますし、縦にも横にもサポートしてもらえる。本当にフランチャイズでよかったなって思います

──個人で飲食店を立ち上げることは考えなかったんですか?

長友:個人店と比べた場合、やっぱりフランチャイズは楽なんですよ。人気メニューを他店から教えてもらえるし、食材の仕入先を開拓しなくてもいい。何よりほかのオーナーさんとの情報交換の場も設けてくれるのが良いですよね。横のつながりはとても重要ですから。

あと、「自分だけの味を一人でストイックに追求したい」みたいな確固たるプライドがなければ、フランチャイズのほうがメリットが多いと思うんです。そもそも、ぽっと出の料理の素人がプロの料理人さんに味で勝つのは、なかなか難しい。だったらプロがつくったメニューをお金で買ったほうがいいと、ぼくは思います。

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フランチャイズで儲けたいなら、1店舗だけでは難しい。多店舗展開を必ず視野に入れておく

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──宮崎で出店したのは、長友さんの地元で土地勘があるからですか?

長友:それもありました。ただ宮崎は、外のものをなかなか受け入れにくい県民性で、県外のラーメン屋さんもあまり入ってきていないので、運営は簡単ではないだろうなとは思っていました。

──長友さんのお店には、どのようなお客さんが訪れるんですか?

長友:いまでこそ地元の人も通ってくれるようになりましたが、はじめのうちは、県外から引っ越してきた人や、出張などで来られた人が多かったですね。

暖暮は福岡を拠点に全国展開していて、東京や神奈川にも店舗があるので、食べ慣れた暖暮の味を求めてうちの店に通ってくれる人もいるんです。某牛丼チェーンじゃないですけど、やっぱり食べ慣れた味っていうのは、安心できるんじゃないかなと思います。

──宮崎のなかでも、出店場所はどうやって決めたんですか?

長友:宮崎は車社会なので、お客さんは駐車場がないお店にはほとんど行きません。じつは1店舗目をつくったとき、駐車場が5台しか停められなくて、たくさんのクレームをいただいたんです。オープン直後は1日700人ものお客さんに来ていただいたんですけど、食べたくても車が停められないって、帰ってしまわれたお客さんもいたんです。

だから2店目をつくるときは、店舗だけでなく駐車場のこともしっかり考えました。いま借りている場所は、大型ショッピングモールにつながる道沿いにあって、車24台が停められる駐車場があります。

──1店舗目から2店舗目は、どのくらいの期間で出店したんですか?

長友:約1年ですね。本当は半年くらいで出そうと思っていたんですけど、物件が見つからなくて。もともと1店舗だけでビジネスになるとは考えていないので、少しずつお店を増やしていって、10年後に10店舗くらいまで増やしたいですね

──やっぱり1店舗だけで儲けるのは難しいんですか?

長友:そうですね。ぼくは、1店舗で儲けようと思う人はフランチャイズに向いてないと思います。フランチャイズの場合、加盟金もあるし、売上の何%かは毎月ロイヤリティーとして払わないといけません。そういう出費があるなかで、1店舗だけで大きく儲けるのは難しい。

店を増やせば、お客さんからの認知度も上がるし、それに伴って売上も増えますよね。だから、ちゃんと儲けたいなら、最初から多店舗経営を視野に入れておくと良いと思います。

──いま、経営は順調ですか?

長友:赤字は出てないくらいですね。まだ融資の返済があるので、利益が出たらぼくの報酬も含めて返済に回してるんです。だからオープンしてからいままで、ぼくは報酬を一切もらってないんですよ(笑)。おかげさまで、いまでも芸人として食べさせてもらえているので、早めに返済して、次の店舗をつくりたいなと。オーナーとしての報酬は、5店舗目くらいからでもいいかなって。

──長友さんは、オーナーとしてどれくらい収入を得たいと考えていますか?

長友:ぼくの収入としては、1店舗あたり月10万円もらえれば充分だと思っています。それでも、5店舗やれば毎月50万円、10店舗やれば毎月100万円入るわけですからね。理想としては、どれだけ売り上げても、ぼくは10万円しか取らないから、あとは店長とアルバイトが持っていっていいよと言える環境にすることです。

ぼくは、店のなかで、店長がいちばんお金をもらえる状態にしたいんです。それができれば、バイトの子たちはオーナーよりも店長になりたいと思うじゃないですか。店長になりたい人が育てば、ぼくはまたお店をつくればいい。

結果として、スタッフの離職も防げるし、ぼくの収入にもつながるので、いいことしかありませんよね。ただ、これはぼくが副業としてやっているから言えることだとは思います。

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フランチャイズオーナーは、
決断力と適度に自分の意見を主張することが大事

フランチャイズオーナーは、決断力と適度に自分の意見を主張することが大事

──フランチャイズのオーナーにはどういう人が向いていると思いますか?

長友:周囲に気を使って、言いたいことを言わないような「いい人」は向いていないと思います。

フランチャイズは、本部がこうと言ったら、否応なしに従わなきゃいけない場合も多い。やりたくないことだってやらなきゃいけないこともありますよね。

うちのチェーンはわりと意見を言いやすい環境ですけど、もしそうじゃないフランチャイズチェーンで、オーナーがいい人だったら、自分の意見をはっきりと言うことは難しいと思うんです。

本部から言われたことを甘んじて受けて、一歩でも間違えたら、その責任は全部自分に来る。多少わがままなくらいが、フランチャイズでは成功するのかもしれません。

──自分の意見を主張しないままでいると、本部の言いなりになってしまう可能性があると。

長友:そうです。オーナーが従うだけのスタンスでいると、本部が悪い方向に行ってしまったときに、どうしようもないので。だから本部選びは重要ですよね。

あと、どうしても経営判断でアルバイトの子を解雇しなきゃいけない場面もあると思うんですけど、いい人はいままでのつき合いがあるからとかで、踏み切れないこともあると思うんです。店の利益を考えたときに解雇したほうがいい場合は、思い切って決断しないと。

──長友さんは、第一号店をすでに閉店されているんですよね。

長友:はい。駐車場の問題があったので、いったん飲み屋街に移転したのですが、人手不足でサービスを提供できないという問題に直面して、最終的には閉店する判断をしました。そのへんの決断ができる人がいいですよね。

味か、接客か。フランチャイズで客足が遠のく原因は2パターンしかない

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──飲食店は流行り廃りがあると思うんですけど、それに左右されないように、何か対策はしていますか?

長友:ぼくの場合、オープン時はミツコの知名度もあって、たくさんのお客さんに来ていただきましたが、いまは当初から比べると落ち着いています。でも、最初からいまの感じを見越してやっていたので、特に心配していません。

なぜなら、ほかの店舗の数字がすでにデータとしてあるので、それと比較すれば予測が立てられるんです。ほかのオーナーからも、最初はすごい客が来ると言われていたし、そのへんは予想通りでした。既存のデータをもとに先の展開が予測できるのは、フランチャイズの強みだと思うんですよね。

もし下回った場合も、フランチャイズの場合は原因がわかりやすくて。お客さんが減るということは、駐車場が少ないみたいな要因がない限りは、基本的に味が落ちたか接客がまずいかの2パターンしかない

メニュー自体は変わってないから、味が落ちてないかだけチェックしておけばいいし、逆に味が変わってなければ、原因は接客になるので、そこを正せばいい。

──なるほど。たしかにわかりやすいですね。

長友:ただ、一回客足が落ちると、戻るのに時間がかかるんです。悪い噂はすぐまわるので。だから、下がる前の段階で止められたらベストだと思います。ぼくはいつも店に立てるわけじゃないので、その辺は店長に気をつけてもらうようにお願いしています。

芸人とオーナーの仕事。
二足のわらじは、共通しているやりがいがある

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──長友さんがラーメン店を経営していてやりがいを感じるのは、どんなときですか?

長友:やっぱり宮崎に帰ったときに、「暖暮行ってます」って言われるとうれしいですね。それと、ぼくは宮崎に帰ったときは、セーラー服を着て、店がある道路沿いに立って、走る車に手を振ってるんですよ。そうするとみんな「お帰り~」とか言ってくれて、何日後かに食べに来てくれるんです。

バイトの子には、お店にぼくがいるときは、お客さんに「写真撮りましょうか?」って言うように指導しています。そうすれば、お客さんはぼくと一緒に写真を撮れる喜びもあるし、なによりバイトの子に対して「仕事できるな」って思ってくれる。

そうやってバイトの子がお客さんを喜ばせる楽しさを感じてもらいながら、成長してくれるといいなって思いますし、ぼくを介して誰かが幸せになってくれることもやりがいですね。

──そこは芸人と通ずるところがあるんでしょうね。

長友:そうですね。人を笑顔にするって、難しいじゃないですか。でも、ミツコというキャラクターでお客さんの前に出れば喜んでもらえる。それに加えて、自分がやっているラーメン屋で、お客さんがお腹いっぱい食べて、笑ってくれて。

「子どもがおいしそうにスープを飲んだんですよ」とか言われると、まぁうれしいですよね。やっぱり人が笑顔になっているのを見たいんです。

それに、お笑いのときよりもラーメン屋のほうがお客さんとの距離が近いから、ダイレクトにお客さんの声を聞けるのもいいですよね。お客さんも、ぼくのことを友達みたいに思ってくれるので、お店にいるときは、普通にお客さんの隣に座って喋っていることもあります。

だから東京のテレビ局がうちのお店に取材に来ると、みんなビックリするんですよ。ぼくとお客さんが親しげにしているのを見て、「あれ、まだ人気あるんですね」とか言われて。「失礼だろ!」って(笑)。

──人を笑顔にするという部分において、やりがいの大きい仕事なんですね。お店を経営していくなかで大変なことはありますか?

長友:クレームはしょっちゅういただいていますよ。提供が遅いとか、順番間違えちゃったとか。そういうときは、「ミツコ」というキャラクターとして謝るギャグを持っていてよかったなって思います。「え、謝ればいいんですか?」ってお客さんに言うと「あのギャグを言ってくれるの!?」って逆に期待されますし、「どうもすいませんでした!」って言ったら大抵は笑って許してくれるので(笑)。

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※2018年11月時点の情報です

長友 光弘(ながとも みつひろ)

1978年生まれ。宮崎県出身。お笑いコンビ「響」のボケ担当。地元宮崎にて、ラーメン屋「暖暮」のオーナーとして店舗を経営する。ほかに、ダーツのプロ資格も取得。

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