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公開日:2024/3/28
フランチャイズ研究

保育園をフランチャイズで開設するメリット・デメリット、必要な準備など合わせて解説

日本は少子高齢化が続いているものの、女性の就業率の上昇傾向に伴う共働き世帯の増加によって、0歳から子どもを預けられる保育園の需要は高まっています。保育事業における開業を志す人にとって、この状況は追い風と言えるでしょう。

保育園を開設する際には、フランチャイズという選択肢があります。この記事では、保育園のフランチャイズ開設のメリット・デメリット、必要な準備、成功のための本部選びなどについて解説します。保育園開設の夢を実現するためのガイドとして、ぜひ参考にしてください。

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保育園のフランチャイズ経営とは

フランチャイズとは、本部と契約を結び加盟店となることで、加盟金やロイヤリティの対価として、事業運営にまつわる様々な権利やサポートを受けられる仕組みです。保育園のフランチャイズも同様で、保育園運営のフランチャイズ事業を行う本部に加盟することで、そのブランド名で保育園を運営できるようになります。

一から保育園を立ち上げる場合に考えられるリスクやコストを軽減し、本部の経営ノウハウやブランドの信頼性を活かして保育園運営をスムーズに行うことが可能です。

フランチャイズに加盟して保育園のオーナーになる

フランチャイズ本部と契約すると、保育園経営に必要なノウハウや管理システム、保育サービスのカリキュラムなどを提供してもらえます。オーナーはこれらのサポートを受けながら自身の保育園を運営できるため、業界未経験者でも安心して事業を始めることができます。ただし、本部のブランド名を利用したり、様々なサポートを受けられる対価として、オーナーは本部へ一定のロイヤリティを支払う必要があります。

オーナーとしての仕事内容

保育園のフランチャイズオーナーとしての仕事内容は多岐にわたります。業界未経験者や保育士などの資格を持っていない人でもオーナーになることはできますが、日々の運営を円滑に行うには経営に関する業務だけでなく、保育士の採用や教育、園児の募集なども行う必要があります。

ただし、オーナー自身が保育園の園長としてサービス提供に従事するか、専業の園長を雇用してオーナー自身は経営に専念するか、どちらのパターンを選ぶかによって仕事の領域はやや異なるでしょう。いずれの場合も、フランチャイズ本部から提供される経営ノウハウを活かしながら、地域の保護者に信頼される保育園運営が求められます。

保育園には種類がある

まず、保育園の運営形態には「公立」と「私立」があります。公立保育園は市区町村が運営し、保育士などの職員は地方公務員の扱いになります。一方私立保育園は、社会福祉法人や株式会社、NPOなどの民間法人が運営し、フランチャイズ経営もこれに該当します。また、公立保育園の中には運営を民間に委託する形の「公設民営園」もあります。

さらに、保育園は大きく「認可保育園」と「認可外保育園」の2つに分類できます。これらの違いは、厚生労働省が定める基準をすべて満たしていると公的に認められた保育園かどうかです。認可保育園は国からの補助金が受けられますが、認可外保育園の場合は、事業所内保育施設等の一部例外や各自治体で独自の補助金が制定されている場合を除き、補助金の支給はありません。

このように保育園にはさまざまな種類があるため、保育園を開設するには、それぞれの特徴を理解することが必要です。

認可保育園の特徴

認可保育園は、厚生労働省の定める一定の基準を満たし、都道府県知事の認可を受けた保育園です。保育園の開設にあたっては、一般的に各自治体の待機児童状況や予算規模に応じて行われる公募(※地域によって公募でない場合もあります)の確認、また自治体担当部署との事前協議が必要で、施設の面積や職員の人員配置、衛生管理などにおいて厳しい開設基準が設けられています。また、保育料の金額は各自治体によって定められており、立地についても自治体や地域の要請に沿って検討する必要があります。

そのため開設は容易ではありませんが、一度認可を受ければ国からの補助金を受けられるうえに、認可外に比べて保護者からの信用度が高く、入園希望者を集めやすい点で、経営は比較的安定するというメリットがあります。ただし、自治体によっては設立の条件を揃えるまでに時間がかかり、保育園開設までに2~3年の期間がかかるケースも少なくありません。

小規模認可保育園の特徴

小規模認可保育園とは、2015年に施行された「子ども・子育て支援新制度」にもとづき新設された、新たな認可保育園の種類です。小規模認可保育園は、0~2歳の子どもを対象に、定員が最大19人と規定されています。認可保育園に比べて開設のハードルが低いとされている点が特徴です。小規模ゆえにある程度ニーズがある地域では園児が集まらないと悩まされることが少なく、経営面での安定は担保されやすいと言えるでしょう。

認可外保育園の特徴

認可外保育園とは、国や自治体の定める基準を満たしていない、もしくは満たしていても認可を受けていない施設のことです。原則として国や自治体からの補助金は支給されませんが、自治体によっては独自の補助金制度を設けているケースもあります。

認可保育園ではフォローしきれない保護者のさまざまなニーズに合わせて、夜間保育や自宅保育といった柔軟な運営や、特別な幼児教育カリキュラムなどが行われている点が特徴です。認可保育園よりも運営の自由度が高く、付加価値のあるサービスを提供できることから、保育料は高めに設定する傾向にあります。保護者に十分なメリットを感じてもらうことができれば、スムーズに入園希望者を集められるでしょう。

また、認可外保育園は、認可保育園に比べて国や自治体による制限が少ないため、開業までの準備期間が短くて済むのが一般的です。ただし、認可外保育施設指導監督基準を満たす必要があり、自治体による立ち入り調査などが行われることは理解しておきましょう。

上記以外の保育園や保育所の種類

認可保育園と認可外保育園のほかにも、以下の通り、さまざまなタイプの保育園や保育所、保育サービスが存在します。

● 認証保育園
● 企業型保育園
● 院内保育室
● ファミリーサポートセンター
● ベビーシッターサービス
● 保育ママ

保育園のフランチャイズ経営を考えるにあたっては、地域社会や保護者のニーズを汲み取り、多種多様な保育サービスから最適な運営を行えるフランチャイズ事業者を選びましょう。

保育園をフランチャイズで開設するメリット

保育園のフランチャイズ経営は、個人での開業に比べてさまざまな面で有利な点が多く、特に初めて保育事業に参入したい方にとっては魅力的な選択肢の一つです。具体的なメリットを解説します。

開業しやすく経営も安定させやすい

フランチャイズで保育園を経営する最大のメリットは、開業まで比較的スムーズであり、経営も安定させやすいことです。

個人で保育園を開業しようとすると、立地の選定や設備工事の手配、行政手続き、人材採用、カリキュラム策定など、すべてをオーナー自らが行う必要があります。しかしフランチャイズ経営であれば、フランチャイズ本部からすでに成功している既存施設の経営ノウハウの共有など、さまざまな開業・運営サポートを受けられます。そのため経営未経験者であっても、リスクを最小限に抑えながら滞りなく事業を始めることが可能です。

さまざまなサポートが受けられる

前述の通り、フランチャイズ本部からは開業前の準備期間はもちろん、開業後の施設運営においてもあらゆるサポートをしてもらえます。オーナー自身や雇用した保育士に対して研修の場が設けられることも多く、保育園運営に欠かせない知識やスキルを効率的に習得できます。

運営資金の調達や資金繰りについてはオーナーが責任を持って行う必要がありますが、経営ノウハウの共有やアドバイスをもらいながら経営を行えるため、初めての独立開業でも安心して挑戦しやすいと言えるでしょう。

本部の知名度、ブランド力を利用できる

フランチャイズ本部の持つ知名度やブランド力、実績をアピールすることで、入園希望者の確保や保育士の採用がしやすくなる点もメリットとして挙げられます。保護者にとって、大事な我が子を預ける保育園選びは非常に重要です。信頼性や実績は保育園選びの基準になるため、存分にアピールすべきポイントと言えます。

また、保育士の採用においてもフランチャイズ本部の知名度によって求職者を集めやすく、研修制度の充実などのメリットを謳うことができます。

認可保育園では国や自治体の補助金がある

認可保育園をフランチャイズで開設する場合は、国や自治体からの補助金を受けられます。補助金を運営コストの補填や設備投資、本部へのロイヤリティ支払いなどに充てることで、財務的な負担が軽減できるため、経営の安定化につながります。

保育園をフランチャイズで開設するデメリット

フランチャイズで保育園を開設することには多くのメリットがある一方で、理解しておくべきデメリットも存在します。ここでは、保育園フランチャイズ経営の主なデメリットを2つ紹介します。

オリジナリティを出すことは難しい

フランチャイズで保育園を運営する最大のデメリットは、経営方針にオーナー自身の独自性を出しづらいという点です。フランチャイズに加盟すると原則として本部が定めた経営方針に従う必要があるため、個人での独立開業に比べて経営の自由度は制限されます。

特に、独自の保育理念や特色あるプログラムを取り入れたい場合、本部の方針と合致していなければ思い通りに実現できない可能性が高いと言えます。フランチャイズ本部を選ぶ際には、自分自身の経営方針と大きくかけ離れている点がないかを事前に確認した方がよいでしょう。

ロイヤリティが負担になる場合がある

もう一つのデメリットとしては、本部へのロイヤリティの支払いが発生する点が挙げられます。フランチャイズ契約を結んだ場合、すでに確立されたブランド力やノウハウを活用し、保育園運営に関するさまざまなサポートを受けられる対価として、継続的にロイヤリティを支払う必要があります。そのため、経営がうまくいかないと資金繰りに影響を与える可能性があります。

保育園をフランチャイズで開設する流れ

フランチャイズで保育園を開設するまでの一連の流れと必要な手続きについて説明します。

大まかな流れ

保育園開設までの具体的な流れは以下の通りです。

1.フランチャイズ本部への問い合わせ
2.説明会、面談
3.審査、加盟契約
4.立地選定、物件契約
5.設備、内装の準備
6.行政手続き
7.運営研修
8.保育士、スタッフの採用
9.園児募集
10.開園

まずは関心のあるフランチャイズ本部に問い合わせをして、情報を集めることから始めましょう。その後、本部が開催する説明会に参加し、事業内容やサポート体制、ロイヤリティの詳細などを把握します。同時に個別面談を通じて、自分自身が思い描く経営のあり方と本部の方針が合致するか確認してください。条件が合えばフランチャイズ本部の審査を受け、加盟店として契約を結ぶのが一般的な流れです。

次に保育園を開設する立地を選定し、物件を契約します。立地は事業の成功を左右する重要な要素となるため、本部が物件探しをサポートしてくれるケースもあります。物件が決まったら設備や内装の工事を行い、保育園として適切な環境を整えます。

また、自治体への届出や許認可申請などの必要な行政手続きも進めます。手続きには時間がかかる可能性もあるため、余裕を持って計画的に行いましょう。これらの手続きについてもフランチャイズ本部のサポートが受けられると、初めての開業でも段取りよく進めることが可能です。

手続きがひと段落して保育園開設の見通しが立ったら、研修で本格的に運営ノウハウを学びながら、保育士や事務スタッフなどの採用や教育に取り掛かりましょう。同時に入園希望者を募集し、すべての準備が整ったら、いよいよ保育園開設となります。

必要な手続き

保育園の開設にあたっては、以下のような行政手続きが必要です。フランチャイズ本部が手続きをサポートしてくれるケースもありますが、どんな手続きを行うのかは最低限理解しておきましょう。

● 保育園設置の届出
● 保育園の認可申請
● 建築基準法に関する審査手続き
● 衛生管理、防火安全管理
● スタッフの雇用関連

まずは保育園を開設する地域の市区町村に、児童福祉施設設置届を提出します。なお、認可保育園の場合は、自治体の公募(設置枠数や申請要件あり ※地域によって異なります)を確認のうえ申請し、自治体との協議や審査を経て、児童福祉施設設置認可申請書の提出をはじめとする諸申請・手続きを行うのが一般的です。

また、保育園の施設が建築基準法を満たしているか、衛生管理や防火安全管理が整備されているかなどの自治体による審査を受けます。必要な申請書類や手続きの流れに関する詳細は、あらかじめ各自治体に問い合わせて確認することをおすすめします。その他、保育士などの雇用手続きもあわせて行いましょう。

※参考:東京都福祉局「認可保育所の条例・規則・要綱」

保育園をフランチャイズで開設 | 必要な準備

フランチャイズ形式で保育園を開設する際には、最低限必要な準備があります。

必要な費用の種類

保育園の規模や契約するフランチャイズ本部によって必要な費用は異なりますが、開業資金とランニングコストについて十分なお金を準備しておきましょう。

開業資金

開業資金は、フランチャイズ本部に支払う加盟金や保証金をはじめ、保育施設の物件取得費や内装工事費、スタッフの採用・教育費用がメインになります。特に物件取得費や内装工事費は規模や設備の充実度によって大きく変動するため、300~1,500万円を見込んでおきましょう。

ランニングコスト

ランニングコストには、保育士の人件費や水道光熱費、そしてフランチャイズ本部に支払うロイヤリティなどが含まれます。保育士は複数人雇用する必要があるため、人件費が運営費の7~8割を占める最も大きな支出になります。

また、開業から数カ月は売上が安定しない可能性もあるため、数カ月分の支出をカバーできるだけのランニングコストを準備しておくことをおすすめします。

オーナーの保育士資格や実務経験は不要

オーナー自身に保育士の資格や実務経験がなくても、保育園の開設は可能です。ただし、自治体に開設申請を行うにあたって法的な要件や基準を満たす必要があります。

保育施設の準備

フランチャイズ本部と連携し、周辺の保育施設の状況や保護者のニーズを踏まえて、保育園の規模や立地などを検討します。特に立地は保育園経営の成否に大きく影響するため、なるべく好条件の物件を探し出すことが大切です。

また、物件決定後の設備工事においては、自治体の定める基準に沿って、子どもたちが安全かつ快適に過ごせる空間づくりを行います。保育施設の規模が大きければ、その分工事費用も多くかかります。資金が不足することがないように、予算に見合った規模の物件を選ぶとともに、余裕のある資金計画を立てておきましょう。

保育士の採用・教育

認可保育園か認可外保育園かにかかわらず、保育園の運営にあたっては保育の質を担保する目的から、子どもの年齢ごとに必要な保育士の人数が決められています。

近年保育士の人材不足が社会問題になっていることから分かるように、採用にはある程度の時間と労力がかかることを想定しておく必要があるでしょう。準備期間内に十分な保育士の人数を確保できるように、綿密な採用計画を立て、求人媒体への出稿や応募者の選考をどのようなスケジュールで行うか明確にすることが大切です。

また、採用後は保育士の教育にも注力する必要があります。保育園の評判は保育士の対応の質によって決まると言っても過言ではないため、フランチャイズ本部の研修制度を活用しながら保育士のスキルアップを図りましょう。

保育園フランチャイズ本部を選ぶ際のポイント

フランチャイズで保育園を開設する場合、どのフランチャイズ本部を選ぶかが成功を左右する重要な要素になると言えます。フランチャイズ本部選びの際に着目したいポイントは、以下の通りです。

サポートが充実しているか

フランチャイズ本部を選ぶ際に最も重視したいポイントは、本部から得られるサポートの充実度です。特に業界未経験で初めて独立開業する場合、保育園を開設するまでの準備期間はもちろん、開設後の運営においても十分なサポートが受けられるかどうかは非常に重要です。経営面のノウハウ提供やサービスの質を高めるためのアドバイスなど、具体的にどのような支援体制があるかは必ず事前に確認しておきましょう。

また認可保育園を開設する場合は、国や自治体からの補助金を受けられる代わりに、申請には労力を要します。こうした複雑な行政手続きにおいても、フランチャイズ本部がどこまで支援してくれるかを理解したうえで加盟するメリットがあるかを判断するとよいでしょう。

知名度・ブランド力があるか

フランチャイズ本部の知名度やブランド力が高ければ、入園希望者を募集しやすく、業界経験が浅い場合でも安定的な経営が期待できます。フランチャイズに加盟する際はロイヤリティを支払う必要があるため、ロイヤリティに見合う価値が得られるか十分に検討すると良いでしょう。

また、特色あるカリキュラムを売りにしているフランチャイズ本部に加盟すると、周辺に保育園の多い地域であっても他の保育園との差別化を図りやすく、定員割れのリスクを回避できる可能性があります。

研修制度が整っているか

保育の質を向上させるには、オーナー自身や保育士の継続的なスキルアップが欠かせません。実践的なスキルを習得できる研修プログラムが設けられていることは、オーナーにとっても保育士にとってもメリットが大きいでしょう。研修制度の充実は、保育士を募集する際のアピールポイントとしても有効です。また研修以外でも、運営上でトラブルがあった場合に相談しやすい環境があると安心です。

まとめ

保育園のフランチャイズ経営は、本部の持つノウハウやブランド力を活用できるため、リスクを最小限に抑えられる点が大きなメリットです。サポート体制やブランド力、研修制度などに着目して、自分自身で描く経営方針に合ったフランチャイズ本部を選ぶことが大切です。

ロイヤリティの支払いが発生したり、経営の自由度が制限されたりするデメリットはありますが、業界未経験であっても保育園の運営を通して地域社会に貢献したい人にとって、フランチャイズ経営は有力な選択肢の一つと言えるでしょう。

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