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注目の開業立地
札幌のラーメン情勢に注目。新規開業のヒントは「通勤族」が暮らす街にある

独立開業の業態として人気の高いラーメン店。全国のご当地ラーメンのなかでも北の大地・北海道の「札幌ラーメン」は、その代表格といえるだろう。1950年代に札幌市中央区すすきのエリアにある「味の三平」で初めて味噌をベースにしたラーメンが生み出されると、そのイメージは急速に広がり、現在では「北海道遺産」に認定されている。
そこで今回は札幌を代表するラーメン激戦区の一つ、札幌市営地下鉄東豊線 美園駅に注目してみた。さらに商圏分析データ「マケプラ」を使って、美園駅とライフスタイルや乗降人数などが類似した駅をピックアップ。次にラーメン店開業を狙いたい駅を探る。

札幌市営地下鉄東豊線 美園駅
ラーメンランキング1位に君臨する「彩未」がある激戦区は「通勤族」が暮らす街

まず、札幌ラーメンの基本を簡潔にまとめると、現在市内では約423軒ものラーメン店が営業している(マケプラデータより)。JR札幌駅(地下鉄さっぽろ駅)の南側にある繁華街、すすきの地区にある「元祖さっぽろラーメン横丁」は60年以上続く名所で、ミシュランガイド北海道2012に取り上げられた「一蔵」や、名店として知られる「白樺山荘」など17店舗が集積している。さらに札幌駅のすぐそばには「みその」「吉山商店」など8店舗が入居するフードテーマパーク「札幌ら~めん共和国」も人気スポット。「本場の味」を楽しむために、全国からラーメン愛好家たちが集っている。

そして近年、「札幌ラーメン」の新しい激戦区として注目を浴びているのが、札幌駅の南東に位置する豊平区。そのエリアのラーメン事情を語るうえで欠かせないのが、「麺屋 彩未」である。

市営地下鉄東豊線・美園駅から徒歩2分、札幌の交通の中枢を担う北海道道89号札幌環状線もすぐ側を通る場所にある「彩未」は、2000年に開業したラーメン店。札幌ラーメン界の一大勢力である「純連系」の元祖「純連(すみれ)」で修行した店主が独立開業したお店である。

今年の『ミシュランガイド』のビブグルマン(低価格で食事が楽しめる店舗)にノミネートされるほか、「食べログ」の札幌ラーメンランキングTOP100でも常に上位を獲得している行列店だ。そんな「彩未」を筆頭に、美園駅から半径1kmには11のラーメン店が営業している。

また地下鉄でさっぽろ駅まで9分という立地から、通勤族も多く住むという。マケプラによると、美園駅から1㎞圏内の住人のうち「通勤族」(※)というライフスタイルにカテゴライズされる人々の居住率は42.1%を占め、東豊線沿線の平均23.1%を大きく上回っている。すすきのからも自転車で20分ほどの距離にあり、札幌環状線も通っているため交通の便がよく、地元の人が通いやすいこともラーメン激戦区となった要因の一つかもしれない。

※「通勤族」層:マケプラ内の分類。都心近郊に居住し、都心部へ通勤する比較的経済的に余裕のあるグループを示す。世帯構成は幅広い。

激戦区である美園駅周辺のデータと照らし合わせると、札幌市内でラーメン店開業に向いた駅は以下の3つと予想される。

【1】JR函館本線 琴似駅
全道の駅で第3位の人口数。新規出店の鍵は、働き盛りのタワーマンション住人?

札幌駅から2駅離れた場所にあるJR函館本線 琴似駅は、市営地下鉄東西線の琴似駅も徒歩圏内にある利便性に優れた立地が魅力。スーパーやショッピングモールなどが整備されており、駅前には北海道2位の高さを誇るタワーマンション「ザ・サッポロタワー琴似(220戸数)」も建っている。そんな環境のよさもあり、家賃は札幌の相場と比べてやや高めに設定されているのが特徴だ。JR函館本線の平均人口数と比較すると、20から30代がやや多いことから、働き盛りのサラリーマンやファミリーが好んで選ぶ街なのかもしれない。

「下町」(※)「通勤族」のライフスタイルが全体の半数以上を占める近隣住民の構成は、美園駅と類似しているが、さらに注目すべきは半径0.5km以内の人口数。マケプラによると、北海道の全529駅のなかで3番目に多く、市営地下鉄 琴似駅にいたっては1位だという。

昼夜を問わず活気のある商店街もあり、ラーメン店開業のチャンスがあるようにも考えられるが、すでにJR琴似駅から半径1㎞以内には11店ものラーメン店がひしめき合っており、激戦区の様相を呈していることが気がかり。タワーマンションの住人やファミリー向けにするなど、ターゲットを明確にした出店ならば、勝機を見出せるかもしれない。

※「下町」層:マケプラ内の分類。昔ながらの街並が広がる地域に定住する、シニアの夫婦及び、単身者を示す。または、長年その地域に定住する熟年層と新社会人の混合地域

【2】札幌市営地下鉄南北線 澄川駅
激戦エリア豊平区の隣接地。名店に通うラーメンファンや地元の学生が勝機となる

豊平区のなかに位置する中の島エリアには、札幌ラーメンで有名な「すみれ」などの強豪がひしめき合っており、わざわざタクシーを乗りつけて足を運ぶ観光客の姿も多い。そこで開業目線で注目したいのが、中の島エリアと隣接する南区の南北線 澄川駅。豊平区との境界線まで数百メートルという立地から、隠れた穴場となっている。

駅周辺は大学や高校、インターナショナルスクールなどがある文教地区であり、落ち着いた雰囲気。美園駅と同じく、駅1㎞圏内の住人の約4割が「通勤族」に属し、南北線沿線の平均を大きく上回るだけでなく、繁華街すすきのへは電車なら10分で到着する澄川駅。

アクセスに優れた立地で、若年層の一人暮らしスポットとしても人気を集めているが、マケプラによると0.5km圏内で営業しているラーメン店は4軒。中の島エリアを訪れるラーメンファンだけでなく、地元の学生の舌を満足させることができれば、豊平エリアの次の激戦区としてのポテンシャルは十二分に秘めているだろう。

【3】札幌市営地下鉄南北線 北34条駅
出店における最大のライバルは、若者に人気のソウルフード・スープカレー

市営地下鉄南北線でさっぽろ駅までわずか4駅と、中心部への抜群のアクセスを誇る北34条駅。マケプラで居住者のライフスタイルを見ると、「下町」が84.8%と圧倒的なシェアを占めているが、20から30代が多い人口比率、近くを国道274号という幹線道路が通っている点は、美園駅に近いといえる。近隣に約18,000人の学生を抱える北海道大学があることもポテンシャルの高さにつながりそうだ。

しかし一方で、両隣にある北24条駅と麻布駅の1日の乗客数がそれぞれ13,897人、20,658人であるにもかかわらず、北34条駅は7,127人に留まる。飲食店の数を比較しても、北24条駅の244店舗に対して、北34条駅は144店舗ほど。

さらに、このエリアはラーメン店だけがライバルではない。行列ができることで知られる「タイガーカレー」をはじめ、若者層に人気のスープカレー店も多い。ラーメン店だけでなく、他業種の店も競合になることを意識した出店計画を練ることができれば、多くの客が訪れる可能性もあるだろう。

札幌中心部近くのエリアで勝ち抜くことができれば、観光客からの需要も期待できる

その歴史から「札幌といえば味噌ラーメン」というイメージで語られがちだが、現在人気を集めている新店は、貝ダシ、背脂とんこつ、鶏白湯など、百花繚乱。また、人気店がひしめいているゆえ、入れ替わりが激しいともいわれている。

2016年7月に掲載した記事『人気エリア・高田馬場駅の類似駅を探せ! ラーメン開業で次に狙うべき駅TOP3』における東京ラーメン店の解析では「学生」がキーとなっていたが、現在札幌ラーメンの激戦区となっている豊平区は「通勤族」が多く暮らすエリア。メインターゲットとなるであろう、仕事帰りの20から30代やファミリー層に向けた戦略も、札幌では重要になってきそうだ。

また、札幌は言わずと知れた人気観光地。札幌市産業振興部の調査(2009年)によると、札幌と聞いて思い浮かべるイメージとして、「ラーメン」「食べ物がおいしい」など、食分野を答えた人の割合がもっとも高かった。今回挙げた3駅は、いずれも札幌中心部へのアクセスが良い立地のため、地元を中心に人気を集めることができれば、観光客からの需要も期待できるだろう。

※データ:商圏データ「マケプラ」調べ(2017年10月現在)

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