これまでの経歴やプロフィールをご紹介します。ご確認のうえ、ぜひ体験談をお読みください。
■野澤さん(48歳)/2021年8月開業
独立前は植木とは無関係の領域でキャリアを積んできた野澤さん。アパレルメーカーの営業に始まり、機械部品商社での新規事業開発、大手ECサイトのバイヤー、家事代行業の管理者など多彩な職種で活躍してきました。しかし、事業を回すための仕組みを作る仕事は、いずれその現場から離れる宿命を背負っています。いつしか野澤さんは「自分が必要とされ続ける場所」を求めるようになったといいます。
70歳になっても、80歳になっても社会から求められる存在でありたい。一念発起した野澤さんが選んだのは植木屋革命でした。なぜ「植木」だったのか。独立前後の歩みを聞きました。
当時の年齢 |
40代後半 |
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当時の自己資金 |
101〜300万円 |
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事業スタイル |
無店舗での開業 |
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キーワード |
低資金で開業 研修で不安解消 |
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ただ手に職をつけるだけではなく、稼げるだけでもなく、自分がずっと満足して続けられる仕事は何だろうと考えたとき、思い出したのは、靴の職人だった祖父に影響され、若い頃から抱いていた「きれいな造形」に関わる仕事への憧れ。植木の技術を身につければ、盆栽や街路樹のような美しい造形を作れるかもしれないという興味が入り口でした。
そしてもう一つ、植木屋革命を選んだ決め手があります。それはカットデザイナーの収益や経費の仕組みをすべてオープンにして教えてくれたこと。本部が嘘偽りのない情報を出していたので、単に収益モデルが分かるだけではなく、その収益モデルをどうやって実現するかまで具体的にイメージできたんです。
もともと私は剪定ばさみを持ったことさえありませんでした。完全未経験の状態から、本部の提携先や研修センター、先輩の現場などで2カ月かけてじっくり技術を学びました。心強かったのは、独り立ちしてからも研修担当者が引き続きサポートしてくれたこと。タブレット端末で現場画像を共有し、リアルタイムでアドバイスをもらえる体制も整っています。
初めての現場は生け垣の剪定。当初は3時間程度で完了する予定だったのですが、緊張もあって丸1日かかってしまいました。このときも本部がずっと遠隔で見守ってくれたんです。何とか完了して「初現場、お疲れ様でした!」と声をかけてもらったときの充実感は一生忘れないと思います。
実を言うと開業前は、「植木屋のニーズってどれくらいあるんだろう?」と不安に思っていたフシもありました。ところが開業後の忙しさは想像以上。年配の方だけでなく、若い世代のお客様からもたくさんお声がかかるんです。よく聞かれるのは「どこに相談すればいいか分からなかった」という声。植木の知識が少ない世代が増えたからこそ、私たちの存在価値が高まっているのかもしれません。
本部が小売店など様々な場所でPRしてくれていることもあって、順調にリピーターさんも増え、開業2年目で年商1000万円を超えることができました。今ではお寺さんなどの大規模な現場も担当できるように。植木屋へのニーズの奥深さを感じています。
この仕事には二つとして同じ案件はありません。木も様々なら、木に対するお客様の考え方もさまざま。時には思い出話をお聞きしながらカスタムメイドでお客様の木を仕上げていきます。だから私たちは「カットデザイナー」と名乗っているんです。
カットデザイナーの先輩方には、60代や70代の大ベテランも多数。私はまだまだ駆け出しで、「どうすればずっと必要とされる植木屋になれるのか」を日々考えています。開業前に思い描いていたテーマを、まさに追いかけている状態。以前とはまったく違う領域に飛び込みましたが、この選択は正解でした。これからも木と向き合い、技術を磨き続けて、自分の体が動く限りは頑張りたいと思っています。