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先輩開業インタビュー

26歳ネイリストの独立はマンションの一室からスタート。顧客増員のカギはSNSの口コミだった

美容師、アパレル、ネイリスト……おしゃれに敏感な女性なら一度は憧れる職業を経験し、昨年ついにネイルサロンを開業した中村キャベツマナミさん。華やかに見える仕事にも辛い下積み時代はつきものですが、向上心の強い彼女は「どんな仕事でも、やるならとことんやる」という姿勢を崩さなかったそうです。新卒で入社した美容室で出会ったネイルという仕事に魅了され、独学で技術を学び、多くの女性に「かわいい」を提供してきました。長年勤めたネイルサロンで順調に顧客を増やしていった彼女は一念発起。独立を目指すと決め、その約4か月後にはネイルサロン「Lovl」をオープンさせたといいます。「場所と最低限の材料費があれば始められる」と話す彼女が、26歳という若さで夢を叶えるまでのプロセスを伺いました。

ネイルとの出会いは「美容師だけではなく、もう一つ武器を持て」という上司からの一言

cont1.jpg――中村さんはネイリストとしてご活躍されていますが、いつ頃からネイリストを目指していたのですか?

中村:学生の頃は美容師を目指していたので、美容師の専門学校に通っていました。そこは美容師になるための勉強だけでなく、トータルビューティーを学べる学校でした。そのときの経験があったからこそ、今につながっていると思っています。

――最初に就職したのは、美容室だったのですか?

中村:はい。銀座にある美容室に就職しました。そこのオーナーはとても厳しい方でしたが、柔軟な考えを持っていて、「美容師だけでなく、もう一つ武器を持て」と言われたんです。そこで私はネイルを選びました。でも、ネイルも学校で学んでたとはいえ、指先のケアやマニキュアが塗れる程度。ジェルネイルなどは一度もしたことがなかったので、ほぼ独学で学ばなくてはなりませんでした。それからというもの、友人達に協力してもらい閉店後に何時間も練習する日々が始まりました。

――独学はとても難しいことだと思うのですが、何を参考に学ばれたんですか?

中村:当時のサロンオーナーがとても流行に敏感な方で、アドバイスをたくさんいただけました。でも、オーナーはネイルの知識があるわけではないので、言うことがとにかく奇抜で斬新。だけどその感覚はいつも一歩先をいっていてとてもすばらしく、どのアドバイスも間違っていないことがわかっていたので、その期待に応えるべく、毎日が必死でした。

――そこで、辛いとは思いませんでしたか?

中村:毎日思っていましたし、毎日辞めたいとも思っていました(笑)。でも辞めなかったのは、そのオーナーのことを尊敬していましたし、何よりネイルが楽しかったからこそ。今では、さまざまな視点を与えてくれたオーナーに感謝しています。働いた期間は1年数か月と短いですが、とても充実していました。その経験を活かして、ネイル一本でやっていきたいという気持ちが芽生えたんです。

――美容師の道からネイリストへと転身したわけですね。

中村:2010年頃、ネイルはこれからもっと進化する職業という印象が強かったので、それなら思い切ってこの世界に飛び込もうと思いましたね。渋谷のネイルサロンに、最初はバイトで雇ってもらいました。渋谷はさまざまなタイプのお客様が来るので、幅広いデザインを試すことができ、とても勉強になりました。でも、そんなとき、親しい友人から新しいアパレルのお店を立ち上げるので、手伝ってほしいという話をいただいたんです。

――それはネイルとまったく関係ない、アパレルのお店ですか?

中村:はい。そこで働けば海外のファッションを見ることができるし、海外へバイイングに行くこともできる。今ネイルを離れたとしても、自分にとってすごくいい勉強になると思ったんですよね。とても悩みましたが、渋谷のネイルサロンを辞めてアパレルの立ち上げに関わり、2年間その仕事に専念していました。実際に数回海外へ行き、さまざまな文化やファションなどを自分の目で見ることができたことはすごくいい経験です。でも、やっぱりネイルをやりたい気持ちが諦められなくて……。

――やはり、立ち戻るところはそこだったんですね。

中村:はい。休日や仕事の後に、友人からお願いされることも多かったので、それも後押しになって、日に日にネイルへの気持ちが強くなっていきました。新しく雇っていただいたネイルサロンでは、自分がやりたいと強く再確認した後だったので、どんなに働いても、睡眠時間がなくても楽しいし、努力がまったく辛くなかったので、文字通り狂ったように働いていました(笑)。その分、結果もどんどんついてきたので、楽しくて仕方なくなってきたんです。

――結果というのはどんなものでしょう?

中村:わかりやすいところで言うと、スタッフの中で指名数を一番取れるようになりたいと思ったんです。そこで努力して新しいデザインを勉強し、お客さまの時間に合わせて休日さえ取らない日々が続くうちに、みるみる結果がついてきました。そんなとき、勤めていたお店に雑誌『sweet』からネイルのお仕事をいただくことができたんです。

――それは嬉しいですね!

中村:はい。発売された雑誌を見たときに、サロンワーク以外の仕事の幅が広がることで新たな可能性を感じることができたんです。そこで自分に課した目標が、業界誌『NAIL VENUS』と、専門誌『FUDGE ネイルブック』に掲載されること。でも、コネも伝手もなにもなかったので自分のネイルをInstagramに載せて、そこにお店や自分の名前をタグづけしました。とにかく少しでも多くの方に見てもらえるように、目立つ努力をしたんです。

――SNSをうまく活用することで、自分を売り込んだんですね。目標は達成できましたか?

中村:しばらくして『FUDGE ネイルブック』の編集者さんから、Instagramを見ました!と連絡をいただけたんです。その日は自分の中で決めていた目標期限の3日前でした。『NAIL VENUS』や他の雑誌にも載ることができて、すごく嬉しかったです。紙媒体に掲載されるようになってからは、映画やドラマなど映像のお仕事もいただけるようになりました。

――ネイルサロンに入社して、雑誌の仕事が実現するまでの期間はどのくらいでしょうか?

中村:渋谷のお店に勤めていたのが3年間なので、1年半?2年くらいでしょうか。でも、自分が想像していたよりも早く結果が出てしまったので、次の目標を見失ってしまいました。これまでは自分で目標を立てることで前に進んでいたので、それを失ったときに、どう動いていいかわからなくなり……。

独立は自分がしたいと思ったときより、周りから「独立したら?」と言われたときがベストタイミング

cont2.jpg ――そこで独立を考えたんですか?

中村:いえ、そこで、まずは次のステップに進みたいと思いました。自分が今まで得意としてやってきたネイルデザイン以外のものを極めるため、ほかのネイルサロンで働こうかと思い始めたときに、周りからは「それなら独立した方がいい」と言われたんです。実は、最初に働いていた銀座の美容室のオーナーが、「独立は自分がしたいと思ったときではなく、周りから勧められてするもの」と言っていたことを思い出し、もしかしたら今なのかなと思って、独立を考えるようになりました。自分で貯めたわずかな貯金を初期費用にあてたので、150?250万円だけでお店を開こうと決めました。

――開業する初期費用としては、とてもミニマムな金額ですよね。

中村:そうですね。ネイルサロン開業の中でも最低限の額だと思います。ネイルサロンは、美容室や飲食店に比べたら初期費用があまりかからずにできる職業なんですよ。それと、もともと収集癖があったので独立とは関係なく、働きながらネイルパーツなどの商材やマシーンを買いそろえていたので、一から開業するよりは安くすみましたね。デスク、ソファ、追加で欲しかったネイルの商材などをそろえるだけですみました。

――場所や規模を問わなければ、開業しやすい職業ということですよね。

中村:そうなんです。そこはすごくいいところですよね。そのおかげでお店の価格設定もミニマムで提供できました。材料費も設備も最低限で、場所も小規模。大きくするのはしっかりお客さまやスタッフがついて、お店が落ち着いてきてからでもいいのかなって。

――準備はどのようにされたのですか?

中村:実は、独立を思い立ったのが2015年の2月。そして、お店を辞めたのが5月末で、6月6日にオープンしようと決めていたので、実際に準備ができるのは6日しかありませんでした。お客さまが座るチェアなどの家具類は発送に時間がかかると聞いていたので事前に手配していましたが、辞める前に動いていたのはそれくらいですかね。

――それは無謀というか、無茶というか……(笑)。

中村:ですよね(笑)。最初から独立を本当に軽く考えていて、なんなら1日か2日くらいでできるだろうって思っていたんです。もちろん、そんなわけもなく……。でも、そういうときこそ、友人達が頼りになりました。内装をやっている友人が仕事の後に手伝ってくれたり、大きな会社の社長とつなげてくれて、経営に関する知識を教えてくれたりと、本当に感謝の連続で。あとは、自分で予約のシステムを考えて親友がオリジナルのカウンセリングシートを作ってくれて、オープンの日を迎えました。今思うと見えないプレッシャーもあって、一番辛かった時期はオープン前のこの6日間。でも、この経験があったおかげで、頑張ればなんでもできるんだなって思えるようにもなりました。

――場所は渋谷に決めていたとのことですが、あえて激戦区に飛び込んだのはなぜでしょう?

中村:たしかに渋谷はネイルサロンも多く、激戦区です。でも若い方から大人の方まで年齢層の幅が広い街だから、楽しそうだなと思って。それに私の得意なアート系デザインは、他のサロンにはないものだという自信もありました。

――オープン後、お店は順調にまわりましたか?

中村:それがありがたいことに、順調です。実は、前のお店では、私が辞めることをお客さまにあまり伝えなかったんです。それはお店に対しての仁義。雑誌などの仕事もすべてそのお店に残して退職したので、ゼロからのスタートでした。最初は全くお客さまが来ないかもと心配でしたが、Instagramでお店の場所を掲載すると、それを頼りに来てくれる人が増えたんです。以前のお客さまも私をネットで検索してくださって、辿りついたという方もいて。本当に嬉しい限りです。

――これまでの努力の点が線となってつながりましたね。

中村:そう思ってもらえると嬉しいですね。あとはお客さまが自分の友人に勧めてくれて、さらに輪が広がっていく。ここでも口コミのありがたさを感じました。

独立は自分のやりたいことが無限にできる場所。だからこそオンオフをしっかり切り分ける必要がある

cont3.jpg ――お話を聞いていると、すごくフットワークが軽いですよね。

中村:それがとても大事だと思っています。アパレルに転職したのも、ネイルを選択したのも、考えすぎずに「やってみる精神」があったから、今につながったんだと思っています。

――きっと、考えすぎて転職ができない、独立できないと言う人も多いですよね。

中村:とにかく、やりたいことはやってみるしかないと思うんです。もちろん、努力していない人がいきなりやってみるのはよくないと思いますが、やりたいことがあって、そのために頑張っている人なら最後の一歩を踏み出すのはすごく大事なことだと思います。私自身、独立してから仕事の悩みを相談されることが増えました。その人達にも「今、やれることはたくさんあるはず。まずは動くことから始めてみるのが大事」だと話します。夢を語ることは大事だけど、今やれることに焦点を当てて動くことも大事だと。

――とてもパワフルな中村さんですが、オープンして、辛いと思ったことはありませんか?

中村:独立してから自分の効率の悪さ、キャパシティーの小ささを実感しています。誰かに雇われているときよりも、一人の方が無限にやりたいことが出てくるし、それをやれる環境にある。だからこそ、その「無限」に自分がついて行けていない気がするんですよね。あとは、がむしゃらすぎてオフが取れていないので、今年はオンとオフをしっかり切り分けて、仕事に臨みたいと思っています。

――常に目的をもって突き進んできた中村さん。次の目標を教えてください。

中村:海外でもお仕事をしてみたいです! ほかにもやりたいことは山積みです。そのために語学も勉強したいですし、やるべきことはたくさんありますが、それさえも楽しく感じています。これからも無限の可能性を感じる限り、目標を立てて前に進んでいきたいと思っています。

ネイルサロンLovl

〒150-0044 東京都渋谷区円山町5-4
080-3556-1402
http://www.lovlnail.com
※取材時点の情報です

ネイルサロンLovl

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