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先輩インタビュー
学生時代の仲間4人が二足のわらじで起業した異色の「AO入試の専門塾」とは

塾産業は今、進学塾・個別指導塾・地元志向塾など細分化されていますが、多くは大手企業やフランチャイズが占めているのが実情です。そんな中、10年前に当時日本初となるAO入試・推薦入試の専門塾として参入したのが今回訪れた個別指導塾「洋々」。お話を伺った清水さんを中心に、学生時代の仲間4人が集まり開校したそうです。それぞれ違う企業に就職し、プロとしてのスキルを身につけた末に、長年の夢だった4人での起業を、専門塾という形で叶えました。長期戦となった開校準備の理由や資金繰り、受講生が集まらなかった開校当初のこと、さらに、受講生とのトラブルを生まないためにしていることなど、たっぷりとお話を聞いてきました。

仲間4人がそれぞれの企業でスキルを磨き、「社会貢献がしたい」とAO入試の専門塾を開校

cont01.jpg――大学卒業後、最初に就職されたのは日本IBMとお聞きしました。安定した大企業だと思いますが、その頃から起業を考えていたのですか?

清水:実は大学を卒業した頃から起業したいと思っていました。日本IBMは本当にいい会社で、自分のスキルを上げるのにとてもいい環境でした。だから実際に働いてみると、「このままこの会社で働き続けるのもありかな」とも思いましたが、起業は昔からの仲間と夢に見ていたことなので、いつか必ず起業したいという思いがずっと胸にありました。

――その仲間とは、どこで知り合ったのですか?

清水:中高一緒に学んだ友達です。私を入れた4人で「いつか社会にインパクトを与え、なおかつ貢献できるような企業を起こしたい」と大学のときに話していました。会社設立の夢が叶ったのは2005年です。日本IBMは5年間働いた末、退職しました。それから2年間、ビジネスのノウハウをしっかり学ぼうと、トップスクールといわれるイギリスのビジネススクールに入学。そこに通っていた人たちはレベルが高く、すごくいい刺激になりました。日本に帰ってきて、また異なる会社に勤めたので、大学卒業から10年経っての起業になります。

――会社設立となったときに、なぜ「AO入試・推薦入試の塾」を選んだのでしょうか。

清水:立ち上げメンバー4人はそれぞれ違う職種に就いたので、身に着けたスキルもさまざま。まず、そのスキルをすべて活かせるものにしたいという気持ちがあり、それぞれの強みは何かと考えたときに、「教育系」という話が出ました。とはいえ、既存のものと同じことをしても意味がないので、AO入試を中心に指導する塾をやろうということになったんです。そこに至るまでは、学童保育や保育園なども考えたのですが、公立の保育園などは国から補助金などが出るため、個人で設立して勝負するのはとても難しいですし、自分たちのスキルが発揮できることを一番に考えたときに、今の形がいいのではということになりました。

――専門塾を開校するにあたり、メンバーの「強み」や「スキル」はどんなところでしょう?

清水:起業したメンバーには、文系と理系の出身がいます。文系の2人は話も上手で、コミュニケーションもとてもスムーズ。1人は、予備校講師をしていたので教えることに関してはプロ。前職で経営コンサルタントをしていたメンバーは、受講生のプレゼン能力やディスカッションの能力を伸ばすことができる。私を含む理系の2人はWEB上で受講生とコミュニケーションを取る仕組みを構築したりと、4人の強みはAO入試の塾経営にとても向いていると思いました。企業の資金も基本的に自分たちで出資したので、銀行に借りたりすることはありません。大学生の頃から4人で計画的に貯めていました。

――それはすごい信頼関係ですね!

清水:そうですね。大学生の頃から起業資金を貯めていたからこそ、「起業しない」という選択がなかったんだと思います。最初の起業資金は555万円で、最初は受講生もほとんどいなかったので、長い間、厳しい状態が続きました。でも私たちの場合、会社設立とともに4人が同時に会社を辞めたわけではなく、それまで勤めていた会社でのタイミングや塾の発展に合わせて退職し、順々にフルタイムで働くようにしたので、生活に困ることはありませんでしたね。それぞれ働いている会社の給料があるから何とかなるという感じでした。

説明会に来たのはたった1人……。最初は貸会議室を利用してのスタートだった

cont02.jpg ――なるほど。それぞれの生活基準を変えることなく起業へと進められたのは、共同経営だからこそかもしれませんね。2005年に起業して、授業を行う教室や場所はすぐに構えたのですか?

清水:いえ。受講生がどれだけ集まるかわからなかったので、最初から教室を構えることはせず、授業があるときだけ貸会議室などを借りていました。

――まずは様子を見ながらのスタートだったと。AO入試・推薦入試の専門塾となれば、それぞれの個性をいかした授業になるかと思います。ほかにない経営ですし、受講生はどうやって集めたのですか?

清水:それぞれ会社員として働いていたので、本格的に動き出したのは起業した翌年の夏から。説明会を開いたりWEBとチラシで募集をかけたりしたのですが、「AO入試・推薦入試専門の塾」を理解してもらいにくく、人が来ない状態が続きました。やっと説明会に来てくれた人も、たった1人で参加したためか、入るまでに至らず……。その年の冬に初めて受講生が入会してくれたときは、すごく嬉しかったですね。

――起業してから受講生がくるまで、約1年かかっていたとは! それから数年が経ち、受講生が増えていったのは何が要因だったと思いますか?

清水:一つは口コミです。広告宣伝はビラ配りくらいでしたが、口コミのお陰で徐々に受講生が増えていきました。もう1つは教室を増やしたことだと思います。2008年に横浜に初めて教室を構え、その後、池袋、秋葉原と教室を増やしました。貸会議室ではなくて、しっかりと場所を確保したことで、受講生や親御さんに「塾」という認識を持ってもらえたのだと思います。これはかなりの先行投資でしたが、結果としてはよかったですね。現在は渋谷本校に統合させ、全受講生がここに通っています。もっとも首都圏外や海外に在住している受講生も多く、彼らは基本的にSkypeでサポートを受けているため、渋谷本校に日常的に通学しているのは全受講生の6〜7割程度に留まるのですが。

――2005年に起業して今年で11年目になりましたね。どんなことが大変でしたか?

清水:塾経営に関して、これは大変だと思ったことはあまりないですが、前職を辞めて今の仕事に一本化したときに給料がかなりダウンしたことで、モチベーションはやや下がりました(苦笑)。でも、それは仕方のないこと。当時すでに結婚していたのですが、妻からの反対はなかったので、すごく助かりました。

――起業するには家族の理解も必要ですよね。たくさんの受講生と関わることで学んだことはどんなことでしょうか。

清水:AO入試を選ぶ人たちは、なにか尖っているものを持っている人が多いです。例えばスポーツで全国何位になったことがあるとか、芸能活動をしているとか、映画を撮影して賞を取ったことがあるという子だったり。そんな大変なことをこなしているにもかかわらず、勉強も両立している姿をみると、彼らの努力は本当にすごいなと感心します。年齢的には私たちよりもかなり年下になりますが、人間として尊敬することが多いですね。

――接する中で清水さんたち経営側の考え方が変化するようなこともありましたか?

清水:私たち4人が通っていた中高は進学校だったこともあり、いい大学に入り、いい会社に就職する以外の選択肢を考える人はほとんどいませんでした。でも、受講生と接するうちに、「さまざまな魅力を持った人たちがこんなにもいるのなら、その多様な能力を活かせる場所・社会があってもいい」と思うようになりました。若い子たちが持つ能力の可能性を広げる手助けをしてあげることで、社会に貢献したいですね。

――そのためにも、AO入試・推薦入試の専門塾はすごく素敵なビジネスですし、授業で学んだ自己アピールなどは将来の就職活動にとても役立ちそうです。

清水:そうですね。いま、中央教育審議会が大学の入試制度改革をしようとしていて、国公立もAO入試の割合を増やそうとしています。昨年、東京大学や京都大学でも推薦入試が取り入れられたこともあり、広まりつつあるなと。それに伴い、こういったAO入試専門の塾が増えるのか、さらには既存の予備校が参入してくることも考えられます。ただ、私たちは何か特別なことをするのではなく、今あるサービスをよりよいものにしていきたいと思っています。渋谷に本校を構えて1年が経つのですが、教室が足りなくなるほど受講生に来てもらえるようになったので、今年はどこかのタイミングで拡張できたらと思っています。

信用が第一の塾経営には、受講生や両親への積極的なコミュニケーションが欠かせない

cont03.jpg ――それはとても嬉しい叫びですよね。そんな中、受講生や親御さんとのトラブルは塾経営にはつきものだと思いますが、どう対処されていますか?

清水:10年ほど経ちますが、そこまで大きなトラブルはありません。ただ、申し込んだときとイメージが違うという声をいただくこともゼロではないので、お申し込みいただく前の個別相談の段階で、「洋々」にどのようなことを期待されているのか、そして私たちはどのようなサポートをご提供できるのかといったことついて、真摯にお話をするようにしています。塾経営ではまず、トラブルを生まないようにコミュニケーションをとることを何より大事だと思っています。最初にしっかりと説明することで、受講生はもちろん、その親御さんたちとの信頼関係を作ることにも繋がります。さらに、受講中に何か不明なところがあったら、いつでも電話なりメールなりしてくださいと申し上げているので、そこで問い合わせのあったことはしっかりと向き合うようにしています。

――個別指導塾「洋々」の今後のビジョンを教えてください。

清水:実は、まだはっきりしていません。少子化も進んでいますし、入試改革も控えているので、先を読むことが難しくなっています。当面は、目の前にいる受講生のサポートを一生懸命やりつつ、徐々に規模を大きくしていければと思っています。そしていつかは海外でも開校したいです。考えていることはたくさんあるので、それを一つずつ具現化していけたらいいですね。そしてつねに流動的な業界だからこそ、柔軟にスピーディな動きができるように意識しています。現在、個別指導を中心に行っているのですが、受講生同士の横のつながりができるようなイベントも行っていきたいと考えています。今はこちらが提示したテーマについて自由に議論・プレゼンをする「ワールドカフェ」を月1回くらいのペースで行っています。個性を持った受講生が増えればお互いにさまざまな意見を聞くことができるし、横の繫がりも増えますよね。そういった意味でも、受講生の数も増やしていければと思っています。

――ちなみに、同じ4人で一緒に続けていくのは簡単なことではないと思います。衝突するときは、どう対処しているのですか?

清水:全員が納得できるようにとことん話し合います。この「洋々」という名前は「前途洋々」から取ったのですが、その名前を決めるときも、渋谷に塾を統合するときも、かなり議論を重ねました。でも4人がちゃんと納得して、しっかり解決したからこそ、一歩ずつ前に進めるのだと思います。

――最後に、これから起業しようとしている人たちにメッセージをお願いします。

清水:私たちは起業する前に、塾業界の知識向上やリサーチに時間をかけました。この分野なら、誰にも負けないというものを作ってからではないと、本領発揮はできないと思うので、しっかりとした基盤と力をつけることが大事だと思います。とはいえ、20代であれば「とりあえずやってみる」ということも大事。たとえ失敗したとしても、それは悪いことではないと思っています。若ければいくらでも取り戻せるので、一度、勇気をもって飛び込んでみてほしいです。

AO入試・推薦入試・小論文対策の塾 洋々

〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-10-4 メゾン・ド・ユー2F
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