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起業のメリット・デメリットとは?知っておくべきお金の知識も紹介

「起業」という言葉の意味を辞書で引いてみると、「新しく事業を始めること」と出てきます。つまり、会社を設立することも、フリーランスとして事業を行うことも、お店をオープンすることも、広くは「起業」に含まれます。独立・開業と同じ意味と考えて良いでしょう。昨今、多様な働き方が広がる中、起業に興味を持つ人も増えているのではないでしょうか。もちろん、起業にはメリットもあればデメリットもあります。この記事では、起業を検討している方に向けて起業のメリット・デメリット、起業に関わるお金の知識をご紹介します。

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起業のメリット

起業のメリットを一言で表すと、「会社による制約がなくなること」と言えるでしょう。事業内容・時間・金銭に関する制限が一切なくなります。ここでは具体的なメリットを3つご紹介します。

やりたい仕事ができる

起業すれば、事業内容を自分で決めることができます。もちろん、成果を上げるためには取引先や顧客のニーズに合わせることが重要ですが、基本的に「やりたくない仕事」をする必要はありません。苦手な業務は従業員に任せたり、外注先に依頼することも可能です。どのような事業を、どのように進めるか。すべて自分で判断できることは起業の一番のメリットと言えます。

働く時間をコントロールできる

一般的な会社員の場合、就業時間が決められており、働ける年齢も決まっています。一方、起業した場合は時間の使い方を自分でコントロールできるようになります。自分が「する必要がない」と考える業務に時間を取られることもありません。また、定年という概念がなくなるので、心身ともに健康な状態である限り、いつまでも働き続けることができます。

成果が収入に直結する

起業すると金銭面での自由度も高くなります。報酬の上限はなくなり、事業の利益が自分の収入に直結し、頑張り次第では大きなリターンを得るチャンスもあります。

起業のデメリット

メリットの裏返しとも言えるデメリットが、「会社の後ろ盾がなくなること」です。ここでは、起業することで生じる3つのデメリットを取り上げます。

責任が重くなる

すべて自分で決められる裁量を得る一方、「自分で決めなくてはいけない」「上司に頼れない」という責任やプレッシャーが増大することは間違いありません。従業員を雇う場合は、「従業員とその家族の生活を守らなくてはいけない」という責任も生じます。「背負うものが大きくなる」という点は、起業ならではの厳しさと言えるでしょう。

収入が不安定になるリスクがある

給与という安定した収入源がなくなるため、事業が軌道に乗るまでは収入が大きく減るリスクもあります。そのため、「会社員」という立場だからこそ得られていた「社会的信用」がリセットされることがあります。たとえば、住宅や車のローンやクレジットカードの審査に通らなくなることがあるので気をつけましょう。会社員と同様の社会的信用を再構築するためには、数年にわたる安定した事業継続が必要となります。

社会保険や税金の知識が必要になる

会社員の場合、社会保険や所得税・住民税は給与から天引きされ、会社が代わりに手続きをしてくれるため、普段の生活で社会保険や税金のことを意識する必要はありません。しかし、起業すると社会保険や納税の手続きは自分の責任で行う必要があります。また、税金の知識がなければ適切に節税することはできません。税金について正しく知っておくことは、収益にも影響する重要なポイントと言えます。

起業形態の違いによるメリット・デメリット

起業の形態には、会社を設立して法人化するか、それとも個人事業主として起業するか、2つの選択肢があります。どちらの方法でも事業を始めることはできますが、起業時の手続きや税制面での違いがあります。どちらの形態で起業するかは、メリット・デメリットを踏まえて判断しましょう。

法人の場合

法人のメリットとして挙げられるのが、節税しやすい点です。法人の場合、所得(売上から必要経費を引いた金額)が一定の金額を超えると個人事業主よりも税率が低くなるため、負担する税額を抑えることができます。また、法人は税務上必要経費として認められる項目(経費項目)が多く、個人事業主よりも節税対策の面で利点があります。
その一方、法人設立の手続きが複雑で費用がかかる点はデメリットと言えます。法人を設立する際には、定款の作成や商業登記を行う必要があり、定款作成費や公証役場での認証手数料、法務局への登記料などの費用が発生します。設立時のコストとして、株式会社の場合は22万円程度、合同会社の場合は10万円程度がかかります。

個人事業主の場合

個人事業主は税務署に開業届を提出するだけで事業を始めることができ、費用は一切かかりません。1円もかけずにすぐに起業できる点は大きなメリットと言えます。また、所得が一定の金額(目安としては800万程度)を超えるまでは、個人事業主のほうが税額の負担が少ないと言われています。
デメリットとしては、法人に比べて社会的な信用力が落ちる点が挙げられます。手軽に事業を始められる反面、取引先との新規契約や金融機関の融資審査など、信用が求められるシーンでは個人事業主であることが不利に働くケースもあります。

デメリットやリスクを減らしたい方には、こんな方法も

一言に起業といっても様々な方法があります。以下の方法では、1人で起業するよりもリスクを抑えて始めることができます。

フランチャイズ

フランチャイズ本部が培ってきた運営ノウハウやブランド力(商品の魅力)を活用し、自分自身が経営者(オーナー)となる代わりに、加盟金やロイヤリティ(売上の一部)をフランチャイズ本部に支払う経営方法です。

業務委託

委託元である企業と契約を結び、特定の業務を請け負い、報酬を支払ってもらう働き方です。自分の得意分野を仕事にでき、時間に縛られることなく働くことができます。

代理店

売主やメーカーの商品・サービスを代理で販売できる契約形態です。売価から卸値(マージン)や手数料(フィー)を引いた金額が、代理店の報酬となります。低リスクですぐに販売できることが魅力です。

独立候補社員

契約社員あるいは正社員として働き、その後、社内の独立支援制度等を活用し「フランチャイズ」や「のれん分け」等で独立する起業方法です。収入を安定させながら、自身の適性を確認することができます。

先輩起業家に聞いた起業のメリット・デメリット

続いて、先輩起業家のリアルな声をご紹介します。実際に起業した人たちは、起業のメリット・デメリットをどのように感じているのでしょうか。

株式会社OHKマーケティング代表 本多宏哉さん

先輩起業家に聞いた起業のメリット・デメリット本多宏哉さん

元々は会社員として女性下着メーカーなどに勤務し、長年にわたってマーケティングの第一線で活躍していた本多宏哉さんは、「本当の意味での顧客第一主義を確立したい」という思いを持って、還暦前の58歳のときに起業されました。現在、株式会社OHKマーケティング代表として、依頼主のブランディングにつながるマーケティング・サービスを展開している本田さんが、起業のメリット・デメリットについてどのように感じているのか見ていきましょう。

起業のメリット・良いところ

勤めていた頃と比べて、会社の看板(名刺)で出会った人たちの100倍近くの人と出会うことができたと思っています。これは起業しなければ絶対に味わえなかった人間関係です。業種はもちろん、年齢もさまざまで、20代の若手と一緒にものづくりができるのは本当に楽しい。仕事上だけでなく人生の醍醐味として素敵なご縁をいただいています。たくさんの人とリスペクトし合えることは、今の私の財産になっていると感じています。

起業のデメリット・大変なところ

これは私の理念である「すべてはお客様のために」に関係することでもあるのですが、つい何でも引き受けてしまい、後で大変な目に遭うことがあります。仕事柄、お客様と戦略を立てて実行していくのですが、アイデアの時点でお客様からたくさんのご要望をいただきます。もちろんすべてコストがかかることですから、費用感はこちらで握っておかないといけません。しかし、つい「お客様のためなら……」と採算を度外視して引き受けてしまうんです。これが、私だけが無理すればすむ話ならいいのですが、外注先にも結果的に無理を強いてしまうことになるケースも少なくありません。これは私にとっていまだに課題ですね。

「起業しなければ絶対に味わえなかった人間関係」という本多さんの言葉にあるように、会社による制限がなくなることで、さまざまな出会いを創出できる点は起業のメリットの1つと言えるでしょう。その一方、自分の裁量で仕事を進められることの裏返しとして、仕事のボリュームを調整する難しさがあることが、本多さんの体験談から読み取れます。

3DSurveyplus合同会社代表 堂城川厚さん

先輩起業家に聞いた起業のメリット・デメリット堂城川厚さん

プラントの設計会社に勤務していた時代に、3Dレーザーの計測技術に触れた堂城川厚さんは、その技術の可能性に惹かれ2008年に起業されました。現在、3DSurveyplus合同会社の代表として、ドローンや3D計測といった最先端技術を用いて、設備や地形を3Dデータに起こす事業を手がけています。そんな堂城川さんが感じている起業のメリット・デメリットを見てみましょう。

起業のメリット・良いところ

いいアイディアを閃いたらすぐに実行できるところが起業のいいところです。例えばベンチャーであっても他人の下で働いているとどうしも意思決定に時間がかかり、小回りが効かなくなってしまいます。今は最新の技術をみつけたらすぐにそこに飛びつくことで自分がその道のトップに出ることもできる。例えば水中ドローンを導入するにあたり、企業であれば社内で提案や稟議を通すことでようやく事業に踏み切ることができると思うのですが、自分の会社であれば自分の意志一つで導入することができます。

起業のデメリット・大変なところ

しばらくの間、お金の心配は尽きませんでした。会社員時代は年棒制だったので翌月から食べていけなくなるということはまずありませんでした。しかし独立後の未来はわからない。夜眠ろうとして目をつぶると、日に日に数字が減っていく通帳が目に浮かぶんですよ。常に余命3カ月ぐらいの気分で過ごしたこともあります。けれど、あるときふと思ったんです。人間誰しも3カ月先のことなんてわからないじゃないですか。それは開業している人もサラリーマンも一緒。むしろ経営状況を自分で把握している自分たちの方が状況はマシなんじゃないかと思ったんです。

堂城川さんの体験談から、起業には自分の意志でやりたいことを実現できる良さがある反面、お金の心配がつきまとうデメリットがあることがわかります。ただ、収入について「人間誰しも3カ月先のことなんてわからない。むしろ経営状況を自分で把握している自分たちの方が状況はマシなんじゃないか」という堂城川さんの考え方は、起業を検討している方にとって大きな励みになるのではないでしょうか。

起業に向いているタイプ

起業にはさまざまなメリット・デメリットがあり、決して誰にでも向いているわけではありません。では、起業に必要な資質とはなんなのでしょうか。起業に向いている人の代表的なタイプをご紹介します。

責任感が強く、目標に向かって行動できる人

責任感が強いことは、起業に必要不可欠な資質と言えます。受け身や他責的なスタンスではなく、常に自らの行動に責任を持ち、主体的に目標を達成しようとするタイプでないと、事業を軌道に乗せることは難しいでしょう。

自分の強みを知っている人

コミュニケーション力のある親しみやすい人、行動力のある人、寡黙な技術者気質の人…。世の中には色々なタイプがいますが、自分の強み・特徴を理解している人は起業に向いています。自分の得意な分野で勝負する。苦手なことは人に任せて、自分の得意な領域で最大限のパフォーマンスを発揮する。事業を軌道に乗せるためには、そうした合理的な判断が必要となります。

人との出会いを大切にできる人

普段から人との出会いを大切にしている人は、起業に必要な資質を持っていると言えます。人脈が広がることで新しい取引が始まることもあれば、良き助言者やメンターと出会える可能性も高まります。頼れる取引先や助言者は、長くビジネスを続ける上で欠かせない存在です。中には「人付き合いが苦手…」という方もいるかもしれませんが、起業を目指すなら意識的に人との出会いを大切にしましょう。

起業に向いていないタイプ

起業に向いているタイプ

以下に挙げるタイプの人は、起業に向いてない可能性があります。もし自分に当てはまるポイントがあれば、考え方を見直してみることが大切です。

「起業すること」が目的になっている人

成功している起業家の多くは、明確な起業目的を持っています。「こうなりたい」「こういうことを実現したい」というブレない軸がある人は、判断に迷いがなく、迅速に行動することができます。また、困難を乗り越える強さがあるため、簡単に諦めることがありません。決して立派な目的である必要はありませんが、起業を成功させるためには明確な目的を持つことが必須条件と言えます。「会社が嫌だから」「仲間に誘われたから」といった軽い気持ちで、目的が曖昧なまま起業をしてしまうと、「起業すること」がゴールになり、短期間で失敗するケースが少なくありません。

変化に柔軟に対応できない人

起業したら、すべてが計画通りに進むとは限りません。事業が順調に進んでいても、ある時期に環境が変わり、状況が一変することもあります。こうした変化に直面したときに、今までのやり方や考え方を変えずに突き進んでしまうと、大きな失敗を招くこともあります。自分の信念は大切にしつつも、物事の変化に柔軟に対応することが重要です。

見栄っ張りな人

見栄っ張りなことが事業の急成長に寄与することもありますが、マイナスに影響することも珍しくありません。事業が軌道に乗る前から、「見栄」を優先して必要以上にオフィスの内装にお金をかけたり、従業員を増やしてしまうと、収支バランスが崩れ経営が傾いてしまうこともあります。事業の現状と将来の展望を踏まえて、どこにお金をかけるべきか冷静に判断することが肝要です。

起業するなら知っておくべきお金の知識

起業するなら知っておくべきお金の知識

起業のデメリットとして「社会保険や税金の知識が必要になる」を挙げた通り、起業したらお金の管理は自分で行わなくてはいけません。税理士や会計士といった専門家の力を借りることもできますが、事業を健全に継続するためには、経営者として税金と会計の基本知識は知っておく必要があります。起業に向けて、以下の2点は押さえておきましょう。

税金の種類

起業すると以下のような税金の支払いが発生します。法人と個人事業主とで、主にどんな税金の種類があるのか認識しておきましょう。

【法人にかかる税金】

法人税 法人所得に対してかかる国税です。税率は19%(15%)から23.4%で、法人の規模や所得により異なります。
法人事業税 法人税と同じく、法人所得に対してかかる税金で都道府県に納めます。税率は課税所得、事業開始年度、各都道府県等によって異なります。
法人住民税 法人都道府県民税と法人市町村民税の総称で、事業所がある自治体から課税される地方税です。法人所得税を基準とした「法人税割」とどの法人にも平等に課せられる「均等割」があります。
消費税 事業者として受け取った消費税と支払った消費税の差額を税務署に納めます。課税売上が1000万円未満の場合は、非課税事業者を選択することも可能です。
固定資産税・償却資産税 保有している固定資産にかかる地方税です。固定資産税は土地・家屋に対して、償却資産税は土地・家屋・自動車以外の償却資産に課税されます。

【個人事業主にかかる税金】

所得税 所得(収入から経費と所得控除を引いた金額)に対して課税される国税です。所得によって税率は異なり、所得が高いほど課税額も増えていきます。
個人住民税 都道府県民税と市町村民税があり、税率は都道府県民税と市町村民税を合わせて課税所得の10%です。
消費税 法人と同様に消費税が課税されます。課税売上が1000万円未満の場合は、非課税事業者を選択することも可能です。
個人事業税 事業を営む個人の所得にかかる税金です。所得の3~5%を都道府県に対して支払います。所得が290万円以下の場合、個人事業税は発生しません。
固定資産税・償却資産税 法人と同様に固定資産税、償却資産税が課税されます。

ここで紹介した主な税以外にも、自動車の保有・所得にかかる税金などさまざまな税金の種類があるので確認してみてください。

決算書の読み方

決算書とは企業の財務状況や経営成績を示す書類のことを言い、正式には財務諸表と言います。中でも重要なものが、「損益計算書(P/L)」「貸借対照表(B/S)」「キャッシュフロー計算書(C/S)」と呼ばれる財務三表です。将来的には、こうした決算書の数字から会社の経営状況を読み解くことが必要になってきますが、まずは書類の意味を把握しましょう!

財務三表

損益計算書(P/L)
1年間に発生した売上高(収益)の合計額から、費用の合計額を引いた「利益」を表す書類です。

賃借対照表(B/S)
1年間の期末時点において、どれだけの資産と負債があるかを示す書類です。「資産の残高」を把握することができます。

キャッシュフロー計算書(C/F)
1年間のお金の流れを表す書類です。期末時点での「現金の残高」を把握することができます。

起業のメリット・デメリットに関するまとめ

ここまで、起業のメリット・デメリット、起業に向いているタイプ・向いてないタイプ、知っておくべきお金の知識をご紹介しました。起業には「自由度が高い」というメリットがある一方で、「責任が重くなる」「収入が不安定になる」などのデメリットがあります。また、起業したら、会社員時代には必要のなかった税金や会計の知識も身につけなくてはいけません。起業を検討する際は、メリットだけでなくデメリットにも目を向けて判断することが重要です。また、向き・不向きがあるため、自分に向いているのか冷静に考える必要があります。

「ゼロから1人で起業するのは不安…」という方は、フランチャイズの加盟店や代理店として起業する方法もあります。さまざまな選択肢を検討し、是非自分に合った方法を見つけてください!

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