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宅配ドライバーとして開業するには?必要なものやメリット・デメリットをわかりやすく解説

新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、オンラインショッピングの利用者は近年増え続けています。それに伴い需要が高まっているのが「宅配ドライバー」です。この記事では、宅配ドライバーとして開業・独立を検討している方に向けて、許可申請の仕方や必要なもの、メリット・デメリットなどをわかりやすく解説します。宅配ドライバーの開業に必要な情報について説明していますので、ぜひお役立てください。

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宅配ドライバーの仕事とは

宅配ドライバーは、荷物や商品をトラック、バン、または軽自動車などの車両に積み込み、顧客のもとへ配達する仕事です。荷物を届けるシンプルな仕事ですが、配達先やルートを確認し、最適な配達順序を計画することが求められます。また、荷物の積み下ろしの際の迅速さや丁寧さ、顧客との丁寧なコミュニケーションといった接客技術も大切です。
一般的には荷物の配送以外にも受け取りや配達料徴収なども行い、さらに近年では荷物だけでなく雑誌やパンフレットなどの配達も始まるなど、取り扱う種類も増えています。

宅配ドライバー開業の形態と許可申請

宅配ドライバーを開業する場合、主に次の2つの形態があり、どちらも運輸局の許可が必要となります。

●一般貨物自動車運送事業として「緑ナンバー」で開業する
●貨物軽自動車運送事業として「黒ナンバー」で開業する

それぞれの特徴をご紹介します。

一般貨物自動車運送事業(緑ナンバー)

一般貨物自動車運送事業とは、「他人からの依頼を有償で受け、事業用トラックを使って貨物を運ぶ事業」のことです。事業に使う自動車には、緑地に白色ナンバーの「緑ナンバー」が付けられます。一般貨物自動車普通事業はトラックや大型トラックなどが対象で、軽自動車やバイクによる貨物の輸送はこの事業に含まれません。

一般貨物自動車運送事業を始める際には、まず国土交通大臣または地方運輸局長の許可が必要となります。事業を始める前に、許可基準を満たす事業計画書や営業所の図面、運行管理者資格者証など、さまざまな書類を運輸局へ提出します。申請受付から許可の取得までは3~5カ月程度かかり、申請書に不備がある場合などはさらに延びるため、開業準備は余裕を持って取り組みましょう。

事業計画の主な基準は以下の通りです。
※以下は中部運輸局の基準になります

・おおよそ10㎡以上の専有できる広さで、机やいすなど、営業上の対応ができる設備がある営業所があること
・原則として車庫が営業所に併設されていること。ただし、併設できない場合も営業所からある程度の距離の範囲内であること
・事業用車両が種別ごとに(例えば普通貨物車)5両以上あること。また十分な人数のドライバーと整備管理者を確保すること
・事業をスタートするための資金が十分にあり、調達の目途が立っていること(事業開始に要する資金の内訳は、人件費や土地費、建物費、車両費、車両にかかる保険料など)
・運行管理体制が整っていること
・従業員が社会保険に加入していること

さらに、運輸局への申請の翌月以降、登記されている事業担当常勤役員1名が法令試験に合格する必要があります。法令試験は2カ月に1回(奇数月)に実施されていて、出題数は30問、8割以上の正解で合格となります。初回の試験に不合格でも翌々月に再試験を受けられますが、2回不合格の場合は申請が却下されるので注意しましょう。法令試験をクリアし、必要書類が揃えば緑ナンバーを取得できます。運輸支局長の許可を得て運輸開始届を提出するまで最低でも6カ月以上かかります。
※参考:国土交通省中部運輸局「一般貨物自動車運送業とは」

一般貨物自動車運送事業が向いている人

一般貨物自動車運送事業を開業するための条件を満たしやすく、すでに社会的信頼を得ているような法人の方が向いています。開業条件にある、営業所の用意・資金や人材の確保は、個人ではなかなか難しいケースが多く、また、個人事業主でもドライバーを雇用すれば開業は可能ですが、法人に比べるとどうしてもハードルは高くなりがちです。

貨物軽自動車運送事業(黒ナンバー)

貨物軽自動車運送事業とは、「軽自動車、または125cc以上の自動二輪車などの車両を使用し、運賃をもらって荷物を運送する事業」のことです。軽バンや軽トラックで運ぶことから一般貨物自動車(普通トラック以上)と比べると積載量は少なくなりますが、一般貨物自動車運送事業で必須だった許可申請や法令試験は不要で、開業に必要な条件のハードルは低くなります。
事業を始めるには、管轄の運輸局に貨物軽自動車運送事業経営届書を提出し、事業に使う車両を登録する必要があります。そして、届出完了の証明として受け取った事業用自動車等連絡書を軽自動車検査協会に提出すれば、最短即日受理・登録され、黒地に黄色ナンバーの「黒ナンバー」を取得できます。

事業を開始するにあたっての主な基準は以下の通りです。
※以下は中部運輸局の基準になります

・営業所・休憩施設がある(自宅でも可)
・車庫は原則営業所に併設、難しい場合は2km以内に用意する
・運送約款を作成する(国土交通省が告示した「標準約款」と同じでも可)
・適正な運営ができるよう管理体制を整える

整備管理者は不要で、必要なドライバーは1名以上のため、単身で開業することが可能です。宅配ドライバーとして独立したいと考える方にとっても、開業しやすいところが魅力と言えるでしょう。
※参考:国土交通省中部運輸局「貨物軽自動車運送事業とは」

貨物軽自動車運送事業が向いている人

貨物軽自動車運送事業は、軽トラックなど車両1台と適切な広さ・場所の車庫があれば始めることができるため、初期費用を抑えたい方、個人事業主として1人で独立したい方に向いています。また、自身で運送スケジュールを管理することから、計画的に作業を進めることに自信がある方も向いていると言えるでしょう。

宅配ドライバーの開業として始めやすいのは貨物軽自動車運送事業

宅配ドライバー開業の形態の一つである「貨物軽自動車運送事業」なら軽トラックや軽バン1台で済み、中型・大型トラックに比べて免許の取得や保険料・税金も割安なため、初期費用やランニングコストを抑えることができます。
開業後は、事業の成長に合わせて車両を増やしたり配達エリアを拡大したりできるようになるでしょう。まずは貨物軽自動車運送事業で資金や人脈を作ってから、一般貨物自動車運送事業を開業するという道もあります。

宅配ドライバーの開業に必要なもの

ここからは、宅配ドライバーの中でも開業しやすい「貨物軽自動車運送事業」を始めるにあたり、準備が必要なものについて詳しく解説します。

運転免許証

車両を運転するため、運転免許証は必須です。大型トラックを運転するには大型自動車免許(普通自動車第二種免許)が必要ですが、貨物軽自動車の運転には一般的な普通自動車運転免許(普通自動車一種免許)でも十分です。普通自動車運転免許を取得するまでの費用は、全国平均で30万円ほどになります。

車両

貨物軽自動車運送事業を始めるために用意した軽トラックや軽バンなどの車両の両側面には氏名、または名称(屋号)を表示します。車両は新車でも100~150万円程度で購入できますが、中古車を選べば、初期費用をより抑えられるでしょう。
また、以前は自家用車を利用する場合、車検証の用途欄に「貨物」と記載されていなければなりませんでしたが、令和4年10月27日から軽乗用車も貨物軽自動車運送事業用の車両として使用することが可能となりました。ただし、軽乗用車を使用する場合でも、貨物軽自動車運送事業の届出を行った上で、軽自動車検査協会で事業用のナンバープレート(黒ナンバー)の発行を受ける必要があります。

営業所・車庫

貨物軽自動車運送事業では、開業の際に必要な届出書に営業活動と運転者の管理を行う「営業所」の記載が求められます。事業の拠点となる営業所は、自宅を登録することも可能です。事務作業や営業活動を行うための場所になるため、電話やインターネットなどの通信設備が整っていることが望ましいです。また、「車庫」は原則として営業所併設が前提ですが、併設できない場合は営業所から2km以内に設けることが求められます。

自賠責保険・各種任意保険

事業を行う際には、車両や荷物、事業自体のリスクをカバーするためにいくつかの保険への加入が必要です。以下に、貨物軽自動車運送事業で必要な主な保険について説明します。

・車両保険
車両の事故による損害を補償する車両保険には、強制保険(自賠責保険)と任意保険があります。自賠責保険への加入は法律で義務付けられており、車両の登録時に加入しますが、カバーしてくれるのは対人賠償のみです。任意保険は、より広範囲の保障を提供するもので、物損や自然災害、単独事故などにも対応してくれるため、事業の規模やリスクに応じて適切な任意保険を選択することをおすすめします。ただし、黒ナンバーの任意保険は自家用車の保険料よりも高い傾向があり、補償額の上限や特約の追加によっても料金は大きく変わるので注意しましょう。

・荷物保険
荷物保険は、配送中の荷物が盗難、紛失、損傷などのトラブルに遭遇した際に、その損害を補償する保険です。正式名称は「運送業者貨物賠償責任保険」と言い、火災・爆発、トラック同士の衝突、雨や雪による水漏れなどにも対応してくれます。保険の対象となる損害は各保険会社が定めていますので、事前に確認しましょう。自賠責保険のように義務付けされているわけではありませんが、加入しておくと安心です。

宅配ドライバーとして仕事を獲得する方法

宅配ドライバーとして開業し、仕事を獲得するには主に2つの方法があります。

フランチャイズに加盟する

選択肢は限られますが、大手運送会社等とフランチャイズ契約を結ぶというのも選択肢です。大手運送会社のフランチャイズに加盟すれば、主に以下のようなメリットがあります。

・ブランドの看板を掲げられる
個人事業主は一から顧客開拓をするのが基本ですが、フランチャイズに加盟すれば本部の知名度やブランド力を利用して集客できます。既に確立されたブランドを利用できるので、顧客の信頼も得やすいでしょう。

・収入が安定する
本部から仕事を回してもらえるため、独立開業したのに収入がないという事態を避けられます。また、フランチャイズ本部によっては、加盟者は紹介された仕事以外にも独自の営業活動による受注ができるケースもあります。事業拡大を目指す方にとっては魅力的な点であると言えるでしょう。

・本部のサポートを受けられる
事業届出等手続きのバックアップや経営研修会などを実施しているフランチャイズ本部を選べば、開業前のサポートも期待できます。開業後も、これまで蓄積されたノウハウや知見を得ることで、安定した稼ぎ方を学べるのは大きなメリットと言えるでしょう。

また、フランチャイズ加盟者は、本部に対して加盟金やロイヤリティと呼ばれる一定の金額を支払う必要があります。しかし、上記のようなメリットから事業を始める際のリスクを軽減できるため、宅配ドライバーの経験が浅い方におすすめです。

委託元運送会社と業務委託契約を結ぶ

宅配ドライバーの業務委託契約とは、委託元運送会社と契約を結び、その会社から依頼を請け負う形態です。自ら開業した上で、運送会社と業務委託契約書や覚書などの書類を交わします。仕事は基本的に歩合制なため、受注した分だけ収入を増やすことができます。

運送会社との業務委託契約の特徴は以下の通りです。

・委託元運送会社はリソースを必要としているため、業務委託先となる宅配ドライバーは仕事を多く紹介してもらえる可能性がある
・宅配ドライバーが自由に配達ルートとスケジュールを決定できる。基本は自己責任で仕事を行う
・報酬の支払いは、配達した件数や距離に応じて行われることが一般的。経験を積むことで業務の効率が上がり、報酬を増やしていける

個人で開業した場合は、事業主としての営業力の強化や配送の効率化を進めることが収入を増やしていくカギになります。

宅配ドライバーとして開業するメリット

ここでは、宅配ドライバーとして開業するメリットを3つご紹介します。

自分のペースで仕事ができる

宅配ドライバーを個人で開業した場合は、休日の取り方や1日の労働時間、休憩時間など、基本的に働き方は自分で決めることができます。また、配達ルートを選択したり、配達する地域を選んだりすることも可能なので、特定の地域に絞ることもできます。会社勤めのビジネスパーソンとは異なり上司や同僚がいないため、人間関係によるストレスが少ないことも宅配ドライバーが人気である理由の一つです。

最近では、女性ドライバーの活躍も注目され始めています。タクシーやトラックなど女性ドライバーの雇用拡大を図るべく、国が積極的に就労を後押ししています。自分の生活スタイルと合わせながら勤務できる宅配ドライバーは、育児や介護といった家庭の事情と仕事を両立させたい方にとって魅力的な職業の一つとして選ばれているようです。
※参考:国土交通省「若年層・女性ドライバー就労育成・定着化に関するガイドライン」

仕事量に見合った収入を得られる

先述の通り、宅配ドライバーの収入は、主に配達の回数や荷物の重量、距離などに応じて支払われます。つまり、経験を積むことで1日に受けられる仕事量も徐々に増やせるようになれば、より多くの収入が得られる点も魅力の一つと言えるでしょう。また、配達に関するノウハウを吸収していけば、将来的には事業拡大や法人化できる可能性もあります。

家賃の一部などを経費計上できる

貨物軽自動車運送事業として開業するには前述の通り「営業所」の登録が必要ですが、自宅を営業所に指定することも可能です。その場合、確定申告で自宅家賃の一部を「事務所費」として計上できます。このように発生した費用のうち、事業で利用した分を振り分けることを「家事按分」と言います。また、営業所に必要な電気代、光熱費、電話代、通信費、消耗品費なども家事按分として計上できる場合があるため、事業としてかかった費用については領収書を残しておくと良いでしょう。

宅配ドライバーとして開業するデメリット

開業のメリットについてお伝えしましたが、一方でどのようなデメリットがあるのでしょうか。ここでは、宅配ドライバーとして開業する際に注意すべき点を3つご紹介します。

確定申告などの事務作業が必要になる

開業のための申請や準備、手続き、確定申告などの事務作業は、人を雇わない限りすべて自分で行う必要があります。開業時には届出や保険の手続きが必要ですし、会計処理や経費管理は定期的に行わないと、確定申告の際に多くの時間と労力をかけることになりかねません。
ただ、最近では業務を効率化してくれるソフトウェアやクラウドサービスが多数ある他、事務作業の一部をアウトソーシングして外部業者にお願いすることもできます。配送業務に専念したい場合や事業拡大により忙しくなった際は、こうしたサービスを導入することも選択肢の一つです。

ケガや病気の補償がない

ケガをした、または病気になった場合、個人事業主は基本的に補償がありません。働けなくなった場合の治療費や生活費、そして子どもの教育費やローンの支払いなど、家族や家計に負担がかかるのは心配なポイントです。

軽貨物運送業では、個人事業主でも会社員やアルバイトが加入できる「労災保険」に入ることができます。加入には厚生労働省に認可された労災団体経由で労働基準監督署へ申し込みが必要です。
また、全国の商工会議所会員向けの休業補償プランもあり、収入の減少に備えることも可能です。他にも、フランチャイズで開業する場合、保障体制を整備している本部もあるため、そうした本部を検討するのも選択肢の一つとなります。

費用は自己負担になる

個人事業主の場合、車両の維持費、保険、年金などは自身で支払わなければならないので、会社員と比べて自己負担が多くなります。特に車両のガソリン代や高速代、保険料などは、毎月まとまった金額の支出となるでしょう。また、車検代やメンテナンス費用なども定期的に発生するので、収支計画に盛り込んでおく必要があります。

費用を削減する方法としては、以下のような選択肢があります。

・配達ルートの最適化を図り、運転する時間を減らしてガソリン代を削減する
・配達先を効率的にまとめることで、無駄な運行回数を減らす
・エンジンオイルの定期交換やエアフィルターの清掃、タイヤの空気圧などをチェックして、燃費を向上させる
・車両保険について複数の保険会社のプランを比較し、適切な保険料を把握する
・スケジュール調整、配達先の管理などにオンラインツールやアプリを活用し、業務の効率化を図る

まとめ

宅配ドライバーは個人で開業しやすい職業と言えるでしょう。中でも貨物軽自動車運送事業(黒ナンバー)は初期費用が比較的少なく条件や手続きもシンプルなので、開業までの時間を短くすることができます。ただ、開業当初は思ったように仕事を受注することが難しい場合もあるため、経験の浅い方や経営に自信のない方はフランチャイズに加盟し、ノウハウを学びながら独立・開業することをおすすめします。

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