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唐揚げ屋を開業するには?メリット・デメリットと成功に導く5つのポイントを詳しく解説

「唐揚げ」は老若男女を問わず人気のメニューで、テイクアウトを中心とした専門店がここ数年増え続けています。この記事では、唐揚げ屋を開業するメリットとデメリット、出店を成功に導く5つのポイント、開業に必要な資金や許可について詳しく解説します。唐揚げ屋開業にあたる必要な情報をひととおり網羅していますので、ぜひ参考にしてみてください。

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唐揚げ屋を運営する企業数は2017年から2倍に増加

東京商工リサーチによると、唐揚げ屋を運営する企業は2017年3月末時点で109社でしたが、2021年9月末の時点で235社と、約2.1倍に増えています。2017年から2018年にかけて大手チェーン店の参入を各メディアが取り上げたことでブームとなり、注目度が高まったことが増加の理由として挙げられます。さらに、2019年以降の新型コロナウイルス感染拡大による宅配需要の伸びも、市場拡大に拍車をかけた要因の一つと言えるでしょう。

日本惣菜協会の『2022年版惣菜白書』を見ると、消費者の購入頻度が高い惣菜商品では「鶏の唐揚げ」が「弁当」「おにぎり」に次ぐ第3位にランクインしており、唐揚げが人気のメニューであることが分かります。価格帯も安価であり、ご飯のお供やおつまみになる唐揚げはデリバリーやテイクアウトとも相性が良く、自宅で調理する煩わしさも相まって、大手チェーン店などの新規参入がここ数年で目立っていました。

※参考:株式会社東京商工リサーチ「『からあげ屋さん』が2017年から2倍に この出店攻勢は続くか」
※参考:(一社)日本惣菜協会「惣菜白書」(2022年度版)

唐揚げ屋開業3つの形態

唐揚げ屋を開業するには、次の3つの形態があります。

●フランチャイズに加盟して開業する
●個人で開業する
●キッチンカーを使って開業する

それぞれの特徴をご紹介します。

フランチャイズに加盟して開業する

「フランチャイズ」とは、個人もしくは法人が、本部(フランチャイザー)と契約を締結し、加盟店(フランチャイジー)として加盟金やロイヤリティを支払うことで商標の使用権や商品&サービスの販売権、経営にまつわるサポートなどを得られる仕組みです。本部が培ってきた知識や経験を活かして経営できるため、個人事業や法人設立にゼロから挑戦するよりも、比較的安定的かつ短期での独立開業に期待ができる点が特徴です。

また、本部によっては立地の選定や仕入れ先選び、従業員教育までサポートしてもらえるため、未経験者でも高い品質とサービスを提供できるというメリットがあります。さらに、本部がこれまで培ってきたブランド力を利用できることから、広告宣伝費が節約できるという点も強みです。フランチャイズに加盟した場合、ブランドイメージを守るため本部の方針に沿って運営する必要がありますが、契約上は対等なビジネスパートナーという関係になります。

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個人で開業する

物件探しや内装工事など開業前の準備から、開業後の経営まで全て個人で行う形態です。食材の仕入れや値付け、内装やメニュー作りなど自分で自由に決めることができます。一方、フランチャイズに加盟するケースとは異なり、開業前や開業後のサポートを受けられないため、店舗運営のノウハウや経験が必要となってきます。

キッチンカーを使って開業する

コロナ禍におけるテイクアウト需要の高まりから注目されているのが、キッチンカーです。調理設備を備えた移動販売車のため、商業施設や平日のビジネス街、イベント会場など人が集まる場所へ移動しながら出店できる点が魅力です。人が多く集まり、かつ競合となる唐揚げ店や弁当屋が少ない場所での出店が、売上を伸ばすための重要なポイントとなってくるでしょう。出店場所の確保のためには、キッチンカー専門の出店サイトや地域の商工会議所・観光協会などから情報収集をすることが必要となってきます。

また、キッチンカーを使って個人で開業するとして新たに車両を購入する場合は、200~500万円程度の初期投資が発生するため、実店舗を構える場合と大きな差はありませんが、キッチンカーを短期レンタルできるサービスを利用すれば初期投資を抑えることが可能です。ただし、駐車場代や営業場所の賃料、ガソリン代など毎月の運転資金がかかるため、それらを考慮した上で利用を検討しましょう。

唐揚げ屋を開業するメリット

ここでは、唐揚げ屋を開業するメリットを4つご紹介します。

初期費用・運転資金が抑えられる

唐揚げ屋はテイクアウト中心の店舗経営が多く、10坪以内の狭いスペースでも開業が可能です。店舗面積が小さければそのぶん発生する家賃を抑えられるため、初期費用や運転資金を減らすことにつながります。また、テイクアウト専門の店舗ではお客様が店内で食べるためのテーブルやイスを用意する必要がなく、フライヤーなど調理に使用する厨房機器を揃えるだけとなるため初期費用を抑えることができます。

食材の原価率を抑えやすい

唐揚げに使う鶏肉は、牛肉や豚肉に比べて安く手に入ります。流通用に品種改良された国産のブロイラー(若鶏)なら比較的安価で購入できますが、外国産であればそれよりさらに安く購入できます。例えば、ブラジル産やタイ産など仕入れ原価が安い鶏肉なら、利益率を上げやすいでしょう。

メニューのアレンジがしやすい

唐揚げは、定番の塩味や醬油味だけでなく、カレー粉やケイジャンパウダーを使ってスパイシーに仕上げるなど、アレンジによる豊富な味のバリエーションが展開しやすいのも魅力の一つです。モモやムネだけでなく手羽先、砂肝、半身揚げといった部位ごとのメニューを揃える店や、スパイスや果物など20種類以上の材料を熟成させた秘伝のタレを持つ店など、個性を打ち出す店舗も少なくありません。差別化を図るためには他店のメニューのリサーチが必要不可欠となってきます。

さまざまなニーズに対応できる

唐揚げは夕飯の主役としてだけではなく、小腹がすいた時のおやつ、お酒のつまみとしても需要が高いため、幅広い時間帯で集客が可能です。また、年齢を問わないためターゲットも広く設定することができます。先述の通り、唐揚げが消費者の購入頻度の高い惣菜として上位に入っているのは、こうした「幅広い時間帯で販売可能」「ターゲットの層が広い」ことも背景にありそうです。

唐揚げ屋を開業するデメリット

前の章で唐揚げ屋を開業するメリットについてお伝えしましたが、一方でどのようなデメリットがあるのでしょうか。ここでは、開業の際に注意すべき点を2つご紹介します。

競合店が多い

すでに述べた通り、唐揚げ店はここ数年で急増しているため、地域によっては飽和状態になっています。また、弁当屋や定食屋などの飲食店、惣菜に力を入れるスーパーも競合に含まれます。対策として、事前に出店を検討している地域の人口や人の動き、周辺の競合店を調べておくことや、他店との差別化を図ることが大切です。

単価が低い

原価を抑えやすい鶏肉を使う唐揚げは、設定できる商品単価自体も低いため、客足が増えるよう工夫し売上を確保する必要があります。売上は客単価×客数という2つの要素で決まるため、1人あたりの平均単価を1,000円と仮定すると、1日に50人来れば売上は5万円、100人来れば10万円ということになります。1人あたりの購入額を上げるために、アレンジメニューを取り入れるといった努力は必要ですが、短期間で客単価を上げるのは至難の業です。そのため、お客様を増やすための施策に力を入れて効率的に集客するほうが、売上アップを実現しやすいでしょう。

唐揚げ屋を開業するときのポイント

ここまで、唐揚げ屋を開業する際のメリットとデメリットを見てきましたが、実際に開業する際には、出店場所の選択や顧客を増やすための施策など、検討すべきことが多くあります。そのポイントを5つにまとめました。

出店場所を綿密に検討する

出店先は集客しやすい場所であることが大前提で、そのためには出店する地域の人口や人の流れを把握する必要があります。たとえ人口が少なくても、昼間人口(※)が多いビジネス街エリアであればランチ需要が見込めるでしょう。人口については自治体がそれぞれの地域ごとの世帯と人口を公表しているので、そちらを参考にしましょう。

人の流れについては、都市部では主に歩行者の多さが重要となってきますが、一方で郊外に多いロードサイド店(※)では車の交通量も重視されます。また、立地が良いほど家賃は高くなる傾向があるため、「ついで買い」がしやすい商業施設の近くや、惣菜需要が多い住宅街の近くなど、唐揚げ屋に適した立地をうまく見極めることが大切です。

※昼間人口:その地域に住んでいる人口に、他の地域から通勤・通学してくる人口を足し、さらに他の地域へ通勤・通学する人口を引いたもの
※ロードサイド店:幹線道路沿いなど、交通量の多い道路の沿線にある店舗のこと。車やバイクなどで沿線を通る顧客がターゲットとなる

初期費用をできるだけ抑える

唐揚げ屋の初期費用を抑える方法の一つに、「居抜き物件の活用」があります。厨房設備やエアコン、内装などをそのまま利用できますが、開業後に設備の故障に気付いた場合は交換などで想定外の費用が発生する場合もあるため、契約前に状態を細部まで点検・把握しておくことが大切です。 また、新規物件を取得した場合の内外装工事については、工事代金が適正かを判断するために複数社から見積もりを取りましょう。

他にも、中古の厨房機器を利用することで初期費用を抑える方法もあります。冷蔵庫・冷凍庫などは使用年数によってモーターの寿命が著しく短い場合もあるので中古はあまりおすすめできませんが、唐揚げ調理に欠かせないフライヤーであれば新品の半額以下で購入できるものもあるため、一度調べてみましょう。

デリバリーサービスへ出店する

売上を伸ばすための工夫として、フードデリバリーサービスへ出店するという方法もあります。コロナ禍で急速に拡大したフードデリバリーの利用は、新規顧客の獲得やリピーターの確保につながりやすいという点が魅力です。 出店先のデリバリーサービスによっては、オーダー受け付け用タブレットや、メニュー用の写真撮影などで初期費用が発生することがあります。また、テイクアウト専門店でない場合は、容器やカトラリーを用意する必要があります。

さらに、売上の30%~40%が手数料としてかかるため、それを踏まえた価格設定をしましょう。同じエリアの競合店の価格と比較したり、デリバリー限定のメニューを加えたりするなど、利益率を落とさない工夫が大切です。

仕入れ先を慎重に探して交渉する

唐揚げ屋は、メイン材料の鶏肉をどう仕入れるかで利益率に大きな差が出てきます。まず選択肢として、国産と海外産のどちらを使用するかということが挙げられますが、国産の鶏肉は鳥インフルエンザの影響などさまざまな要因で価格が上昇しており、一方海外産も為替の影響を受けやすいという特徴があります。また、鶏肉の仕入れ先については、基本的に卸業者が多いものの、生産者から直接買い付けているケースや、全国の食肉卸業者が出店している業務用食材のECサイトから購入するケースもあります。

仕入れ値を抑えるためには、

●調達先を1カ所に限定せず、同程度の品質であればより安い業者を選ぶようにする。また、半年もしくは年に1回価格交渉を行う
●毎日一定数を仕入れるのではなく、ある程度在庫が減った時点で発注をかけるなど、発注回数を減らすことで配送費を抑える
●卸業者の中には、買い掛けではなく仕入れ時に現金支払いにすることで割引してくれるケースもあるため、交渉してみる

以上のように、仕入れ値については工夫することで下げられる余地があります。 また、フランチャイズであれば仕入れについてもサポートが受けられることがあり、その場合自分でゼロから購入まで動く必要が無いため、材料確保に関する手間を減らすことができます。

店舗の外装とプロモーション

集客に繋がる外装になっているか、適切なプロモーションを行っているかは売上に大きく影響するポイントです。外装は店のイメージを左右するため、看板のロゴやイラストを含めた外装で「うちの唐揚げは旨いですよ」と表現できると良いでしょう。また、大通りから少し離れた立地でも認識されやすい突き出し型の看板やスタンド型の看板も集客に効果があります。

他にも、開業時にはオープン記念キャンペーンなどの販売促進策を講じることも重要です。まずは認知度の向上が必須であるため、期間限定の割引セールを実施する、来店を促すクーポンを配布する、といった施策で集客を図りましょう。フランチャイズであれば一定の認知度に加え、プロモーションのノウハウもあるのでより効果的な販売促進ができると考えられます。

唐揚げ屋開業に必要な資金

ここからは開業に必要な資金や資格、届け出などをまとめて紹介します。

開業するために必要な資金

唐揚げ屋を開業するために必要な資金は、200~500万円程度が相場と言われています。テイクアウト専門店の場合は小さい店舗面積でも開業できるため、100万円台まで抑えられるケースもあるようです。

主な初期費用としては、「物件取得費」「内外装工事費」「厨房機器購入費」「初期食材費」が挙げられます。それぞれの費用を具体的に見ていきましょう。

物件取得費

物件を契約する際に必要となる費用で、具体的には保証金、礼金、仲介手数料が挙げられます。保証金は家賃の3~10カ月分、礼金は0~2カ月分、仲介手数料は1カ月分が相場ですので、おおむね家賃の10倍程度が必要と考えておきましょう。つまり、家賃が15万円だと150万円の物件取得費用が必要になります。

内外装工事費

内外装工事費はテイクアウト専門店、イートイン店舗、デリバリー店舗など、店の形態によって異なりますが、テイクアウト専門店の場合数十万円から150万円以上が相場とされています。あまり細部にこだわりすぎると工事費が高くなるので、重視する箇所を決めておくことをおすすめします。相見積もりも必ず取りましょう。

厨房機器購入費

唐揚げ屋に必須な厨房機器と言えば、フライヤーです。それ以外にも冷蔵庫、冷凍庫、作業台などの購入が必要で、全部で数十万円から150万円程度が相場となります。業務用のフライヤーは10万円から100万円以上と価格帯もさまざまで、ガスと電気の2種類があります。

ガスフライヤーは火力の強さが特徴で、注文が殺到した場合も短時間で多く調理できることからお客様を待たせる時間が少なくなります。一方、電気フライヤーは火を使わず安全で、温度管理も簡単なため、経験の浅いアルバイトでも問題なく調理できます。

食材費

食材費は、唐揚げの主な材料となる鶏肉の仕入れ方によって増減しますが、味付けに使う調味料やタレなども含めた目安は、30~70万円程度となります。

金融機関からの融資も検討しておく

初期費用を抑えやすい唐揚げ店とはいえ、数百万円の投資が必要となるため金融機関からの融資が必要な方もいると思います。初めて融資を受ける場合は、政府系金融機関を利用することも選択肢の一つです。政府系金融機関なら創業サポートなどのサービスもあるので、検討してみてはいかがでしょうか。

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唐揚げ屋開業に必要な資格・届け出

ここからは、唐揚げ屋を経営する際に必要な資格や届出について解説します。

飲食店営業許可証

イートイン店の場合、出店エリアを管轄する自治体の保健所の許可が必要です。開業前に保健所の店内検査を受け、各自治体が定める施設基準を満たしていると判断された場合に交付されます。申請に必要な書類は、食品衛生責任者証明書、飲食店営業許可申請書、店舗の見取り図、法人の場合は登記事項証明書などです。申請料は管轄の保健所によって異なりますが、16,000~19,000円が相場です。

防火管理者

施設の収容人数が30人以上の店舗は、防火管理者の設置が必須です。消防署などが実施する講習を受講すれば資格を取得できます。

移動販売車の営業許可

キッチンカーで移動販売する場合は、保健所の営業許可が必要です。例えば、東京都内の保健所で営業許可を取得すれば、都内全域で営業が可能です。

また、営業許可を取得する都道府県によってはキッチンカー内での食材の仕込みが禁止というエリアもありましたが、2021年6月に食品衛生法が改正されてからは、容量約200リットルの給廃水タンクを設置したキッチンカーであれば車内の仕込みが可能になりました。

※参考:厚生労働省「食品衛生法の改正について」

開業届

開業届は、オープンから1カ月以内に税務署へ提出しなければなりません。提出しなくても罰則はありませんが、開業届の提出と一定の条件を満たすことによって、青色申告制度を利用できるようになり、最高65万円の特別控除を受けられるようになります。

まとめ

キッチンカーの急増やデリバリーサービスの普及といった追い風を受け、唐揚げは「テイクアウトの定番」となりつつあります。

フランチャイズで開業しやすい業態の一つですが、有名店の出店が相次いでいるため、しっかりと調査や準備をしておかないと数ある競合店の中で埋没してしまう可能性もあります。フランチャイズ開業が初めてで自信がない方はフランチャイズ本部に加盟し、ノウハウを学びながら出店に向けた準備を整えていくと良いでしょう。

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