なぜ高田馬場はカレー屋が多いのか?類似エリアとの比較を通じてその理由を徹底考察!
早稲田大学をはじめ近隣に多くの大学を有することから、東京屈指の学生街として知られる高田馬場。実は、この街は「カレー屋の激戦区」という一面も持っています。この記事では、高田馬場と近しい商圏データを持つエリアとも比較しながら、高田馬場にカレー屋が多い理由を探っていきます。カレー屋の開業を検討している方は、是非参考にしてください。
<INDEX>
高田馬場は都内随一のカレー激戦区
「学生の街」というイメージの強い、高田馬場。駅から1kmの範囲に、早稲田大学や東京富士大学、学習院大学、桜美林大学など多くの大学が集中しており、若者向けの飲食店や娯楽施設も充実しています。東京最大級の繁華街である新宿と池袋の中間地点という立地に加え、3路線(JR山手線、東京メトロ東西線、西武新宿線)が利用できる利便性の高さも高田馬場という街の魅力の1つです。
そんな高田馬場、実はカレー屋の激戦区であることをご存知でしょうか?Google Mapで高田馬場駅(西武池袋線)から半径500m以内にあるカレー屋(カレー専門店、インド系料理店)を集計したところ、その数はなんと13軒!なぜ高田馬場にカレー屋が集中するのか。商圏データ(マケプラ調べ)を見ながら、その理由を探っていきましょう。
高田馬場の商圏データ(西武新宿線・高田馬場駅から半径500m以内)
複数路線が乗り入れる乗換駅らしく、乗降人数は約30万人。居住者の世代別人口を見ると「20代」の比率が高く、世帯年収分布では「300万円未満」が多いことから、若者や単身者が多く住んでいる街であることが読み取れます。特筆すべきは、昼間人口(※)が総人口の約3倍にのぼること。通勤や通学を目的とした利用者が非常に多いことは、商圏としての大きな特徴と言えます。20代の若者や単身の居住者が多く、さらに他所からも通勤、通学のために多くの人が集まってくるエリアであること。これが高田馬場にカレー屋が多く集まる理由の1つかもしれません。果たして、この推察が的を射ているのか。続いて高田馬場と商圏データが類似するエリアを比較しながら、もう少し深く考察していきましょう。
※昼間人口:その地域に住んでいる人口に、他の地域から通勤・通学してくる人口を足し、さらに他の地域へ通勤・通学する人口を引いたもの
高田馬場と商圏データが類似する3つのエリア
これからは「マケプラ」を利用してピックアップした、高田馬場と商圏データが似ている以下3つのエリアを取り上げます。
- 江古田(西武鉄道池袋線・江古田駅)
- 西日暮里(東京メトロ千代田線・西日暮里駅)
- 蒲田(JR京浜東北線・蒲田駅)
商圏データが類似しているエリアは、高田馬場と同様にカレー屋が多いのでしょうか。エリアごとにどんな違いがあるのか見ていきましょう。
江古田の商圏データ(西武鉄道池袋線・江古田駅から半径500m以内)
高田馬場と同じく学生の街として知られる江古田。日本大学芸術学部や武蔵野音楽大学、武蔵大学など、多くの大学が駅から500mの範囲に集まっています。商圏データを見てみると、総人口は高田馬場と同様に1.6万台。居住者の世代別人口では高田馬場ほど「20代」の人数は突出していないものの、20代・30代の若年層が多く、世帯年収分布も500万円未満が中心となっており、似た傾向にあることがわかります。その一方、昼間人口、駅の乗降人数では大きな差が見られます。
そんな江古田駅には、カレー屋がどれくらいあるのでしょうか。Google Mapによると、江古田駅(西武池袋線)から半径500m以内にあるカレー屋の数は8軒でした。高田馬場ほど多くはないものの、決して少なくはない店舗数と言えます。この結果から考えられるのは、やはり高田馬場と同様に大学が近くにあり、若者や単身者が多く住んでいるエリアは一定のカレー需要が見込めること。ただ、高田馬場のような激戦区にはなっていないことを考えると、カレー屋が集中する要因として昼間人口や駅の乗降人数がより重要なポイントなのかもしれません。
西日暮里の商圏データ(東京メトロ千代田線・西日暮里駅から半径500m圏内)
次に取り上げるエリアは、西日暮里です。下町情緒が味わえる散策コースとして近年人気を集める「谷根千(谷中・根津・千駄木)」からほど近い西日暮里駅。西口には住宅街が、東口には歓楽街が広がっています。高田馬場と同様に複数路線の乗換駅になっており、JR山手線・京浜東北線、東京メトロ千代田線、日暮里・舍人ライナーが利用でき、利便性に優れています。商圏データを見ると、総人口は高田馬場とほぼ同じ。居住者の世代別人口の「20代」や、世帯年収分布の「300万円未満」の数は高田馬場に比べるとやや少ないものの、全体の傾向としては類似しています。ただし、駅の乗降人数は高田馬場の水準までは届かず、昼間人口では大きな隔たりが見られました。
そんな西日暮里をGoogle Mapで調べてみると、西日暮里駅(東京メトロ千代田線)から半径500m以内に12軒ものカレー屋がありました!西日暮里は高田馬場と同様に、狭い範囲にカレー屋がひしめく激戦区と言えます。
先に取り上げた江古田と西日暮里を比較してみると、昼間人口については江古田も西日暮里も、高田馬場の半分にも及びません。一方、乗降人数については大きな差があり、西日暮里のほうが多いことがわかります。複数の路線が乗り入れていることは、西日暮里と高田馬場の共通点です。乗換駅で、ある程度乗降人数が多いこと。もしかすると、ここにカレー屋が集まる秘密があるのかもしれません。
蒲田の商圏データ(JR京浜東北線・蒲田駅から半径500m圏内)
3つ目に取り上げるのは、大田区の繁華街・蒲田です。京浜エリアの下町といったイメージが強く、「高田馬場と類似したエリア」と言われても、あまりピンと来ないかもしれませんが、交通の便が良いところは高田馬場と共通した特徴と言えます。蒲田駅にはJR京浜東北線、東急池上線、東急多摩川線の3路線が乗り入れており、10分ほど歩けば京浜急行の京急蒲田駅も利用可能。商圏データを見ても、総人口だけでなく、昼間人口や駅の乗降人数も高田馬場と非常に近いことがわかります。居住者の世代別人口や世帯年収分布も多少の違いはあるものの、目立った差分はなく似た傾向が見られます。
これだけ高田馬場と類似した商圏データを持つ蒲田。果たしてカレー屋は多いのでしょうか?Google Mapで蒲田駅(JR京浜東北線)から半径500m以内を調べたところ、16軒ものカレー屋がありました!間違いなく、蒲田は高田馬場を超えるカレー屋の激戦区と言って良いでしょう。西日暮里と同様に蒲田にカレー屋が多いことから考えると、やはり「乗換駅で乗降人数が多いこと」がカレー屋の集まる大きな要因になっているようです。
まとめ:カレー屋の立地選びで重要なポイント
ここまで、高田馬場と商圏データの類似する3つのエリアを比較しながら、高田馬場にカレー屋が集中する理由を探ってきました。比較を通じて見えてきたのは、居住者の世代や世帯年収分布など商圏データが似ている4つのエリアは、カレー屋が多い傾向にあったこと。また、カレー屋が集中する要因として、近くに大学があることや、若者や単身者が多く住んでいることに加え、「乗換駅、あるいはターミナル駅等で乗降人数が多いこと」が大きく影響していることがわかりました。複数の路線が乗り入れ、人が集まりやすいエリアであることが重要なようです。
西日暮里は高田馬場や蒲田に比べると駅の乗降人数は半分程度ですが、それでもカレー屋の激戦区として肩を並べているのは、もしかすると「大学」の存在が大きいかもしれません。言うまでもなく、高田馬場は学生の街であり、昼夜問わず多くの学生で集まることがカレー屋の集中する要因の1つになっていると考えられます。一方、西日暮里は駅付近にこそ大学はないものの、沿線に多くの大学が集まっており、駅から2km以内に日本医科大学や東京芸術大学、東洋大学、文京学院大学などのキャンパスが点在しています。おそらく乗換駅として西日暮里駅を利用している学生も多いはずです。つまり、西日暮里は乗換駅であることに加え、沿線に大学が多いことから、20代前後の若者が集まりやすい。このことが、西日暮里をカレー屋の激戦区に押し上げているのではないでしょうか。
カレー屋が多いということは、その地域においてカレー屋の需要が高いことを示しています。高田馬場のような「カレー屋が多く集まる地域」に近い条件の立地を選ぶことが、安定した需要につながります。カレー屋の開業を目指している方は、是非ここでご紹介したような「若者が住んでいること」や「人の往来が期待できること」を重視して立地を検討してみてください。具体的には「乗換駅であること」や「駅周辺や沿線に大学があること」などを意識すると良いでしょう。
なお、「1人で独立・開業の準備を進めるのは不安…」という方は、フランチャイズチェーンに加盟するのも一手です。『マイナビ独立』ではカレー屋のフランチャイズ情報も掲載していますので、ぜひチェックしてみてください!