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スペシャルインタビュー

株式会社ショウイン 代表取締役 田中正徳――「想い」のある本部を選ぶ『トップの肖像』

“個別指導”というカテゴリーさえなかった時代に1クラス3人制の少人数制学習塾をオープン。業界に先駆けコンピュータを活用した学習方法を見出し、「ショウイン式」の基礎を確立。「わかるの3大法則」を掲げ、松陰塾のフランチャイズ事業を展開する田中正徳社長に企業理念や今後のビジョンについて語っていただきました。

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「学は人たる所以を学ぶなり」
吉田松陰の松下村塾の思いを
継ぐ塾として
人の役に立つ
“志”を持つ人材を育てたい。

コンピュータの持つ無限の可能性に着目し、インプット学習ではなくアウトプット学習を促す独自の仕組みを構築。

コンピュータの持つ無限の可能性に着目し、インプット学習ではなくアウトプット学習を促す独自の仕組みを構築

――田中社長が学習塾を始めたのは、約40年前の1980年だったとうかがっています。

はい。お金も無い、ノウハウも無い、あるのは若さと意欲だけという状況で、兄と2人、小さな学習塾からスタートしました。当時の学習塾といえば10~20人の集団学習塾ばかり。そこで1クラス3人制を打ち出し、地域の家庭を訪ねて生徒を募りました。第2次ベビーブーム世代の生徒募集はそう難しくなく、あっという間に8教室まで増やすことができました。

――順調に教室数を増やされたんですね。そこから一気にフランチャイズ展開へと進まれたのでしょうか?

いや、そんなことはありません。教室を増やしている最中、造反に遭い手づくり教材をそっくりそのまま流用された苦い経験など、苦労もありました。また、そうこうしているうちにバブルが弾けて少人数制の高い月謝が集められなくなると、人件費や家賃が経営に重くのしかかるようになったんです。その状況を打破するためにどうすればよいか常に考えていました。一番かかるのは人件費、次に家賃。例えば、その2つをかけないでやれる方法はないかと。そこで、コンピュータを活用してはどうかと思いついたのがすべての始まり。Windows95がリリースされるよりも前、試しにコンピュータ上でインタラクティブに繰り返し勉強できるシステムを見つけ、取り入れてみたところ、子どもたちのウケがとてもよかったんです。

――「ショウイン式」誕生の瞬間ですね。今でこそインターネットを活用した学習システムが次々と生まれていますが、当時はかなり風変りな学習塾だったのではないでしょうか?

そうですね。当時は、1.5メガのフロッピーディスクを使って、DOS/Vの黒い画面に向かってカチャカチャやる。それを使った学習を子どもたちはとても喜びますし、人件費も教室スペースも抑えられる。これはイケると思いました。ただ、その頃はまだ「ショウイン式」の特徴でもある「教えない教育」は確立できていなくて、コンピュータを活用しながら講師が生徒に一生懸命教えていました。ところが、講師は学生アルバイトが多く、子どもたちと年齢が離れていないため、慣れ合いになってしまう悩みがありました。講師が課題を出しても子どもたちは知らんぷり。本来ならコンピュータを利用した学習で自ら積極的に問題を解き、わからなければ質問するというアウトプット学習を促したいのですが、講師への依存心が邪魔をしてインプット学習で終わってしまう。どんなに真面目な子でもアウトプット学習ができなければ学力を伸ばすことはできません。そこを改善するために、コンピュータを用いて理解できないと進まない、くり返す、それとノート学習を組み合わせるというのをやってみると変わってきた。そうした試行錯誤から「わかるの3大法則」が生まれました。

――「わかるところまで戻る」「わかるまで先に進まない」「わかるまでくり返す」の3つですね。

そうです。「わかるまで先に進まない」「くり返す」という学習を続けるには根気が必要ですが、人間同士だと難しい。その点、コンピュータはお手の物です。また、問題をシャッフルすれば答えが暗記できないから、わかるまでくり返すことができる。そういったシステムの構築に20年以上取り組んできて、現在「ショウイン式」の学習システムには、膨大なデータが蓄積されています。一方で、コンピュータを用いれば万事解決ということではなくて、「書いて覚える」ことの組み合わせによって学習効率を高めていますし、塾長や講師がほど良い距離感を保って生徒のやる気を支え、生徒一人ひとりに応じた学習サポートに注力する。それが「ショウイン式」です。

――松陰塾で求められる人とはどのような人ですか?

やはり「教えないでいる」ことができる方です。松陰塾が他と違う点の一つに、開業前後の研修を徹底していることがあります。開業前にSkypeを使った自宅研修や、拠点でのグループ研修に加え、開業後のインターン研修も行っています。さらに、生徒数が20名程度になるまでのフォローとフィードバック等々。その隅々で「ショウイン式」の指導法、生徒との距離感の保ち方、関わる領域等の習熟に努めていただいていますが、答えがわからず悩む子を目の前にしながら「教えないでいる」、これが難しい。教え始めたら終わり。意志を持って根気強く接することで自立学習を促す。子どもたち一人ひとりがハードルを越えるお手伝いをするんです。その意味では、教師や講師経験が無い人の方が馴染みやすいかも知れません。

――未経験者の方が向いているというのは驚きです!

未経験から成功している方も多くいらっしゃいますよ。子どもたちの自立学習を促すためには、ティーチングでなくコーチングが重要。ティーチングは実務経験や知識で教えるものですが、コーチングは人生経験で導くもの。大切なのは3つ。相手の立場で考えられること、相手の持つ答えを引き出せること、常に傾聴する姿勢を持てることです。その上であとは自分の経験でもいい、勉強とはなにか、なんのために勉強するのか、親の話を聞くことの意味、そういった当たり前のことを教えていく。そうして、子どもたちのやる気を引き出し、保護者の想いに寄り添う。学習は、講師が汗をかきながら子どもたちに教えるよりも、子どもたちが自発的に汗をかきながらアウトプットする方が効率的なんです。「教える力」よりも「学ぶ力」を育めることが大切だと考えています。

吉田松陰による松下村塾の教えを継承する塾として、勉強する意味や志を持つ尊さを伝えていく。

吉田松陰による松下村塾の教えを継承する塾として、勉強する意味や志を持つ尊さを伝えていく

――松陰塾の由来となった吉田松陰や松下村塾を意識し始めたのはいつ頃からでしょうか?

塾を開こうという人間にとって、松下村塾を原点に考える人は多いと思いますし、私自身もその一人でした。松下村塾の真髄には「自ら学ぶこと」や「子どもたちの個性とともに学ぶこと」を姿勢に掲げており、1クラス3人制で塾を始めた私たちの想いとも合致しています。ただ、一番のきっかけとなったのは、新しい学習システムのネーミングを考えていた頃、たまたま松下村塾がある萩の松陰神社を訪れていたことでしょうか。そこでひらめいたのが「ショウイン」というネーミング。お名前を拝借するからには松陰先生にお礼をしなければと公式参拝するようになり、毎年社員と訪れています。

――世界文化遺産に登録されている松下村塾の隣には、御社による顕彰碑が建てられているそうですね。

松陰先生の教えを守り、世界に広く貢献できる人材を育てることを「志」として示したいとの想いから顕彰碑を奉納しました。さらに、松陰先生のお弟子さんや塾生53名が祀られている松門神社に続く北参道を「学びの道」として整備し、松陰先生の語録を記した25基の句碑を並べています。九州大学芸術工学部の教授にデザインを依頼したポール仕立ての句碑はライトアップされると燈明のように浮かび上がり、町おこしのイベントに活用されるなど地域の皆様にも喜ばれています。

――地域貢献にもつながっているわけですね。顕彰碑には「学は人たる所以を学ぶなり」と記されています。

松陰先生にまつわる文献や資料を研究していく中で思いが重なる部分を多く見つけることができました。なかでも顕彰碑にも掲げたこの言葉、「勉強でいちばん学ぶべきことは、人間として大切なことは何か、人間はどのように生きていくべきかを知ることにある」という松陰先生の考えは、松陰塾のベースでもあります。塾に通う子どもたちから「何のために勉強するんですか?」と聞かれることもありますが、その回答としては良い大学に行くためでも、良い就職をするためでもなく「人間として良識を持って生きるための技や考え方を身につけるためだよ」と私たちは伝えています。事実、松陰塾の本当の目的は志望校合格でも、中間・期末テストで良い点を取ることでもありません。人の役に立つことを為せるようになること。つまり「志」を持てるようになることです。「夢」を持つことも大切ですが、「志」はたとえその人が居なくなっても受け継がれていくもの。どうせなら、そのくらいのものを抱ける人間に育ってほしいと考えています。変化の目まぐるしい時代ですが、松陰先生が世のため人のために命を懸けて動いたその「志」を、いま一度思い出すことが必要な時代ではないか、とも感じています。

――現代の子どもたちにその想いをどのように伝えているのでしょう。

子どもたち全員に「松陰塾門下生読本」を配布しています。その中には「自立学習ができる子になろう」など、学校では教えてもらえない言葉が並んでいます。読むだけでは覚えませんから、システム上でクイズ形式を用いて自然と覚えるような仕掛けもつくっていますね。子どもには難しいと感じる言葉もありますが、以前に感想文を募ったところ、面白い化学反応が起こり、それはもう立派な文集が完成しました。松下村塾が目指したのは子どもたちの自立であり、徳育です。ただ、自立は最初からできるものではありません。低学年では強制的に勉強させることで基礎学習力が身につき、そこからはじめて自分の力で学べるようになります。松陰塾でも自立学習に「親を敬う」などの徳育をプラスしながら子どもたちの学びを支えています。一方で、もちろん理念や想いだけでは経営は成り立たない。保護者が納得する結果も必要ですが、そうした理念のもと「ショウイン式」を提供してきた結果、学力も上がったという声を多くいただくようになりました。事実、現在も通塾のきっかけは口コミによるものがとても多いのが実情です。

――その子どもたちの将来をどのように見据えていますか?

一説によると、AI化が進んだ結果2045年には、今ある仕事の約8割が無くなるのでは、という予想もあるそうです。となると、今の小中学生が40歳になる頃にはそんな時代になるかもしれない。だからこそ「考える力」や「協調性」、人間本来の「行動力」を備えた大人になっていなければなりません。松陰先生も「学んだことを机上で考えるだけでなく、実際に行動することが大事だ」と伝えたように、頭に描いたことを実行できる人になって欲しいですね。

伝統とは守るだけではなく、進化させるもの。四方良しの実現とともに次世代のAI教材を生み出し、フランチャイズ加盟店を1000店舗に拡大したい。

伝統とは守るだけではなく、進化させるもの。四方良しの実現とともに次世代のAI教材を生み出し、フランチャイズ加盟店を1000店舗に拡大したい

――塾業界のフランチャイズはロイヤリティが高いと言われていますが、驚くことに松陰塾のフランチャイズはロイヤリティ0円のようですね。その他になにか独自の仕組みをお持ちなんでしょうか。

松陰塾ではシステム利用料として生徒ひとりに付き2000円をいただいています。ただし、利用料は保護者の方からいただくものです。さらに、月謝は大手銀行と構築した独自の決済システムで自動振替を可能にしています。小型の端末にカードを通せば入塾翌月から自動振替できるシステムは、月謝の集金漏れや紛失が無く、決済管理も簡単にできるため本当にラクだと喜ばれていますね。また、生徒には「通い放題」を提供しているのも特徴です。当初は定員数を決めていましたが、教室を運営し始めるとそこで悩むことはありませんでした。中学3年生で部活が終わると通う頻度も高まりますが、ある一定数の机があれば問題ありません。人件費を掛けることなく、子どもたちの学力を伸ばせる、これ以上のビジネスモデルは他にありません。

――常に新しいサービスを生み出されてきたのですね。

私は伝統とは「守る」だけのものではなく「進化させる」ものだと思っています。変化し続ける世の中だからこそ100年後は社会も大きく様変わりするでしょう。教育産業はともすれば変化に乏しいと考えられがちですが、そんな社会にあって、10年後、20年後、さらに進化していることが当社の伝統であると考えています。そもそも、常に新しいものに変わっていかなければ面白くありませんよね。

――現時点で塾業界全体にはどのような課題があるのでしょうか?

約30年前から個別指導塾が増加し、業界全体が成長してきましたが、ここ数年は徐々に難しい部分が出始めています。少子化とともに塾講師が減り、田舎に行けば行くほど講師を募るのも困難な状況です。また、従来のインプット学習だけでは通うことの安心感は得られても、本物の学力を身につけることが難しいという課題があります。学校でもアクティブラーニングを推奨するようになりましたが、当社では1993年からスタートさせてきた実績とノウハウを強みにしています。

――近年、多くの企業が学習システムの開発に乗り出しています。

各社が教材づくりをスタートする中で「ショウイン式」を研究する企業も多いと聞いています。当社もAIによる教材を開発している最中ですが、それは世の中にあるAI教材とは少し異なります。例えば、子どもたちの頭の中にある事象はそれぞれに異なるため、この子どもにはこの勉強の仕方をナビゲーションするというように、子どもの状況、学習スピードや目的に応じた学習方法を提供できるシステムにしていきます。また、ピンポイントな部分を含めて、弱いところをローラーで潰していくような勉強方法を仕掛けていきます。それができるのも、これまでの実績に裏打ちされた経験値・ノウハウを蓄積している当社だからこそ。今後も「ショウイン式」の学習システムを強みに、今の時代に相応しい学習方法を提供し続けることで、フランチャイズ加盟店を1000店に拡大したいと考えています。

――最後に、これから独立開業をめざす方へメッセージをお願いします。

必要なのは、素直さと覚悟。当社に限ることではありませんが、フランチャイズに加盟する以上、どの企業も成功ノウハウを伝えているわけですから、路線から外れて自ら何かしようとするのではなく、まずは本部の指導を素直に聞くことが大切。本部が良しとすることを信じてやり続ける覚悟を持って欲しいと思いますね。また、松陰塾の開業を検討いただける方に関して言うと、はっきり申し上げて、お金さえ儲けられたらいいという方はお断りしています。売り手に良し、買い手に良し、世間に良し、天も良しという「四方良し」でなければ、松陰先生の「志」とも合致しません。松陰先生が好きで、子どもたちの未来を真剣に考えたいという方を歓迎したいと思います。

田中社長の「想い」をまとめると…

  • 業界に先駆けコンピュータを活用したアウトプット型の学習形態を構築
  • 吉田松陰の教えを継承し、子どもたちの「生きる力」を育む塾でありたい
  • 売り手に良し、買い手に良し、世間に良し、天に良しの「四方良し」を実現できるフランチャイズ事業を展開

「松陰塾のキャラクターをデザインしてくれたのは2020年に東京で開催される世界大会のマスコットキャラクターを生んだ谷口亮さんなんですよ。凄いでしょう?」。田中社長の語りかけで場の雰囲気が和み、インタビューをスタートすることができました。取材中、時折ユーモアを交えつつ、物事の核心を突く独自の経営戦略を包み隠さず話してくださった田中社長は、好奇心旺盛ながら実証主義、冷静沈着ながら情熱家という、まさに優れた経営者であり、教育者でもあるといった印象。その表情は先見の明を持ち、事業を成功に導いてきた確かな自信に溢れていました。

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