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北千住はスイーツ激戦区。「手みやげ需要」で考える洋菓子店の開業ポイント

古き良き時代の風景をいまに残し、下町情緒あふれる足立区の代表的なターミナルといえば北千住駅。この駅は上野東京ラインに直通するJR常磐線、半蔵門線に直通する東武スカイツリーライン、東京メトロ千代田線、日比谷線、そしてつくばエクスプレスと5つの路線が乗り入れている。交通の利便性が抜群にいいエリアへと変化した影響からか、北千住は現在、都内有数のスイーツ激戦区となっている。今回は北千住で店舗を構える洋菓子店に協力を仰ぎ、街の実態と洋菓子店事情に迫った。

北千住駅は「穴場だと思う街ランキング」で堂々の1位

商圏データ「マケプラ」によると、北千住駅の1日の乗車客数は39万7,248人と、都内で10番目の規模を誇っている。そのため、ルミネやマルイなどの大型商業施設がひしめき合っているほか、地元密着の商店街も充実しており、買い物には便利な街。大手不動産サイトの調べによると、「利便性が高いのに家賃相場は低いイメージがある街」を調べた「穴場だと思う街ランキング」では、堂々の1位を獲得している。そんな北千住は、都内有数のスイーツ激戦区。駅周辺0.5㎞以内に15もの洋菓子店が所狭しと密集している。

北千住マルイには、「ゴディバ」「ゴンチャロフ」「トップス」「ヨックモック」など、歴史のある有名洋菓子店が入居しており、ルミネ北千住では「クリスピー・クリーム・ドーナツ」「シーキューブ」「リンツ ショコラ カフェ」、KEYUCAがプロデュースするパティスリー「ドルチェ フェリーチェ」など、近年注目されているお店が営業を行っている。大衆店から高級店まで幅広いスイーツが楽しめる街となっているようだ。

では、そんなスイーツの激戦区では、どんな戦いが行われているのか? 大衆店を代表して、ホテルココ・グラン北千住に併設されている、コンビニ向けのスイーツ「ドンレミー」によるアウトレット店「ドンレミーアウトレット北千住店」の浅沼氏に取材。同氏は、店を利用する顧客の姿をこう語る。

「平日昼間はシニア世代や主婦層が利用されています。夕方からは会社帰りのお客様や学生の利用が多いですね。また、夜の時間帯に来店するお客様のなかには、飲み帰りの方も目立っています」。北千住駅の2㎞以内に住む60代は2万3,591人。千代田線沿線に住む60代の平均1万7,264人より多い数字を見ても、シニア世代の利用が高いことがわかる。

居酒屋が駅前に100軒以上。飲み屋帰りの「手みやげスイーツ」に需要がある

北千住の駅周辺0.5㎞には居酒屋・バー・スナックが、なんと127軒も集積しており、飲ん兵衛からの評価が高い名店も数多い。お酒を飲んだ帰りのおみやげとして、スイーツを購入する需要があるようだ。また、姉妹店のあるドンレミーアウトレット。ほかの街と比較して、北千住にはどのような特徴があるのだろうか? 「上野店や高崎店では、おみやげ用でもボリュームあるセットが売れているのに対して、北千住では単品やプチギフトなど、お手頃価格の商品が人気となっていますね」と浅沼氏は語る。

北千住から半径2kmに住む人々のデータを見ると、年収300万円未満の低所得世帯が34.1%を占める。これは千代田線沿線における低所得世帯の平均27.2%を上回る数字だ。また、『23区格差』(中公新書ラクレ)によれば、足立区の所得水準は港区の902万円の3分の1となる、323万円(2013年)となっており、平均所得は高くない。

北千住マルイ、ルミネ北千住などに入っている高級志向のスイーツ店はやや割高な価格設定となっている一方、ドンレミーアウトレットは、切れ端やアウトレット限定などのお買い得商品を取りそろえて差別化を図り、地元客の「普段使いスイーツ」として愛されているのだ。

文教地区に変化する足立区。新規居住者の流入で洋菓子店も二極化する?

いっぽうで、北千住に近年起こっている、利便性のよさ、人口増加などの変化もまた、スイーツ需要の高まりを後押ししている要因の一つ。少し前までは「治安が悪い」など、足立区に対してはあまりいいイメージを持たれていなかった。だが、近年、その様相は一変。2016年には犯罪認知件数も減少し、だんだんと安心して暮らせる街へと進化を遂げている。それを裏づけるように、半径2㎞の居住人口は2005年から9%増加(2010年)していることがマケプラデータでわかった。

さらに、足立区では、2005年より積極的に大学を誘致しており、北千住近辺には東京電機大学、東京藝術大学、東京未来大学など5つの学校が立地。1万人もの学生が学ぶ街へと姿を変え、東京藝大と協力したアートプロジェクトなども積極的に行われている。

文教地区となり、安心して暮らせる街に変化すれば女性の一人暮らしやファミリー層が流入する影響で、スイーツの需要は増大。そのため、昔ながらの地元客に支持される「普段使いのスイーツ」と、周辺の高層マンションなどに移り住む可処分所得の高い新規流入者が味わう「高級スイーツ」とに二極化している側面も考えられる。近年のめまぐるしい発展により、さまざまな人が入り混じっている北千住を象徴するように、スイーツ店もその属性に合わせた店舗が求められているのだ。

時代の流れを読むことで、「穴場エリア」がビジネスチャンスになる

「穴場」として注目を集めつつある北千住は、駅前の再開発や治安の向上、学生の増加などによって、過渡期を迎えている。2019年秋の完成を予定し、地上30階、高さ112mのタワーマンションが計画されているほか、2020年には、隣町に文教大学のキャンパスが設置されることも決定。最大4,700人の学生が学ぶキャンパスになる予定だ。今後、富裕層やより多くの学生たちが暮らす街に変化していくことだろう。洋菓子店をオープンするにあたっては、時代の流れとともに、街や人の流れも見逃せないポイントだ。

※データ:商圏データ「マケプラ」調べ(2017年3月現在)

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