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人気開業エリア分析

330もの美容院が密集する福岡・天神。激戦区で生き残るための秘訣とは?

博多と並ぶ「九州最大級の繁華街」として、多くの人で賑わう福岡・天神エリア。ファッションビルが立ち並ぶこのエリアは、全国屈指の美容院激戦区としても知られている。なぜ天神にこれほどまでに美容院が集まるのか? その理由を分析しつつ、人気を集める2店舗に取材し、激戦区で勝ち抜くための方法を聞いた。

「博多美人」たちの美意識の高さが激戦区化の理由?

商圏データ「マケプラ」によると、福岡市営地下鉄空港線・天神駅の半径1km圏内には、なんと330もの美容院が集積している。美容院のメッカである東京・表参道駅の478店舗には及ばないものの、代官山駅の264店舗や大阪・なんば駅の293店舗、兵庫・三宮駅の238店舗と比較をすれば、天神の激戦区ぶりがわかる。

福岡市交通局の発表によると、天神駅の1日の乗車人員は7万9,578人(平成28年調べ)で、同線・博多駅を抑えて第1位。マケプラのデータでは、半径0.5km圏内の人口4,040人に対し、昼間人口は7万163人と大きな差があり、日々多くの人々がこのエリアを訪れていることがわかる。「イムズ」や「天神コア」「ソラリアプラザ」など、駅周辺に林立するファッションビルのメインターゲットが女性であることも、美容院が集まる理由となっているのだろう。

さらに福岡市は、コスメなどの美容に関する年間世帯支出が13万円以上と、全国平均の約10万円と比べて大きく上回っているというデータ(2008年発行の都市情報誌『fU+』第6号調べ)もある。天神駅周辺にはエステティックサロンも多く、「博多美人」たちの美に対する意識の高さも、天神の激戦区化に影響を与えているようだ。

育児ママや年配の方など、多様化するライフスタイルに合わせたサービスが好評

そんな激戦区において、各美容院ではどのように生き残りを図っているのだろうか。「小さなお子さんからご年配の方まで、幅広い年齢層の女性に来店していただいていますが、特に多いのは20代から30代の女性ですね」と話すのは、東京、大阪、神戸などにも店舗を構えるヘアサロン「air-FUKUOKA」店長の掛橋翔氏。105坪という広々とした空間と、アットホームな雰囲気が魅力のこの店は、親子専用個室サロン「FP(Family Private) salon by air」というサービスで注目を浴びている。

個室には子どもが楽しめるおもちゃが用意されており、小さい子どもがいるママたちも、周囲に気を遣うことなく楽しむことができる。その狙いと効果について、掛橋氏は「お客様のライフスタイルに添い、さまざまな年代の方に利用をしていただきたいと考えています。特に午前中から夕方までの時間は、ママさんの予約でいっぱいになってしまうことも多いですね。お子さんや、つき添いでやってきたおばあちゃんも一緒に施術をすることもあります」と語る。

全国の政令指定都市のなかでも、群を抜いて高い人口増加率(平成27年度国勢調査)を誇る福岡市。とくに20代の人口が大幅に増加しているという傾向からも、将来的にはさらにこのようなサービスの需要は高まるだろう。美容院開業では、周辺の世帯環境に注目しておくのも重要だ。

細部へのこだわりが、技術や接客に対する信頼感につながる

一方、2011年にオープンした「Day & Night」は、天神地区に2店舗を構えるヘアサロン。20代から30代が中心という客層はairと変わらないものの、店主の小園功滋氏によると「女性客がほぼ100%」だという。同店の最大の特色は、トリートメントとヘアケアの技術の高さ。小園氏は、「自社で開発したトリートメントを使用しているほか、お客さまそれぞれの髪の悩みにあった施術を提案しています」と語る。

技術面だけではなく、「Day & Night」は店舗の細部にもこだわりが込められている。雑誌を廃止してiPadを設置したり、ポイントやクーポンを管理できる独自のアプリをリリースしたりと、最新の設備を提供。また、市販のワックスやスプレーの販売を廃し、前述のオリジナルトリートメントや、店舗のロゴ入りの今治タオルなど、ここでしか手に入らないものを販売している。

「お店の隅々にわたってこだわりを凝らすことは、お客さまに居心地のいい空間を提供するだけでなく、技術や接客に対する信頼感にもつながります」

新規出店の鍵は、付加価値を提供した高単価化

では、天神のような激戦区で美容院を開業する場合、どのような戦略が有効なのだろうか? 小園氏は、「ぼくが開業した6年前から、福岡の美容院を取り巻く状況は大きく変化しています。かつては、開業すればなんとかなるという感じでしたが、ここ数年は乱立状態……。特に価格面で大手と勝負することは難しいですね」と現状を分析。しかし、そんな状況であるからこそ、薄利多売ではなく高単価のサービスに可能性があると語る。

「自分にしかない武器を磨き、付加価値を提供することが成功への近道だと思います。しっかりと戦略を考えて店舗を開業していかないと、失敗に終わってしまう可能性は大きいでしょうね」

マケプラでは、都心部に暮らし経済的に余裕のある生活を送る層を「トレンディライフ」「アーバンミドルクラス」とカテゴライズしているが、天神駅の半径0.5kmの居住者を調べると、この2カテゴリーに属する世帯が50パーセント以上を占めている。こういった地域性からも、安易な価格競争だけでなく、付加価値の高いサービスの提供が鍵になることが予想されるだろう。技術などの基本的な部分はもちろんのこと、親子向けのサービス、オリジナルのトリートメント開発といった唯一無二の特色を生み出すことが、激戦区で勝利を収めている店主たちの共通点になっているようだ。

※データ:商圏データ「マケプラ」調べ(2017年11月現在)

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