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公開日:2018/3/28
フランチャイズインタビュー

低資金開業で人気のリペア・クリーニング(清掃)。本部の見極め方のコツとは?

ハウスクリーニングからカバン・靴の補修まで、さまざまなサービスを提供するリペア・クリーニングのフランチャイズチェーン(以下、フランチャイズ)は、無店舗での経営も可能なため、ほかのフランチャイズと比べ低資金で開業できることが特徴。共働き世帯の増加や少子高齢化によってニーズが増加しており、今後も成長が見込まれる分野です。

しかし、開業しやすいだけに競争も激しく、無店舗経営ゆえの難しさがあることも事実。成功するためには、どんなことに気をつけるべきなのか。コンサルタントとして、フランチャイズの本部構築や加盟者支援を行っている高木仁さんに、業界事情や信頼できる本部を見極めるポイントについて、お話しいただきました。

低資金開業で人気のリペア・クリーニング(清掃)。本部の見極め方のコツとは?

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共働きや高齢化を背景に、需要を拡大する
リペア・クリーニング業界

共働きや高齢化を背景に、需要を拡大するリペア・クリーニング業界

──リペア・クリーニングという業種・業態は、具体的にどういった仕事を指すのでしょうか?

高木:明確な定義はないのですが、「生活関連サービス」と考えるとわかりやすいかもしれないですね。住宅やオフィスの掃除をはじめ、車のシートやホイールの修理、カバンや靴など革製品の補修、それから畳や障子、壁紙の貼り替えも多いです。最近はスマートフォンの部品交換や、庭木の手入れをするところもあります。ちなみに、一般的にいわれる衣料のクリーニングは、この区分には含まれません。

──専門性が高そうなイメージがあるのですが、未経験者でも開業できるのでしょうか?

高木:はい。フランチャイズは未経験者でも開業できるようパッケージが用意されていることが強みですからね。そもそも、障子の貼り替えなどは、かつては家庭でやることが当たり前でしたし、修理も器用な人なら自分でできること。特別な技術が必要というわけでもないんです。でも、時間がなかったり、1回の修理のために道具を買うのがもったいないと思ったり、そういったところから需要が生まれているわけです。

ただし、未経験者でもできるからこそ、差別化が難しい業種・業態といわれており、知名度による安心感と価格の勝負になることが多いんです。なので、知名度・安心感の面でフランチャイズに加盟するメリットは大きいと思います。

──近年の市場傾向について、教えてください。

高木:日本フランチャイズチェーン協会の資料によると、クリーンサービス・クリーニングの売上(衣料のクリーニング含む)は、2009年の約900億円に対し、2016年は約1400億円。市場規模は大きく成長しています。

背景としては、共働き世帯の増加で家事をする時間がなくなり、まとめてプロにお願いするという流れがあること。女性の社会進出は政策として進められているので、今後もこの傾向は続くでしょう。そして、高齢者の人口増加に伴い、自分でやるには負担の大きいリペアやクリーニングの依頼が増えたこと。この2つが主な要因だと思います。

──まだまだ成長が見込めそうですね。

高木:少子高齢化などの社会問題ともリンクしているので需要は伸びると思いますが、そのぶん競争も激しくなるでしょうね。なぜならリペア・クリーニングは初期投資が低額で、スタッフを雇わずに一人でも開業できる、参入への障壁が低い業態だからです。

──なぜ、低額での開業が可能なんですか?

高木:とくにクリーニング系はお客さまのもとにうかがって作業するサービスですから、無店舗で営業することが可能です。リペアについても、直したいものを送ってもらったり、取りに行ったりすれば店舗はなくても対応できます。開業費において、もっとも大きい店舗取得費がかからない、というのは強みだと思います。

また、無店舗の場合、常駐スタッフも必要ないので、1人から3人ほどで業務を行える。人件費がそれほどかからないのも特徴です。実際に、1人、もしくは家族だけでやられている方も多いですよ。

──少ない投資で開業できるというのは、これから加盟を検討している方にとってメリットとなりそうですね。具体的には、どの程度の初期費用が必要なのでしょうか?

高木:無店舗型であれば、300万円から500万円の初期費用で開業できます。加盟金は100万円以下の本部も多いですが、掃除に必要な洗剤やワックス、修理に必要な機材など、商材をオリジナルで開発している本部も少なくありません。それらが別途必要となる場合もあるため、注意が必要です。それと、現場に行くための軽トラックやワゴン車が必要になる、というのはこの業種・業態ならではかもしれませんね。

ただ、大きいものの修理が中心のサービスだと、置き場が必要になるケースもあります。たとえば自動車のホイールとか、ふすまとかですね。保管するために、トランクルームを借りている方もいます。

ロイヤリティーが安いのが特徴。
それだけに、細かな経営指導を望むのは難しい?

ロイヤリティーが安いのが特徴。それだけに、細かな経営指導を望むのは難しい?

──ロイヤリティーの相場はどのくらいですか?

高木:これもほかの業種・業態と異なる特徴なのですが、売上に対するパーセンテージではなく、定額の場合が多いんです。相場としては、月額3万円から5万円くらいでしょうか。本部によっては、ゼロというところもあります。

──ほかの業種・業態と比べると、ロイヤリティーの面でも比較的安めに抑えられているんですね。

高木:たしかに金額としては安いと感じるかもしれませんが、売上のパーセンテージで考えると決して小さくはないですから、慎重に考える必要があると思います。また、ロイヤリティーを安く抑えている本部のなかには、代わりに、消耗品など必要な商材を加盟店に買ってもらうことで利益を出すビジネスモデルの本部もあります。ロイヤリティーだけに捉われず、全体としてどのくらいの費用が必要かについて注意を払うことが大切です。

──本部から受けられるサポートには、どんなものがあるんですか?

高木:中心となるのは、開業前の研修です。施工の技術的な部分と、売上を伸ばすための運営についての研修ですね。開業後は、経営についての研修もありますが、本部によって差があるのが現状です。ロイヤリティーを安く抑えているぶん、細かな経営指導がサポートに含まれていない本部もありますので、開業後のサポートになにを求めるのかによって本部を選ぶのも良いでしょう。

──ロイヤリティーが安く設定されていることは、加盟者にとってデメリットにもなる場合もあるんですね。ですが、定額ということは、売上に比例して利益率も大きくなるということですよね?

高木:そうですね。ただし、フランチャイズではテリトリー権が定められていることがあり、チラシを配るなど営業をかけられるエリアが契約で決まっているケースがあります。つまり、マーケットに限界があるんです。営業エリアを広げる場合には、新たに契約を結ばなければならず、ロイヤリティーも2エリア分になることもあります。

──その意味では、無店舗型であっても、開業時のエリア選びが重要になってくるんですね。

高木:はい。ですが、無店舗型の場合、自分の家を拠点に考えるケースが多いと思います。しかし、自宅があるエリアにすでに開業している人がいる場合、そのエリアでの開業ができないということもある。

──自宅のあるエリアに競合が多数進出している、というケースも多いと思うのですが、そのときは開業自体を考え直したほうがいい?

高木:いえ、エリアの事情によって異なるので、一概にはいえないと思います。競合が10社あっても、それ以上にニーズがあるかもしれないし、逆に1社で厳しいエリアもある。本部が各エリアの潜在顧客数のデータを持っていると思いますから、まずはそれを参考にするといいでしょう。また、いまはインターネットなどで、競合店や居住者の傾向を調査(※)できますから、自分で調べることも重要だと思います。

※編注:マイナビ独立に会員登録することで1ヶ月間無料で利用できる商圏分析ツール「マケプラ」では、指定エリア内での人口やその年齢層、世帯年収の比率、競合店舗など、エリア選定に必要なさまざまなデータを収集することができます。

すぐに開業できるのが無店舗型の魅力。
しかし、軌道に乗るには時間がかかることも

すぐに開業できるのが無店舗型の魅力。しかし、軌道に乗るには時間がかかることも

──無店舗型の場合、立ち上げまでの期間はほかの業種・業態よりも短いんですか?

高木:圧倒的に短いと思います。店舗を構える場合、物件探しの期間も必要ですし、物件が決まってからも内装工事などが必要となり、着工から1か月、長い場合は3か月以上かかることもあります。その点、リペア・クリーニングは研修が終わればすぐに開業できる。研修期間はフランチャイズによって異なりますが、短いところだと1週間から2週間程度です。

ただし、これはサービス業全般にいえることですが、認知されるまでに時間がかかるので、すぐには売上が安定しない。初動が早い飲食業とは真逆で、ゆっくりと右肩上がりになるのがほとんどですから、いかに早く軌道に乗せられるかが肝要です。

──認知を早め、軌道に乗せるためには、広告展開が重要になると思います。その面でも、本部からサポートを受けられるのでしょうか?

高木:そうですね。マーケティングに長けた本部の場合、季節や地域性に合わせて、どのような広告展開をすれば効果をあげられるのか、データに基づいた指導をしてくれるところもあると思います。たとえば夏を迎える前にはエアコンクリーニングのチラシを配るとか、年末になったら大掃除に合わせた広告にするとか、そういったことですね。

また、配ったチラシの何パーセントが実際の仕事につながるのか、といったデータもあるはずですから、効率を最大化することもできます。そういったデータは、全国に多くの店舗を持っているフランチャイズならではのものでしょうね。

そのほか、本部で受注した仕事を加盟店に割り振るといったサポートをしてくれる本部もあります。あまり期待しすぎてもいけませんが、それもフランチャイズ特有のメリットといえるかもしれませんね。

──運転資金はどのくらい用意しておいたほうがいいですか?

高木:運転資金は広告費や商材購入費用が中心でそれほど多くはかからないのですが、問題は生活費だと思います。最低1年とよくいいますが、軌道に乗るまでが長いこの業種・業態では、できれば2年分は用意しておきたいですね。

──もっと早く軌道に乗せることはできないのでしょうか?

高木:もちろん、努力次第では短期間で安定させることも可能です。以前コンサルタントとしてお手伝いした方は、もともと住宅系の仕事をしており、そのルートを使って立ち上げ時から上手にやっていました。開業から1年ほどで、ご自分の息子も事業に参加させて、軌道に乗せていましたね。掃除なら不動産や住宅系、リペアなら車系など、もともと営業ルートを持っている人や、地域に根づいた活動をしていた人は、仕事を獲得しやすくなるでしょう。

店舗があれば、それだけで宣伝効果がありますが、無店舗型は自分で動かなければなにも起きません。ですから、地域のお祭りや経営者の集まりに顔を出すなど、地道な営業ができる人のほうが向いているでしょうね。

加盟金やロイヤリティーが高い本部を基準にすれば、
「なにが省かれているか」がわかる

加盟金やロイヤリティーが高い本部を基準にすれば、「なにが省かれているか」がわかる

──実際に契約を結ぶ際に、気をつけるべきポイントはありますか?

高木:これはリペア・クリーニングに限ったことではありませんが、まずは事前に勉強しておくことです。日本フランチャイズチェーン協会が運営している「JFAフランチャイズガイド」というウェブサイトには、さまざまな本部の法定開示書面が掲載されていて、誰でも見ることができます。

できれば加盟金やロイヤリティーが高く設定されている、大手の本部の情報を見て、内訳やサポート体制がどうなっているか確認しておきましょう。それを基準にすれば、費用が安く済む本部では、なにが省かれているかがわかるはずです。それらを入念に比較し、本当に必要なサポートを明確にすることが大切だと思います。

──そのほかに、いい本部を見つけるためのポイントはありますか?

高木:開業店舗数は多くの方が見るポイントだと思いますが、廃業や契約を更新している店舗数も同じくらい大切だと思います。廃業数が多いフランチャイズは、やはりなにか問題があると考えるのが自然です。開業店舗数が少なくても、廃業数がほとんどないなら、実直にやっている本部なのかなと想像できる。「前年比で100店舗増えた」というデータだけでなく、その内側を知ることもポイントでしょう。

さらに、加盟を検討しているフランチャイズで、実際に開業している先輩加盟者の話を聞きに行くようにしましょう。その際には、自身で加盟者を探し、複数の方から話を聞ければベストです。

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本部による新サービスの開発力が今後のカギ。
しかし、「商材を売るための新サービス」には要注意

本部による新サービスの開発力が今後のカギ。しかし、「商材を売るための新サービス」には要注意

──これからのリペア・クリーニング業界は、どうなっていくと予測されますか?

高木:最初に申し上げたとおり、市場は今後も拡大していくことが予想されますが、ニーズもより多様化、細分化していくと思います。そういう意味では、新しいニーズをキャッチアップして、サービスを開発できる体力があるかどうかも、本部選びではカギになるでしょう。

──ここ数年、スマートフォン修理のニーズがリペア・クリーニング業界で台頭してきたように、新しい分野での需要がどんどん増えていく。

高木:そうですね。いずれ、特殊清掃や遺品整理サービスを打ち出す本部も出てくるのではないかと思います。世の中の動きや需要に対して、新しいサービスを開発することは、本部の重要な仕事。それをしっかりやっているかどうかですね。

その一方で、加盟店に商材を買わせるために新しいサービスを開発する、という本部もあります。その見極めは簡単ではないですが、「世の中の困りごとを解決したい」といった、しっかりとした理念のもとで運営されている本部を選ぶべきと思います。そういう本部であれば、世の中の状況が変わっても、ブレないサービスを提供し続けられると思います。

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高木 仁

FCビジネスコンサルタント / 中小企業診断士。ソフトウェア開発会社にてシステム開発を経験後、業務・ITコンサルに従事。2012年カーネルコンサルティング設立。フランチャイズビジネスを専門分野とするコンサルティングを展開。フランチャイズ本部の構築・改革、マニュアル作成支援などに携わっている。企業規模は大手・上場企業~中小企業までさまざまであり、成長企業が次ステップに進むための仕組みづくりを得意としている。フランチャイズ研究会幹事。

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