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スペシャルインタビュー

株式会社理想化研(ふろいち) 代表取締役 小林誠司──「想い」のある本部を選ぶ『トップの肖像』

創業から30年、フランチャイズ事業開始から20年という長い歴史を持つ「ふろいち」。決して早いスピードではないが、着実に加盟店を増やし続け、今では90店舗以上の加盟店が全国各地に広がっている。リフォームにもクリーニングにも分類できない独自のアプローチでお風呂を再生する工法は、どのようにして生まれたのか。そして、どのような理念・戦略で事業を成長させてきたのか。ご自身のキャリアから「ふろいち」の立ち上げに至る経緯、加盟店オーナーへの想いまで、多岐にわたるお話を小林誠司社長に伺いました。

加盟店オーナーは「仲間」。信頼関係があるから、オーナーを縛るような契約やルールは一切ない

加盟店オーナーは「仲間」。
信頼関係があるから、
オーナーを縛るような
契約やルールは一切ない。

組織に対する疑問から考えついた「縁を大切にする生き方」。自分と縁のある人たちと幸福感を共有できる仕事がしたいと思った。

組織に対する疑問から考えついた「縁を大切にする生き方」。自分と縁のある人たちと幸福感を共有できる仕事がしたいと思った。

──小林社長は、独立前はサラリーマンをしていたと伺っています。当時はどのような仕事をされていたのですか?

大学の工学部を出てから大手のメーカーに就職し、半導体製造装置の設計技術者をしていました。図面を書くことが好きで、仕事自体は楽しかったのですが、サラリーマンとして組織で働くことに息苦しさを感じてしまって、28歳のときに退職しました。

──具体的にはどのようなところに、「息苦しさ」を感じたのですか?

会社というのは一種の競争社会ですから、子どものときに教わったような「友達と仲良くする」「人が嫌がることはしない」といった純粋な道理やモラルが通用しない場面がたくさんあります。そういう組織の在り方を見て、「これで良いのかな」と率直に疑問を持ってしまったんです。上司や先輩からは「それが世の中の常識だ」「綺麗事を言っても仕方がない」と諭され、一度はその考えを受け入れて数年間頑張ってみたんですが、やっぱり「自分の生き方に合わない」という感覚は拭えませんでした。また、「誰かの役に立っている」という実感を持てないことにも、物足りなさを感じていました。設計技術者として会社のブランドで製品をつくり、お客様に提供してはいるものの、どこかで「自分がやった」とは思えないもどかしさがあったんです。

──それで、サラリーマンを辞めようと思ったわけですね。

私が思っていたのは、ただ単純に「仲間を大事にしたい」「もっと直接的にお客様の役に立ちたい」ということでした。「それが実現できない状況の中で、自分は何をするべきなのか」と自問自答が始まってしまったんです(笑)。そこで考えついたのが、「縁を大切にする生き方」でした。自分と縁のある人たちと幸福感を共有できる仕事、一体感が持てる仕事がしたいと。それを自分の取り巻く小さな環境の中で実現できれば良いのではないかと考えました。そこで、そうした生き方を模索しようとサラリーマンを辞めることにしたんです。この「縁を大切にする」という想いは、独立して30年経った今も変わっていません。

──では、会社を退職するときは、次に何をやるか具体的に決まっていなかったんですか…?

「自分探し」をしようと思っていましたから、何も決めていませんでした。周りからは「アイツ、大丈夫か?」とだいぶ心配されましたね(笑)。妻には、「絶対に迷惑をかけないから、自分の責任でやらせてほしい」とお願いして、なんとか退職を認めてもらいました。

──随分と思いきった行動でしたね(笑)。「自分探し」の時期は、どんなことをしていたのでしょうか?

何か商売をやろうと考え、自分に合った生き方をするためにどんなモデルが良いのか、いろいろと模索しました。理工系出身なのでモノづくりの意識が強く、発明や商品開発のヒントを得られないかと、しばらくは特許庁の資料を見たり、図書館で文献を調べたりしていました。当時、私はマンションの理事長などを務めていたこともあって、その近辺ではちょっとした有名人だったんですが、朝出かけるときに近所の方々から「小林さん、自分探しは終わったの?」と冗談で声をかけられることもありました。最初のうちは、「今、探している最中です!」なんて元気よく答えていたものの、数カ月もすると貯金もなくなってきて、「来週は米も買えない」という状況になってしまいました…。それで、いつも声をかけてくれていた近所の方々に「いったん自分探しは休憩します。家計が苦しいので、何かお仕事があったらお手伝いさせてください」と頼み込んだんです(笑)。

──自分探しは数カ月で終わったんですね(笑)。それで、ご近所さんはどんなリアクションだったんですか?

仲の良かった主婦の方が「だったら、お風呂を磨いてほしい」と言ってくれて、お風呂洗いをさせてもらうことになりました。半導体にはポリッシング(研磨)という製造工程があるので、「磨く」という作業は自分の中でイメージしやすかったですし、せっかくの依頼に応えようと心を込めて洗ったところ、「キレイにしてくれてありがとう」とすごく感激してくださって、5000円の報酬をいただくことができたんです。すると、その方が「小林さんが困っているんだから、みんなもお願いしてあげて」と近所の方々に紹介してくださって、お風呂掃除の依頼が舞い込むようになりました。「キレイになった」と喜ばれることが嬉しくて、オリジナルの道具をつくったりして張り切って対応していました(笑)。

「お風呂の再生」という言葉から広がった事業展開。全国への取引拡大がフランチャイズオーナー募集のきっかけに。

「お風呂の再生」という言葉から広がった事業展開。全国への取引拡大がフランチャイズオーナー募集のきっかけに。

──このお風呂掃除との出会いが、後の「ふろいち」につながっていくわけですね。小林社長がお風呂磨きにのめり込んだ理由はなんだったのでしょうか?

そのときにお風呂掃除をさせてもらった近所の方から、数カ月後に「また磨いてほしい」と依頼が来るようになったんです。「この前磨いたばかりなのに、またやるの…?」と半信半疑でお風呂場に行ってみると、確かに黒ずんでいて汚い。このときに、自分がやったお風呂掃除に対して「これでは真のサービスにはなってない。お客様に喜んでいただける期間があまりにも短すぎる」と感じたんです。それで、お風呂磨きの研究を本格的に始めるようになりました。

──研究を始めるというのが、理工系出身の小林社長らしい発想ですね。当時は、どのような研究を行っていたのでしょうか?

最初に思いついたのは、その頃流行していたクルマのコーティング技術をお風呂場に利用できないかということでした。クルマとお風呂では素材も違えば、湿気などの環境も異なるので、そう簡単な話ではありませんでしたが、前職の同僚のコネクションなどを辿って、化学の専門家から知恵を借りたり、必要な材料を用立ててもらいながら、試行錯誤を繰り返していました。その結果、水垢を研磨する機能と保護効果を併せ持つフッ素クリーニング&コーティングの技術を開発したんです。当時は、アパートの一室を借りて研究していましたから、「変な臭いがする」と近所の方から苦情がくることもありました…。今だから笑える話ですが、周りからはかなり怪しまれていたと思います(笑)。

──そこからの事業展開はいかがでしたか?

フッ素クリーニング&コーティングの開発をした後、初めて近隣エリアにポスティングをしたんですが、それがこの事業の大きな分岐点となりました。チラシに「お風呂を再生します」と謳ったら、傷や穴を直してほしいと汚れ以外のお悩みが寄せられるようになったんです。あるお客様から「ひび割れを何とかできないか?」と頼まれときに、やるだけやってみようと亀裂をパテで埋めて、バスタブと同じ色のスプレーで塗ってみました。すると、これが予想以上にうまくいってお客様も喜んでくださったのですが、1週間後には色が剥げてしまいました…。やっぱりこれではダメだなと、カラーコーティングの研究を始め、今度はバスタブでも色が剥げないセラミックカラーコーティングの技術を開発しました。

──「お風呂の再生」をキーワードにさまざまなお悩みが寄せられるようになったことが、新しい技術の開発につながったんですね。

そうですね。お客様のお悩みを解決しようと躍起になって頑張っていたら、新しい技術や手法の開発につながり、少しずつクチコミでお客様が広がっていったんです。さらに、新しく開発したカラーコーティング技術の特許申請がきっかけで、大きな仕事を受けるようになりました。ウチの出願書類を目にした大手の水廻り機器メーカーが、カラーコーティングの技術に興味を持ってくださったんです。サンプル施工を提出してから半年間の品質試験を経て、紹介されたのが帝国ホテルの浴槽をコーティングする仕事でした。その仕事を受けたことで信頼度が上がり、他の有名ホテルからも依頼をいただくようになり、さらに水廻り機器メーカーとお付き合いのある大手ハウスメーカーともお取引できるようになりました。

──それからフランチャイズを展開しようと思ったのは、なぜなのでしょうか?その経緯を教えてください。

別にフランチャイズを展開しようと思ったわけではないんですが、きっかけとなったのは、お取引のあった大手ハウスメーカーの支店長会議に呼ばれたことでした。そこでウチの技術を説明するように依頼されて、プレゼンをしたんです。普通だったら、いかに自社の技術が優れているかという話をするのかもしれませんが、私は「お客様に喜んでいただくために仕事をしています」と自分の思いをストレートに伝えました。すると、北海道や福岡の支店長が共感してくださって「取引したい」ということになったんです。でも、当時は開発にお金をつぎ込んでいましたから、資金力が乏しく、地方に営業所をつくることはできませんでした。そこで、地方で頑張ってくれる「仲間をつくりたい」という思いで、フランチャイズオーナーの募集を始めたんです。仲間としてお迎えするわけですから、重視したのは私の理念に賛同していただけること。仕事に誠実に取り組める方、信頼関係のもと約束を実行できる方、感謝の気持ちを持ってやれる方とのみお付き合いさせていただきたいというメッセージを載せて、募集広告を出しました。

──加盟店オーナーではなく、「仲間」という位置づけなんですね。

そうなんです。私の中ではフランチャイズという意識はなかったので、最初は屋号すらありませんでした。加盟店オーナーが10人くらいに増えた頃に、フラッグシップを掲げて気持ちを1つにしようと、オーナーからの発案で「ふろいち」という屋号に決まったんです。当時は会費(ロイヤリティ)もありませんでした。

──会費もなかったんですか!?

私にとっては仲間ですから、当たり前のように無償で材料を用意したり、いろいろなサポートをしていたんです。どうにかお金を工面して、月に何度も現地に足を運んでいました。すると、加盟店のオーナーたちが「社長、さすがにお金ヤバいんじゃないの?」と心配してくれるようになって、加盟店同士で話し合って月額5万円の会費制にしようと提案してくれたんです。私としてはそこで利益を上げるつもりはなかったのですが、ありがたく受け入れることにしました。ちなみに、現在は私の意向で会費を下げて、月額3万円になっています(笑)。

オーナー同士が無償で助け合う風土が根付いているのは、仲間としての信頼関係があるから。

オーナー同士が無償で助け合う風土が根付いているのは、仲間としての信頼関係があるから。

──今も加盟店オーナーへの対応は、すべて小林社長が行っているんですか?

もちろん、説明会から研修、開業後のサポートもすべて私が担当しています。これまで、1度たりとも研修を休んだことはありません。40度の熱を出しても研修をやったのはちょっとした自慢です(笑)。「仲間だから」という理由だけでなく、加盟店のメンバーには経営者として独り立ちしてもらいたいと考えていますから、先輩経営者である私が直接サポートすることにこだわっています。

──普段、加盟店オーナーとはどのようなコミュニケーションをとっているのでしょうか?

加盟したばかりのオーナーに関しては、私が担当する大きな現場に集まってもらうことが多いですね。完成まで1カ月、2カ月とかかる間にじっくりと技術的な指導をすることはもちろん、仕事終わりには夜の研修という名の飲み会を開いています(笑)。今では加盟店も90店舗以上に増えましたから、全員と頻繁に会うことはできませんが、「社長の声が聞きたくなった」と電話をもらうことも少なくありませんし、時間を見つけて本社に立ち寄ってくれるメンバーもいます。本当に仲間のような関係で家族ぐるみの付き合いをしているので、仕事とは関係のない相談もたくさんきます。たとえば、「家を建てたいと思っているんだけど、妻が反対しているから説得してほしい」とお願いされることもあれば、「明日プロポーズしようと思っている」と相談してきたオーナーのために、急いでヘリコプターやリムジンを手配してプロポーズの演出をしたこともあります(笑)。

──ずいぶん面倒見が良いですね(笑)。小林社長との関係が良好なだけでなく、オーナー同士も非常に仲が良いそうですね。

年2回、全国のオーナーが一同に集まる総会を開いているんですが、全員がこのイベントを楽しみにしています。そこでたくさんの仲間と会って話すことが、仕事のモチベーションになっているようです。中には、総会が終わった直後に「次回の総会分です」と会費を振り込んでくるオーナーもいます(笑)。また、私が現場にサポートに行けない場合には、経験10年、20年のベテランオーナーたちが、私の代わりに経験の浅いオーナーを無償でフォローをしてくれています。

──「他のオーナーを無償でフォローする」というのは、通常では考えられません。なぜそのようなことができるのでしょうか?

嬉しいことに、「これまで社長に助けてもらってきたんだから、今度はオレたちが助ける番だ」とオーナーたちが思ってくれているようです。私も含めた仲間同士の信頼関係があるからこそ、できることなのかもしれません。私自身、「私利私欲」が大っ嫌いですし、加盟店のオーナーたちには一貫して信頼関係の大切さを伝えてきました。他人の足を引っ張ったり、「オレがオレが」と自分本位に動くような考えではダメだと。だから、「ふろいち」では価格を加盟店オーナーが自由に決めることができますし、テリトリー制もありません。信頼関係があるから、契約やルールでオーナーを縛る必要がないんです。契約に関して言えば、更新料や違約金もありません。辞めたいその日に辞めることができます。

──違約金もなく、いつでも辞められるにもかかわらず、10年以上継続しているオーナーが8割以上。現在、加盟店は全国に90店舗以上広がっています。今後、そんな「ふろいち」をどのように成長・発展させていきたいと考えていますか?

これまで、「ふろいち」では路地裏戦略をとってきました。派手に宣伝をするのではなく、それぞれの加盟店オーナーが地域に根ざして地道に実績を重ね、目立たないうちにそのエリアのマーケットシェアを穫っていく手法で戦ってきたわけです。その戦略がうまくいき、今では大手も簡単には追随できないところまでシェアを高めることができました。少しずつブランディングやマーケティングの準備を進めていますが、これからはもっと「ふろいち」という名前を世の中に発信していくフェーズに入ります。加盟店の仲間たちに約束しているのは、必ず「陽の当たる場所に連れて行きます」ということ。あと10年で「ふろいち」を世間一般に知られるポピュラーなブランドにして、次の世代に引き継いでいきたいと考えています。

──最後に、これから独立・開業しようと考えている方にアドバイスをお願いします。

まず言えるのは、検討している時間をなるべく短くしたほうが良いですよ、ということ。時間は有限ですから、とにかく考える前に行動すべきです。フランチャイズを検討するなら、「この期間までに決断する」と期日を決めて、説明会にバンバン参加するのが良いと思います。フランチャイズというのは、ただの商売の道具に過ぎません。どんな道具も、使い方によってまったく価値が変わってしまいます。フランチャイズという道具を金儲けに活かすのか、社会貢献のために活用するのかは、その人次第です。だから、何よりも重要なのは、フランチャイズを使って自分が何を実現したいのか、生き方の方向性を明確にすることではないでしょうか。そして、自分の生き方や考え方に合った道具=フランチャイズを選択すれば良いんです。自分に合う道具を手に入れるために、できる限り多くの説明会に参加して、フランチャイズ本部の考え方や方針を自分の目で見極めることが重要だと思います。

  

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小林社長の「想い」をまとめると…

  • サラリーマン時代に感じた疑問をきっかけに、自分と縁のある人たちと幸福感を共有する仕事・生き方を目指すようになった
  • フランチャイズオーナーは「仲間」だと思っている
  • 仲間としての信頼関係を重視し、オーナーを縛る契約やルールはつくらない

取材の中で印象的だったのは、「せっかくこうやって集まっていただいたんですから、たくさん楽しい話をしましょう。そのほうがハッピーじゃないですか?」という小林社長の言葉。今回の取材も1つの「縁」として、大切にしてくださっている様子を感じ取ることができました。小林社長の宣言通り、取材は楽しい話の連続で笑いの絶えない展開に。エピソードをお聞きするたびに、頭をよぎったのが「普通では考えられない」という感想。損得勘定では動かない「純粋さ」が、常識では計り知れない行動の源であり、人望を集める吸引力になっているのだろうと感じました。

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