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スペシャルインタビュー

株式会社CARE PETS(わおん・ケアペッツ)代表取締役 藤田英明── 「想い」のある本部を選ぶ『トップの肖像』

2016年に動物看護師によるペットのホームケアサービスを提供する「ケアペッツ」をスタートさせ、2018年にはペット共生型の障がい者グループホーム「わおん」を立ち上げた株式会社CARE PETS。介護・福祉業界で豊富な経験を持つ藤田英明社長が、なぜCARE PETSを創業したのか。そして、今急激に拡大している「わおん」を立ち上げた背景にはどんな考えや想いがあったのか、詳しく語っていただきました。

ケアペッツ藤田社長

動物を殺処分から救いたい。
その想いが、CARE PETSの原点。
持続可能性の高い事業で、
世の中の課題を解決していく。

子供の頃から、保護犬・保護猫の殺処分問題をどうにかできないかと思っていた。

藤田社長インタビュー01

──藤田社長は介護・福祉業界で20年以上にわたる経験をお持ちです。最初に、これまでのキャリアを簡単に教えていただけますか?

大学を卒業後、ふとしたきっかけから埼玉県の秩父地方にある特別養護老人ホームで働き始めました。最初はつらくて3日で辞めようと思ったのですが、当時の上司に「意外と根性ないんだね」と言われたことが悔しくて、そのまま辞めるわけにはいきませんでした(笑)それからは本気で介護に取り組み、いろいろな課題や問題点を改善しようと毎日施設長にアイデアを提案しました。しかし、なかなか思うように改善が進まない状況もあって、それなら自分で起業しようと、施策の1つとして考えていた「宿泊可能な小規模デイサービス」を立ち上げたんです。「茶話本舗」というブランドで日本全国にフランチャイズ展開を進め、スタートから数年で事業所の数は900を超えました。今現在は、創業した会社の経営からは離れていますが、これまでの経験をもとにいろいろな立場で介護・福祉に関する活動や情報発信を行っています。

──人の介護・福祉に長く携わってきた藤田社長が、なぜ動物向けの事業を始めようと思ったのでしょうか?2016年に「ケアペッツ」を立ち上げた経緯を教えてください。

かなり昔から、保護犬・保護猫の殺処分問題をどうにかできないかと思っていました。殺処分の犠牲になっている動物の多くが、ブリーダーやペットショップの「売れ残り」ということを考えると、根本的に解決するためにはペットの生体販売業者をなくさなくてはいけませんが、現実的にそれは難しいですよね。また、自分自身が介護事業に携わる中で、動物を飼っている人が高齢化して、要介護になると日々の散歩やお世話ができなくなる。結果、保健所に保護してもらわざるを得ないというケースも数多く見てきました。こうした状況は、動物愛護の精神だけでは変えられません。持続可能性の高い「事業」として何かできることはないか。そう考えて立ち上げたのが、動物看護師が飼い主に代わってペットの介護・看護・シッティング(お世話)を行う「ケアペッツ」です。このサービスをご利用いただくことで「ペットの面倒を見ることができない」という状況を解決できると考えました。また、2018年からはペットと共生する障がい者グループホーム「わおん」という事業もスタートしました。保健所に保護された犬や猫を預かり、障がい者と共にグループホームで一緒に暮らす環境をつくることで、殺処分から救うことを1つの目的としています。

──「かなり昔から思っていた」とのことですが、具体的にはいつ頃から課題意識を持っていたんですか?

12歳のときに猫を拾って飼い始めたんですが、課題意識は14歳くらいの頃から持っていました(笑)ちなみに、最初に飼った猫は3年前に29歳で亡くなるまで飼い続けました。藤田家は一家揃って動物好きなんですよ。妹もだいぶ前に動物看護師の資格を取っていて、それで一緒に「ケアペッツ」を立ち上げました。そして、業界内で認知度を上げてプレゼンスを高めるために、フランチャイズ展開することでサービスを広く早く波及させようと考えました。

「わおん」は持続可能性の高い事業。だから、障がい者のニーズを満たしながら、保護犬や保護猫も安心して長く預かれる。

藤田社長インタビュー02

──藤田社長は、事業のミッションとして「人間福祉と動物福祉の追求」を掲げています。そのために、「人間と動物の地域包括ケアシステムとそれを支えるプラットホーム」を実現させたいと。こうした理念の背景には、どのような想いがあるのでしょうか?

一番課題に感じているのは、日本では「人間と動物が共生するコミュニティが意識されていない」ということですね。日本人は動物好きが多いというイメージがあるかもしれませんが、普段の生活を振り返ってみると、たとえばペットと一緒に入れるスーパーやコンビニはほとんどありません。ペット同伴で旅行に行こうと思ったら、急に値段が跳ね上がることもあります。ヨーロッパやアメリカでは、ペットと一緒にスーパーに行ったり、ホテルに泊まったりすることが普通にできます。今後、日本でもそうした意識が少しずつ広がっていくだろうと思ってはいますが、私たちがその糸口となる仕組みや場をつくることで、「人間と動物が共生できるコミュニティ」を実現させていきたいですね。ちなみに、当社のオフィスはペット同伴の通勤OKです。ビルのオーナーさんにダメ元で交渉してみたら、許可がもらえたんです(笑)

──そうした理念のもと、2018年からスタートしたのが「わおん」ですね。事業を立ち上げた背景を教えてください。

先ほども少しお話しましたが、「わおん」は保護犬や猫と障がい者が共生するグループホームです。なぜ、私たちが障がい者グループホームに着目したのかというと、国の障がい者福祉に関する制度・方針が改訂され、精神障がい者を取り巻く社会的な環境が変わったことが大きいですね。現在、国際的に見て人口10万人あたりの精神科病床数は、日本が圧倒的に多いと言われています(※1)。厚生労働省の調査では、精神科に入院している患者は全体で約29万人、1年以上の長期入院をしている患者が18万人以上もいるそうです(※2)。こうした現状に対して、2020年度までに最大3万9000人の長期入院患者を減らす目標が掲げられ、2018年4月からは早期の退院を促すように診療報酬の仕組みも改定されました。今後、病院側としては患者を長期に入院させることが難しくなるため、それに代わる受け入れ施設としてグループホームが必要になることは間違いありません。この傾向は、2019年以降さらに急速に進むと考えています。

──障がい者グループホームの整備は、社会的な要請ということですね。

そうですね。国が率先して障がい者グループホームの整備を促進していますし、売上の8割は「障害者総合支援法」に基づいて給付されます。だから、事業としての持続可能性も高い。障がい者のニーズを満たしながら、保護犬や保護猫も安心して長く預かれるビジネスモデルというわけです。「わおん」は2018年に立ち上げたばかりのサービスですが、すでに110社以上の法人・個人に参画いただき、全国に広がっています。パートナー企業各社の事業計画を総合すると、近いうちに500以上の事業所がオープンする見込みです。

──参画しているパートナー企業は、やはり介護・福祉施設を運営している法人が多いんでしょうか?

介護・福祉施設を運営している法人だけでなく、いろいろな方がいますよ。障がいのある子どもさんを持つ女性が「子どものために」と個人で始めるケースもあれば、もともと障がい者グループホームを開設しようと考えていた方や、塾や保育園を運営している法人、自社が抱える物件を有効活用したいという不動産会社もいます。それから、やっぱり「動物が好き」という方が多いですね。実は、「ケアペッツ」の事業に興味を持ってお問い合わせをくださった方にも、併せて「わおん」のご案内を差し上げているんですが、新しい事業に魅力を感じてくださる方も少なくありません。国の制度に裏打ちされた事業ということで安定した収益が見込めますし、ニーズの地域格差がほとんどないことも、多くの方に興味を持っていただけるポイントだと思います。

自社に必要なコンテンツだけを選べるレベニューシェア方式で、パートナー企業の独立性・独自性を担保している。

藤田社長インタビュー03

──「わおん」では、従来の一般的なフランチャイズパッケージとは異なる「レベニューシェア」という方式を導入しています。この点も非常にユニークなところですね。

一般的なフランチャイズパッケージよりも自由に経営ができるのが、レベニューシェアの特徴です。私たち本部の役割は継続性の高い事業モデルをつくり、開業を支援するさまざまなコンテンツを用意すること。パートナー企業は自社に必要なコンテンツだけを選び、自由に組み合わせて活用することができます。ビジネスモデルも自由にカスタマイズしていただいて構いません。本部に頼りたい気持ちと、独立して経営したい気持ち、その両方をバランス良く満たせる方式がレベニューシェアです。時代の流れとして、働き方改革やワークライフバランスといった長時間労働を見直す傾向が強まる中で、これまでのような分厚い契約書で経営の自由度を制限するパッケージでは、加盟店オーナーが「労働者」と見なされる時代がくるかもしれません。そう考えると、ビジネスモデルを提供する本部としては、パートナー企業の独立性・独自性を担保する必要があるだろうと。そこで考えたのが、レベニューシェアという方式です。これがベストというわけではなく、これからも時代に合わせて変えていくことになるでしょうね。

──参画を希望される方とは、社長ご自身が面談されているんですか?

私と、開発担当の西本の2人で対応しています。西本は私よりも人を見る目がありますから、厳しいですよ(笑)

──お断りするケースもあるんですか?

もちろん、あります。「わおん」の事業では、パートナー企業の独立性を尊重していますが、利益重視の方を受け入れることはありません。事業というのは、まずは「何をしたいのか」「どんなことをしたいのか」という想いが先にあって、それをやった結果として利益が出るものだと思っています。単純に儲けたいのなら、福祉の事業をやる必要はありませんし、他にいろいろな方法があります。そういう方を見ると「リスクを取らずに安易に儲けたいだけなんだろうな」と思ってしまいますね。儲けたければ、もっと高いリスクを取ってもいいのでは、と。

──現在、すごい勢いでパートナー企業が増えている状況かと思います。どのような体制でサポートしているんでしょうか?

今は、7人のスタッフが1つのチームとなって運営サポートを行っています。それぞれ、事業主として施設を立ち上げた経験を持っていたり、融資に強かったり、国の制度に詳しかったりと、事業の運営や立ち上げに必要な知識・スキルを持ったスタッフが集まっています。これから、さらにパートナー企業が増えることを見据えて、サポート体制の強化も進めていますが、ただ人数を増やすのではなく、質にこだわって即戦力となる採用をしていこうと思っています。

──今後、「わおん」の事業をどのように成長・発展させていきたいと考えていますか?

将来的には、すべてのコンテンツを無料でパートナー企業が利用できるようにしたいですね。それを実現するために、不動産会社を立ち上げたり、福祉サービス事業者向けのシステム開発会社をつくったりと、他の事業で収益が出せるようにさまざまな取り組みを行っています。たとえば、今進めているのは動画や音声データを解析して、施設の利用者やスタッフのメンタルヘルスをマネジメントできるシステム。これを商品化して、介護・福祉施設向けに展開しようと考えています。その他にも「サービス管理責任者協会」も設立しましたし、今後は障がい者雇用の支援事業にも乗り出す予定です。

──最後に、これから独立・開業しようと考えている方にアドバイスをお願いします。

事業には、2つのタイプがあると思います。1つは、消費者のニーズに合わせて、市場が求めているものを提供する消費者適応型のビジネス。もう1つは社会課題に向き合い、事業を通じてその解決を目指すビジネスです。当然、社会課題解決型のビジネスに興味がある方は「わおん」に合うと思いますし、逆に消費者適応型のビジネスをやりたい方に福祉は向かないでしょう。事業をやってみて「自分には合わない」ということが起きないように、独立・開業することで何を実現したいのか、自分の軸をしっかり決めておくことが大切だと思います。そして事業を始めたら、とにかく自分で手を動かし、体を動かし、頭を動かしてみること。実際にやってみて、違うなと思ったら軌道修正する。また実行して、修正・改善する。それを延々と繰り返すことで、成功するものが見えてくるはずです。

※1出典:Health Data 2012
※2出典:厚生労働省 平成26年(2014)患者調査

藤田英明社長の「想い」をまとめると…

  • 保護犬・保護猫の殺処分問題を解決したいという想いから、株式会社CARE PETSを創業した
  • 事業を通じて「人間と動物が共生できるコミュニティ」を実現させたい
  • レベニューシェア方式によって、パートナー企業の独立性・独自性を担保したい

取材時間の5分前、ビルの入口で藤田社長に遭遇。「立ち食い蕎麦屋で朝メシ食べてきました」とフランクな雰囲気で迎えてくれました。一般的な経営者のイメージとは異なる風貌から、ただ者ではないオーラを醸し出している藤田社長ですが、取材の対応はとてもフレンドリーで、回答の1つひとつがロジカルかつ丁寧でした。取材を通じて印象的だったのは、「事業をどうするか」という視点を超えて、「業界をどうするか」「社会をどうするか」という広い視野で事業を運営されている姿。なんと、取材の前日には同じ場所で、業界の有識者として財務官僚からヒアリングを受けていたそうです。スケールの大きさが、やはりただ者ではありませんでした。

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