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スペシャルインタビュー

株式会社ハッピーカーズ 代表取締役 新佛千治──「想い」のある本部を選ぶ『トップの肖像』

2016年のフランチャイズ本部立ち上げから5年という短期間で、全国に70店舗以上の加盟店を広げているハッピーカーズ。創業者である新佛社長は、なぜ中古車買取事業という成熟したビジネスに注目し、挑戦しようと思ったのか。そして、競合他社の多い市場でハッピーカーズが成長できている秘密はどこにあるのか。フランチャイズ本部設立に至る経緯や想い、理念について新佛千治社長に詳しくお話を伺いました。

ハッピーカーズ新佛千治社長

「クルマの専門家」として、
地域の人々にハッピーを届ける。
「新しい働き方」として
全国に広めていきたい。

中古車輸出業での失敗を糧に。滞留在庫がなく、資金の回転が早い中古車買取事業へシフトした。

新佛社長インタビュー01

──新佛社長がハッピーカーズを創業されたのは2015年、そしてフランチャイズ本部として法人化したのが2016年と伺っています。それまでのキャリアを簡単に教えていただけますでしょうか?

大学を卒業後、メーカーの営業としてキャリアをスタートさせ、出版社、 その後大手情報サービス会社で広告制作ディレクターやコピーライターの仕事に従事し、フリーランスを経て2005年に法人化。広告制作事業を営みながら、別の事業として中古車輸出ビジネスを始めました。最初は中古車輸出業を手がけるフランチャイズに加盟しましたが、数年経っても思うような成果を出せなかったため、自社で海外への販売ルートを開拓しようとアフリカのタンザニアに現地法人を立ち上げました。

──タンザニアですか!?

そうです。ただ、治安の問題などもあって軌道に乗らず、早期に撤退することを決め、それを機に中古車輸出業からは手を引きました。その後、日本に戻ってきてから始めたのがハッピーカーズですね。

──新たにビジネスを立ち上げる際に、なぜ中古車の買取事業にシフトしようと思ったのでしょうか?

それまで数年にわたって中古車輸出業に携わっていたので、中古車販売ビジネスの全体像は理解していました。中古車販売ビジネスでは、まず買取業者が中古車を仕入れ、中古車オークション会場に売りに出します。それを販売業者が落札し、一般のお客様に販売するわけです。 中古車輸出業を手がけていたときは、オークション会場で中古車を買い付け、海外に輸出・販売する立場でした。当時は、海外に高値で売れる販売ルートを持つ業者とオークションで競合すると資金面で勝負になりませんでしたし、仮に希望通りの価格で落札できたとしても、その中古車を売って換金されるまで1ヶ月近くかかることもありました。その間に為替が変動すれば利益は減り、万が一売れなければ在庫を抱え込むリスクもありました。 中古車輸出業に失敗した要因を分析し、そういった問題点を洗い出す中で、ふと思いついたのが「ポジションを変えれば良いのでは?」ということでした。つまり、中古車販売ビジネスのサイクルの中で、一般のお客様から中古車を仕入れてオークションに出す買取業者の立場になれば、そうしたリスクを負わずに済むのでないかと考えたんです。

──なぜ買取事業はリスクが少ないのか、もう少し詳しく教えていただけますでしょうか?

中古車買取事業の大きな特徴は、「商品の流動性が高い」ということです。つまり、仕入れた中古車をすぐに販売し、現金に変えることができるんです。というのも、中古車オークションは、全国各地でほぼ毎週開催されています。日本の中古車市場は非常に成熟しており、オークションの仕組みも発達していますから、出品した中古車が売れ残ることはほとんどありません。だから滞留在庫を抱えるリスクがないんです。また、その流動性の高さから換金化も早いというメリットがあります。
さらに、仕入れた中古車は即日オークション会場に入れることができるため、駐車場のようなスペースを自前で用意する必要もありません。在庫を抱えるリスクがなく、資金の回転が早い。しかも、少ない資本で始められる。こうした理由から、中古車買取事業に乗り出すことを決めました。

お客様に喜んでいただける買取価格を提示する。価格競争で優位に立っていることが、拡大の要因。

新佛社長インタビュー02

──先ほどお伺いしたように、中古車買取ビジネスはメリットが多く、リスクが少ないビジネスです。参入障壁もそれほど高くはないことを考えると、競合も多いのではないでしょうか?

そうですね。極端に言えば、中古車買取事業はオークション会場の会員であれば、誰でも始めることができるビジネスです。つまり、競合はたくさんいます。そうした中で後発・小資本で事業を始めるからには、他者との違いを明確にする必要があると考えました。だから、事業を立ち上げる前に理念づくりには時間をかけましたね。その理念は、創業当時から現在に至るまで変えることなく大切にしています。

──そのハッピーカーズの「理念」とはどのようなものなのでしょうか?詳しく教えてください。

「車を通じて、関わる人すべてにハッピーを提供する」。これが、ハッピーカーズが創業当初から掲げているブレない理念です。中古車買取ビジネスは、安く仕入れて高く売るほど利益を得ることができます。より多くの利益を上げようとすると、安く買い取る以外に方法はありません。だから、買取業者は1円でも安く仕入れたいと考えるのが普通です。でも、そんな業者ばかりでは中古車を売りたいお客様はハッピーになれません。 逆に少しでも高い買取額を提示する会社があれば、お客様は喜んでくださるのではないか。そうした思いから、自社だけでなく、お客様のハッピーも追求する会社にしようと考えたんです。 中古車オークションの相場は大きく変動することがないので、販売価格を事前に予測することが可能です。その推定した価格を基準に、お客様にも価値の出る価格を提示すれば、自社の利益を確保しながらも、お客様にもハッピーを提供することができます。変に誤魔化したり、駆け引きしたりせずに、適正な価格を正直に提示する。このスタイルを貫くことで、お客様からの信頼を積み重ねていこうと思いました。 こうした考えに至ったのは、「地元の湘南で一番を目指す」とエリアに特化して事業を展開しようと思ったことも大きく影響しています。中古車輸出業を手がけていたときは「グローバルな展開」を意識していましたが、買取事業では地域の中で信頼される存在を目指そうと考えました。車のことなら何でも相談できる「地元の専門家」として、まずは知り合いからハッピーの輪を広げて、少しずつその総量を増やしていければ良いかなと。

──そうした理念を掲げて新佛社長が1人で立ち上げた事業が、今ではフランチャイズチェーンとなって全国に70店舗以上広がっています。順調に拡大している理由はどんなところにあるとお考えでしょうか?

一番大きな理由は、何よりも買取価格で優位に立てているからだと思います。ハッピーカーズでは「車を通じて、関わる人すべてにハッピーを提供する」という理念のもと、お客様に喜んでいただくために運営コストを徹底的にカットし、その分を買取価格に回すようにしています。買取事業に特化しているため、加盟店オーナーは店舗を構える必要がありませんし、加盟店が本部に支払う加盟金や月々の会費も非常に安く設定しています。こうした仕組みのもと、加盟店オーナー1人ひとりがハッピーカーズの理念を理解し、各地域のお客様に適正な買取価格を提示していることが、他社との圧倒的な差別化につながっているのだと思います。

──元々、「フランチャイズ化」や「チェーン展開」は視野に入れていたのでしょうか?

1人で動ける範囲は限られているので、理念に共感していただける方とパートナーシップを組むことができれば、より早く世の中にハッピーを届けることができるだろうと思っていましたが、具体的にフランチャイズ化に向けて動き出したのは事業開始から2年目を迎えた頃です。事業を立ち上げた当初から、地元密着のスタンスが喜ばれ、多くのお客様から声をかけていただき、3カ月後には月に100万円を超える利益が出るようになっていました。すると、知り合いから「買取りのやり方を教えてほしい」と声をかけられるようになり、だったらきちんとしたフランチャイズの仕組みをつくろうと、各店舗を統括する本部として「株式会社ハッピーカーズ」を立ち上げたんです。

──本部を立ち上げてからはいかがでしたか?順調だったのでしょうか?

いえ、最初の1年は苦労もありました。中古車買取事業はとてもシンプルでリスクの少ないビジネスモデルなので、仕組みさえ本部で用意すれば、すべての加盟店オーナーが短期間で利益を上げられるはずだと考えていました。事実、私自身も事業開始から3カ月で100万円以上の利益を上げていましたから、その自信がありました。しかし、実際には予想通り利益を獲得するオーナーさんがいる一方で、想定外に苦戦するオーナーさんが一定数いたんです。そうした成果が出せない加盟店の中に は結果的に短期間で辞めていくケースもありましたが、なぜそのような差が出るのか、本部として分析した結果、ある傾向が見えてきました。それは、成功しているオーナーさんは、行動の総量が多いということ。わかりやすく言うと、お客様との接点を持つために継続して行動しているオーナーさんは、コンスタントに利益を獲得できていたんです。 中古車買取事業は仕組みが単純で利益を出しやすいビジネスではありますが、中古車の仕入れ先となるお客様がいなくては、事業が成り立ちません。つまり、「顧客開拓の継続」がもっとも重要なポイントと言えます。「車のことならあの人に相談しよう」と思っていただけるような信頼関係を築くために、地域のお客様と接点を持ち続けること。それが事業の成否を分ける要因であると、この時期に明確にすることができたのは大きかったですね。

──そうした経験を経て、本部のスタンスも固まってきたわけですね。

そうですね。本部立ち上げから2年目以降は、加盟店オーナーに求める人材像を明確にして、加盟後のアンマッチを回避するために加入要件を整理しました。また、説明会でも事業の優位性だけでなく、顧客開拓の重要性や、そのために必要なマインドや考え方、ハッピーカーズの理念について時間をかけて説明するようになりました。こうした取り組みの結果、契約を継続する加盟店オーナーが増え、順調に店舗拡大を続けることができています。

オーナーさん自身がブランドのファンであることが、当社の強み。本部と加盟店が一体となって、ブランドをさらに強くしていく。

新佛社長インタビュー03

──加盟店の継続率が高い理由はどんなところにあるとお考えですか?

当社の継続率が高いのは「車を通じて、関わる人すべてにハッピーを提供する」という理念をよく理解し、忠実に行動できているオーナーさんが多いから。とにかく、これに尽きると思います。オーナーさんに目指してほしいのは、車をきっかけにして地域の中でファンを獲得し、自分の「居場所」を築くこと。一度の取引で終わらせるのではなく、お客様の身近な相談相手として生涯にわたってお客様に価値を提供していく存在になってほしいと考えています。本部として、そのために必要なノウハウや考え方は継続的に発信・提供していますし、多くのオーナーさんがそうしたサポートを活用しながら、実際に自分の居場所づくりに成功できているから、辞めるという選択肢がないんだと思います。

──具体的に、加盟店に対してどのようなサポートを行っているのでしょうか?

本部の一番の役割は加盟店が継続するためのモチベーションを維持・喚起することだと考え、さまざまなサポートを行っています。日々のサポートで言うと、価格設定や書類作成、商談の進め方に関することなど、困ったことがあればどんなことでもできる限り迅速に対応しています。こうした日常的な相談対応は、「本部も加盟店と一緒に頑張っている」という一体感を共有し、加盟店と信頼関係を構築する上で欠かせないことだと思っています。 その他にも、加盟店同士が刺激し合いながらモチベーションを高められるように、本部が各店舗をつなぐサロンのような役割も担っています。例えば、定期的にオンラインで勉強会や座談会を開き、加盟店の成功事例やナレッジを共有するようにしていますし、全国の加盟店が情報発信できるSNSツールも用意しています。今では加盟店が増えてきて、最長で6年続けているベテランのオーナーさんもいれば、始めたばかりの新人のオーナーさんもいます。自分の経験年数やスキルに合わせて、その時々でモデルとなるオーナーさんの実体験を聞けるので、非常に参考になると各方面から好評です。

──フランチャイズ本部によっては、加盟店同士が直接コミュニケーションを取ることを嫌がる本部もありますが、ハッピーカーズでは推奨しているんですね。

加盟店同士がつながることによるデメリットがありませんからね。確かに、本部に不満を持つ加盟店オーナーがいると、他の加盟店にネガティブな影響を与えるリスクはあるのかもしれません。ただ、ハッピーカーズでは各加盟店としっかりとした信頼関係を築けていますし、そういった悪意のある動きをするオーナーさんは1人もいません。これは加入要件を整理し、しっかりと人選しているからこそだと自信を持って断言できます。 先日、実際に49店舗のオーナーに「ハッピーカーズに加盟して良かったですか?」という任意のアンケートを取ったところ、84.6%が「良かった」、15.4%が「どちらとも言えない」という回答でした。この結果は、加盟後のアンマッチが起きていないこと、そして本部と各加盟店が理念を共有し、意思統一できていることを証明していると思います。

──では、今後のハッピーカーズの目標やビジョンを教えてください。

今後も着実に加盟店を拡大していき、ハッピーカーズに関わる人々の「ハッピーの総量」を増やしていきたいですね。先述のアンケート結果からもわかる通り、ハッピーカーズの強みは加盟店のオーナーさん自身がハッピーカーズブランドのファンであることです。各加盟店にブランドのアンバサダーとして各地で活躍していただきながら、本部と加盟店が一体となってブランドの価値を高め、強いブランドをつくっていきたいと思います。そして、ずっと長く続く組織にしていくことが、社会に対する責任だと考えています。

──最後に、これから独立・開業しようと考えている方にアドバイスをお願いします。

「手っ取り早く 儲けようと考えるな」ということでしょうか。特にフランチャイズでの独立を考えている方は、気をつけてほしいですね。パッケージ化されたフランチャイズは、安定した売上・利益を上げやすい仕組みであることは間違いありませんが、何もせずに儲かるような簡単な話はありません。一度独立を経験したことがある方は、事業を軌道に乗せることの難しさがわかっているので、フランチャイズの良し悪しを理解してうまく活用できる可能性は高いと思います。しかし、独立を甘く考えて「楽に稼げそう」という理由でフランチャイズを検討している方は、もしかすると痛い目に遭うかもしれません。どんなに素晴らしいフランチャイズであっても、加盟店オーナーが「自分ごと」として事業に向き合わなければうまくいかないものです。 ただ、必ずしも失敗することが悪いとは言いません。失敗しても、その経験から学び、次に活かせば良いんです。私も中古車輸出のフランチャイズに加盟して失敗を経験しました。それがあるから今があるんです。 大切なのは、自分自身で反省点を振り返り、どうすれば良いか考えること。失敗したことを本部のせいにして「お金を損した」と嘆いても、何も成長することはありません。独立するからには、成功も失敗もすべて自分に返ってくる。その覚悟を持って臨む必要があると思います。

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新佛千治社長の「想い」をまとめると…

  • 中古車輸出業で失敗した経験から「リスクの少ないビジネス」として中古車買取事業を始めた
  • お客様に喜んでいただける買取価格を提示することで、自社だけでなく、お客様もハッピーにしたい
  • 加盟店には、車をきっかけにして地域の中でファンを獲得し、自分の「居場所」を築いてほしい

今回取材に伺ったのは、鎌倉の七里ケ浜にあるハッピーカーズ本社。普段、説明会や研修会場として使用されているそうですが、オフィス内に仕事関係の物品を置くことは禁止されているそうで、雑然とした印象は一切なく、コワーキングスペースのようなお洒落な空間でした。取材に応じてくださった新佛社長の人柄も、そのオフィスと同様にスマートで自然体。成長を続けるフランチャイズ本部の社長という肩書きから、エネルギッシュで熱っぽい人柄を想像していましたが、お会いしてみると語り口は落ち着いていてとても柔らかい雰囲気の方でした。

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