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トレンド・フォーカス

脱サラして独立・開業する前に、心がけておくべき意識と行動。サラリーマンのうちにやっておくべきこととは?

「脱サラ」という言葉に象徴されるように、「サラリーマン」と「独立」の間には、大きな差があるようなイメージがあります。もちろん、独立すれば雇われる立場ではなくなります。法人をつくって起業するにしろ、個人事業主として開業するにしろ、立場は経営者。サラリーマンとは、まったく逆の立場になります。確かに、そういう意味では大きな差がありますが、ほとんどの経営者は元サラリーマンです。サラリーマンとして社会人経験を積んでから、独立・開業を果たしています。いってみれば、独立を検討しているサラリーマンにとって、今は「トレーニング期間」のようなもの。将来の独立・開業に向けて、準備しておくべきことは何なのか。サラリーマンのうちに意識しておきたい心構え、知っておきたい基本知識などをご紹介します。

サラリーマンのうちにやっておこう!

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人脈づくりを意識しよう!

独立・開業したら、多くの人の助けや支えが必要になります。お客様やクライアントがいなければ売上は上がりませんし、業種や規模によっては外注先や従業員の協力が欠かせません。税理士や社労士といった専門家の力を借りることもあるでしょう。

もしかしたら、将来あなたが独立したときに、現在の仕事でつながりのある人がお客様や取引先になってくれるかもしれません。困ったときに誰かを紹介してくれる可能性もあります。業務を通じて、社内外を問わず多くの人と知り合えるのは、サラリーマンの特権です!独立・開業を考えている人は、今のうちから「人脈づくり」を意識して、周りと付き合うようにすると良いでしょう。

と言っても、名刺をたくさん配れば良い、という話ではありません。「△△会社の○○」という肩書きを覚えてもらうのではなく、あなたが独立したときに「助けてあげよう」「一緒に仕事がしたい」と思ってもらえるような関係をつくっておくことが大切です。もちろん、今の取引先や同僚に対して露骨に営業や勧誘をするのは、大人のマナーとしてNGですが、特に頼りになりそうな人とは、意識的に親交を深めておくと良いでしょう。また、なるべく人との縁を大切にして、会社を辞めるときも円満退社を心がけてください。

お金の流れに興味を持とう!

営業利益を意識する

経営者なら知っておくべき財務諸表。その中心となるのが、「損益計算書(P/L)」「貸借対照表(B/S)」「キャッシュフロー計算書(C/S)」と呼ばれる財務三表です。サラリーマンのうちから、こうした財務諸表の読み方を知っておくのは大切なこと。ただし、経営や決算に携わる立場でない限り、自分が勤める会社の財務諸表をすべて把握するのは難しいと思います。そこで、お金の流れを意識する第一歩として、まずは「営業利益」を意識して仕事に取り組むようにしましょう。

営業利益とは?

  • 営業利益:「損益計算書(P/L)」に記載される項目で、「売上高」から「売上原価」と「販売費及び一般管理費」を引いた数字のこと
  • 売上高:主たる事業活動から得られる売上のこと
  • 売上原価:売上高に直接対応する原価のこと(仕入れ代、製造原価)
  • 販売費及び一般管理費:売上高に直接対応しない費用全般(広告宣伝費、人件費、交通費など)

シンプルにいうと、「営業利益」とは、通常の事業活動で得た「売上」から「支出」を引いたもの。「支出」の主なものは、商品の仕入れ代や製造原価、広告宣伝費や人件費、交通費、備品代、オフィスの家賃などになります。当然、「営業利益」がプラスであれば、事業が軌道に乗っているということです。

「営業利益」の情報が社内に共有される会社や部署に所属している人は、毎月の推移や、四半期ごとの変化をしっかりと追うようにしましょう。「売上」や「支出」の金額、内訳などをチェックし、数字が上がった・下がった理由を自分なりに考えるクセをつけると、自然と経営者に必要な売上意識やコスト意識などが養われるはずです。

中には、会社や部署の「売上」は把握できても、「営業利益」まではわからないという人もいると思います。そういう場合は、自分で予想できる範囲で毎月の仕入れ代や人件費などをおおまかに計算して、簡易的な「営業利益」をイメージするようにすると良いでしょう。

社会保険料を知る

社会保険料を知る

社会保険とは、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険の総称です。サラリーマンの場合、健康保険と厚生年金保険、雇用保険料が給与から天引きされるので、普段その金額を意識することは少ないかもしれませんが、給与明細を見て「けっこう取られているなあ…」と感じたことがあるのではないでしょうか。実は、この社会保険料を払っているのはサラリーマン本人だけではありません。従業員を雇用している会社(=経営者)も、本人よりやや多い社会保険料を負担しているのです。(個人事業主の場合、特定の業種もしくは従業員が5人未満であれば、健康保険・厚生年金保険を負担する義務はありません)

独立・開業を目指す人は、事業計画を立てるときにシミュレーションを誤らないように、こうした社会保険の知識もしっかりと頭に入れておきましょう。給与が上がるにつれて、会社が負担する社会保険料も上がりますが、その金額はおおまかに給与の15%程度。つまり、月々の人件費は、少なくとも給与の1.15倍、通勤手当なども含めると1.2倍程度を想定しておく必要があります。

たとえば、あなたが独立してIT系の会社をつくり、20代の従業員を、月給20万円で雇ったと仮定します。この場合、月々の給与20万円に加え、健康保険料9,900円、厚生年金保険料1万8,300円、雇用保険料1,200円、労災保険料600円を負担しなくてはいけません。つまり、1人の従業員を雇う人件費として、給与と社会保険料を合わせて月々23万円がかかるということです。(2018年10月時点の基準で算出)

経費を意識する

会社によって、「社内資料はカラー印刷厳禁」といったルールを設けているところもあると思います。また、空いている会議室の消灯やOA機器のこまめな電源オフが、徹底されている会社もあるでしょう。こうした経費削減のプレッシャーは、従業員の立場からすると「面倒くさい」と感じることかもしれません。きっと誤って社内資料をカラー印刷してしまっても、あまり気に留めることもないと思います。ただ、塵のようにわずかな経費であっても、積もれば山となって営業利益を圧迫する要因になります。特に、事業を立ち上げたばかりの時期は、大きな売上が見込めないため、支出をシビアにコントロールする必要があります。いざ自分が経営者になったときにムダな経費を使わないように、サラリーマンのうちからコスト意識を持ち、節約する習慣を身につけるようにしましょう!

また、サラリーマンとして勤めている方なら、誰しも移動時の交通費や出張時の宿泊代など、経費精算をしたことがあると思います。基本的に、「事業に必要な支出」はすべて経費として認められますが、その範囲は会社によって多少の差があります。中には福利厚生の一環として、書籍購入費や映画鑑賞代などを経費として認めている会社もあります。その一方で、仕事に関連するものをプライベートで購入して「これも経費で落とせたらなあ…」と思った経験のある人も多いのではないでしょうか。経費は戦略的に活用することで、従業員のモチベーションアップや節税対策にもなります。経営者になるための準備の1つとして、どんな支出なら経費にできるか、どういった支出を会社が負担してあげると従業員は喜ぶのか、普段からそういう視点を持つようにしましょう。

経営に必要なスキルを磨こう!

マネジメントスキルを磨く

独立・開業したら、あなたが社長の立場になります。業種によっては従業員を雇わずに1人でやることも可能ですが、店舗型のビジネスなど、多くの場合は従業員と一緒に事業を進めることになると思います。従業員との関係づくりが、事業成功のカギを握ると言っても過言ではありません。そこで求められるのが、マネジメントスキルです。

現在、マネージャーやリーダーの立場にいる人は、「中間管理職はツラいなあ…」などと愚痴らずに、自分が経営者になったつもりで、どうすれば部下が気持ち良く働いてくれるのか、いろいろな方法を試してみましょう。日頃から自分の言動が部下に与える影響を意識し、成功例・失敗例を積み重ねていくと、自分なりのマネジメントのやり方が見えてくるはずです!今のうちにマネジメントのノウハウを蓄積しておけば、独立・開業したときに、間違いなく大きなアドバンテージになります。

まだ部下を持っていない、いわゆる平社員の立場の人は、自分の上司から学びましょう。もし、あなた自身が気持ち良く働けているのであれば、その上司の言動にマネジメントのヒントがあるはずです。逆に、「イマイチだなあ」と感じているのであれば、自分がどういったところに不満を感じているのか分析し、反面教師として参考にしましょう。

また、経営層や上司に対する「社内の声」も、マネジメントスキルを磨くための貴重な情報になります。普段の何気ない会話の中で、「社長は現場のことがわかってないよぁ」「部長って部下を乗せるのがうまいよね」など、何かしらの不満や評判を耳にすることがあると思います。そんなときは、なぜそう感じるのか、深く掘り下げて聞いてみましょう。自分では気づけなかったマネジメントのヒントが隠されているかもしれません。

判断力を磨く

判断力を磨く

経営者になったら、判断の連続です。経営者たるもの、何か課題や問題が発生したときに、そのまま放っておいたり、判断を人に任せたりすることはできません。誰かに相談したとしても、最終的に判断するのは自分自身です。判断するスピードが遅かったり、適切な判断ができなかったりすると、事業がうまくいかないこともあります。

誰しも、サラリーマンとして仕事をしていれば、大なり小なり、何らかの判断が必要なシーンに直面するものです。そうした機会を利用して、今のうちから「判断すること」に慣れておきましょう。今、置かれている立場によって、自分で判断できる裁量を持っている人もいれば、持っていない人もいると思います。ある程度の裁量を持っている人は、自分で判断することに慣れていると思いますが、常に独断で決めるのでなく、ときには周りの意見を聞いてみると良いでしょう。他者の考えに触れることで、「そういう考え方もあるのか」と、自分にはない発想や視点に気づかされることがあります。多角的な判断基準を身につけておけば、ケースバイケースでより柔軟な経営判断ができるようになるはずです。

自分で判断できる裁量を持っていない人は、課題や問題に直面したときに、必ず「自分だったらどう判断するのか」を考えるようにしましょう。上司や先輩に「どうしますか?」と聞けばすぐに解決するようなことも、まずは自分の考えをまとめることが重要です。自分の考えをいくつか持ったうえで、上司や先輩に相談するように心がけてください。自分で考えるクセをつけることで、「判断すること」に慣れると同時に、上司や先輩と比べて自分に足りない知識や視点が明確になり、判断力を磨くことにつながります。

サラリーマンの場合、立場的にどうしても考え方が保守的になってしまう人が多いと思います。判断するときも、できるだけリスクを取らないことを優先する「リスク思考」になりがちです。一方で、経営者の場合は、リスクを取りつつもチャンスに目を向けた判断が必要になってきます。経営者として必要な判断力を磨くのであれば、「チャンス思考」で物事を判断できるクセをつけるべきかもしれませんが、サラリーマンという立場上、実際には「リスク思考」での判断が必要なシーンも多いと思います。こうした点を意識して、判断が必要なシーンではできるだけ「リスク思考」と「チャンス思考」の両面から考えるように心がけると良いでしょう。

どんな機会も「学ぶ場」として活用しよう!

研修から学ぶ

サラリーマンとして働いていると、会社から「この研修を受けなさい」と指示されることも少なくないと思います。ときには、土日を利用して受講しなくてはいけないケースもあるでしょう。こんなとき、「希望したわけでもないのに、面倒くさいなあ…」と思ってしまいがちですが、独立・開業を目指すなら、こうした研修は積極的に受けるべきです!「自分自身のスキルアップに役立つ」という点で有意義であることはもちろんですが、「教え方を学ぶ」という意味でも貴重な経験になります。

脱サラして経営者になったら、「従業員を育成する」ことも、自分自身でやらなくてはいけません。人に教えること、指導することが重要な仕事になります。そのため、自分が教える立場になったときのことを想定し、今のうちから「教えるノウハウ」を貯めておいたほうが良いでしょう。ノウハウを学ぶ方法として、もっとも手っ取り早いのが、自分自身で研修を受けることです。講師の話し方や研修の流れなど、学べることがたくさんあります。「こういう内容を教えると良いのか」「こういう教え方だとわかりやすいな」など、研修を受けて自分が感じたこと、気づいたことがそのままノウハウとして活かせるはずです。

異動はチャンスと捉える

ある程度の規模の会社になると、人事異動が頻繁にあります。慣れ親しんだ仕事や部署から離れることになるため、異動をネガティブに捉える人も多いかもしれません。でも、異動は事業を多角的に体験できるチャンスです。立場が変われば、組織や事業の見え方は大きく変わります。経営者は、事業全体をいろいろな立場から見て、営業からバックオフィスまで、1人何役もこなさなくてはいけません。つまり、さまざまな部署で幅広い業務経験を積むことが、独立・開業したときに大きなアドバンテージになる可能性があるのです。

1つの分野で専門性を磨き、スペシャリストして独立する道もありますが、異動を経験することで身につくスキルや強みもあります。独立・開業を目指す人は、人事異動は「学びのチャンス」と捉えてください!

身の回りのモノを参考に準備を進めよう!

必要な備品を想定する

会社には、机、イス、ロッカー、PC、OA機器など、いろいろな備品があります。店舗型のビジネスであれば、店内にさまざまな什器や設備があるでしょう。普段、仕事をしていて「当たり前」にあるものですが、脱サラしたら、こうした備品のすべてをあなたが揃えなくてはいけません。どんなものをいくつ用意するか、イチから考える必要があります。

もし、似たような業種での独立・開業を考えているのであれば、今働いている環境は絶好の模範例となるはずです。自分が独立したときのことをイメージし、将来どんな設備や備品が必要になるのか、今のうちから軽くリストアップして準備しておきましょう。同時に、だいたいの金額感も把握しておくとベターです。

システムの良し悪しを見定める

最近では、多くの会社が業務の効率を上げるためにさまざまなシステムを利用しています。こうしたIT環境も、備品や設備と一緒で、サラリーマンとして働いているとありがたみを感じにくいものですが、脱サラしたらすべて自分で整える必要があります。

現在勤めている会社と同じようなシステムを導入することは難しいかもしれませんが、今の時代、類似のサービスがたくさん出ているので、安く利用することも可能です。「こういうシステムは不可欠だな」「これは他の方法で代用できるな」など、システムの必要性を見定めておくと良いでしょう。

中には、「これは独立しても絶対に利用したい!」と思えるシステムがあるかもしれません。その場合は、独立・開業後も同じシステムを使うことを想定し、今のうちに操作方法を完璧にマスターしておきましょう。使い慣れたシステムを利用することで、覚えるための時間的コストを削ることができます!

サラリーマンのうちに心がけておくべき意識と行動のまとめ

将来の独立・開業に向けて、サラリーマンのうちに意識しておきたい心構えや、知っておきたい基本知識などをご紹介しました。サラリーマンという立場を活かして、業務を通じてスキルを磨いたり、準備を整えたり、できることはたくさんあります。サラリーマンとして受け身でいると「つまらない」「嫌だなあ…」と感じることも、将来のためのトレーニングのつもりで取り組むと、自然と主体性が生まれて「楽しい」「充実している」と思えるはずです。少し目線を変えるだけで、身の回りのすべての物事が成長機会や価値ある情報になるのです。独立・開業という目標を見据え、今の環境を最大限に利用して、しっかりと準備を進めましょう!

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