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レトロな「純喫茶」がブーム! 聖地の神保町駅と類似する都内3駅とは?

長らく続くカフェブームの影響で、カフェ・喫茶店の店鋪数は増加の一途をたどっている。独立にあたって、カフェを選択する人も多く、経営スキルを身につけるための専門学校やスクールなども活況を呈している。そんななか、いわゆる「カフェ」とは一線を画する、昭和の香り漂う「純喫茶」も一部では根強い人気となっているが、開業目線で見たときにはどうだろうか? 老舗純喫茶が多く立ち並ぶ神保町のデータをもとに、開業のヒントを探ってみよう。

三田線・都営新宿線 神保町駅
作家・詩人など、多くの文化人に愛される純喫茶の聖地

レトロで格調高い店内で味わう純喫茶のコーヒーは、陽射しの降り注ぐ明るいカフェで味わう時間とは異なり、シックでほろ苦い味わいーー。近年、『純喫茶コレクション』(難波里奈著・パルコ出版)、『東京喫茶名店案内100』(ぴあMOOK)など、純喫茶を取り上げた本が次々と出版され、普通のカフェには飽き足らない人々に愛読されている。

そして、そんな純喫茶が数多く集うのが「神保町」エリア。商圏データの「マケプラ」によれば、駅から0.5km以内に31店舗の喫茶店が集まっており、新宿線、三田線、半蔵門線が乗り入れる神保町駅の乗降客数は1日に11万2738人。居住人口こそ5328人と少ないものの、ほかの街から仕事や学校のために足を運ぶ人々が数多く、なかでも純喫茶は貴重な憩いの場となっている。

神保町といえば、110軒もの古書店が集う「古本の街」というイメージがすっかり定着しているが、出版社や大学も集まっており、パリの学生街として有名なカルチェ・ラタンにちなみ「日本のカルチェ・ラタン」と呼ばれていた。そのなかで純喫茶は、昔から編集者や作家にも愛されており、60年にわたって店を構える「さぼうる」や、詩人の田村龍一、草野心平が作品に書いた1949年創業の「ラドリオ」など、数々の文化人たちが愛した名店が現在でも人気を博しているのだ。そこで、マケプラデータから神保町と類似する駅を3つ導きだし、次なる「純喫茶の聖地」を予想してみた。

【1】東西線 神楽坂駅
すでに文化度の高い「東京のパリ」は、純喫茶にぴったり

神保町に類似する駅、1つ目は神田川を挟んだほぼ隣町でもある神楽坂。新潮社の本社があり、「かもめブックス」「クラシコ書店」といったセレクト書店や、読書カフェ「キイトス茶房」など、神保町に負けず劣らず文化レベルが高い街。そんな神楽坂ならば、純喫茶のレトロな味わいも自然に受け入れられるだろう。1日3万7976人の乗降客を数える神楽坂駅周辺では、現在、8店舗の喫茶店が営業しており、路地裏にある「茶廊トンボロ」は、すでに雑誌などでも紹介される純喫茶の人気店となっている。

また、神保町との意外な共通点が「神楽坂=パリ」説。歩道には石畳が敷き詰められ、小さくとも雰囲気のいいショップが集っている神楽坂は、パリのモンマルトルの街並みを彷彿とさせる……と、言われているのだ。そんな類推が適切かどうかはさておき、アンスティチュ・フランセ(日仏学院)があり、フランス人の姿が多いのはたしか。東京都に住むフランス人5,500人のうち、神楽坂のある新宿区に住む人は821人と港区を抑えて東京一の密集率(平成28年)。「東京のパリ」にぴったりな文化的純喫茶の需要は高いだろう。

【2】JR山手線 高田馬場駅
1日に約40万人が利用する有名駅には学生が集う

明治大学、日本大学、専修大学などが軒を連ねる神保町。そして同じく学生の街として知られるのが高田馬場だ。約5万2000人の学生が学ぶ早稲田大学や東京富士大学をはじめ、専門学校・予備校なども数多い。また、東西線、西武新宿線、山手線の3線が乗り入れ、1日の乗降人数は39万9482人を数えるところも神保町と類似しており、街としても計り知れないポテンシャルを秘めている。しかし、当然ながら駅から0.5km以内に33店舗ものカフェ・喫茶店が乱立する高田馬場駅周辺は、すでに激戦区の様相。純喫茶の新規出店にあたっては、新しさと老舗感を融合させ、学生だけに特化するといった新たなコンセプトを見つけなければ、勝ち残っていくことは難しいだろう。

【3】有楽町線・副都心線 小竹向原駅
人気エリアではなくブルーオーシャンを狙え!

高田馬場と同じく学生街として知られる西武線 江古田駅周辺には、数々の芸能人を輩出した日本大学芸術学部や武蔵野音楽大学、武蔵大学などがある。駅の1日の乗降客は約3万3000人と高田馬場駅に比べれば10分の1であるにも関わらず、駅から0.5km圏内には10店舗の喫茶店・カフェが乱立しており、密集率は高田馬場以上。

そこで注目したいのが、江古田駅周辺と生活圏も重なっており、武蔵野音楽大学などを挟んで1kmしか離れていない、有楽町線・副都心線「小竹向原駅」。住宅街として栄えており、駅前に文化の香りは少ないものの、池袋駅、新宿三丁目駅、渋谷駅までも直通という利便性から1日に24万3,653人が利用し、近隣大学の学生や、社会人などが住む街なのだ。それにも関わらず、駅周辺0.5km圏内のカフェ・喫茶店は「音楽喫茶アカシア」を含むわずか3店舗。さらに、ライバルとなるファミレスもジョナサンが1店舗しかない。地元の主婦や高齢者を意識したリピーター戦略、あるいは学生や若者などを想定した深夜営業など、工夫次第でさまざまな純喫茶の可能性が考えられるブルーオーシャンといえるだろう。

純喫茶にしかない魅力は、その街にふさわしい世界観を作れるか

魅力的な立地のほかにも、内装の雰囲気や食器、名物メニューなど、愛される純喫茶には、必ずその店だけにしかない強みが存在する。立地にこだわった後には、その街にふさわしい独自の世界観を作り、いわゆるカフェとは異なる純喫茶の魅力を伝えていくことが成功のカギになるだろう。また、「純喫茶」ブームはいまから30年前のことなので、もしかしたら世代交代で閉店を考えている店舗の居抜き物件が出てくるかもしれない。店の雰囲気が最重要となる飲食店だけに、多くの方法を探ってみてほしい。

※データ:商圏データ「マケプラ」調べ(2017年6月現在)

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