1. 独立・開業・フランチャイズ情報TOP
  2. マイナビ独立マガジン
  3. 人気開業エリア分析
  4. 中目黒の「花屋」はなぜ繁盛する?人気のヒミツを聞く
人気開業エリア分析

中目黒の「花屋」はなぜ繁盛する?人気のヒミツを聞く

各不動産サイトの「住みたい街ランキング」でも毎年上位にランクインし、おしゃれな街として圧倒的な人気を誇る中目黒駅(目黒区)。日比谷線で恵比寿や六本木、銀座などへのアクセスも良好。さらに、東急東横線が副都心線と接続したことによって、渋谷・新宿・池袋などの繁華街とも一本でつながるなど、都内有数の好立地である。
また、利便性だけでなく、芸能人が御用達とする隠れ家的な飲食店や、雑誌で取り上げられるショップなども多く、そのおしゃれなイメージに憧れて移り住んでくる若い世代も数多い。そんな中目黒には、近年、個性的な花屋が続々と開業している。いったい、なぜ中目黒に花屋が集まるのだろうか? 激戦区の人気店に取材し、その秘密を探ってみよう。

花屋が密集する中目黒は、駅周辺に住む81%が経済的余裕のある世帯

現在、中目黒駅周辺0.5㎞には13店舗もの花屋が営業を行っている。「青山フラワーマーケット」「とうきゅうフローラ」のようなチェーン店のほかに、「マチルダ」「ex. flower shop & laboratory」「アトリエ・カバンヌ」など、個性的な花屋や高級感のある花屋などが群雄割拠しているような状態。では、いったいどうして中目黒にそれほどまでの需要があるのだろうか?

2013年8月にオープンした「(hana-naya)」店主の白川氏によれば、同店の主な客層は30から40代の女性。購入のメインとしては、ビンに入った小さなブーケや1,000円程度の花束が普段使いとして喜ばれているという。

商圏データ「マケプラ」によると、駅から半径1㎞の世帯のうちの81.1%が「都心部に居住する経済的余裕のある独身者・ファミリー」だという。これは東横沿線の平均49.5%を大いに上回る数字だ。ある賃貸サイトによれば、中目黒駅の一人暮らし物件(1K)の家賃相場は9万円とやや高め。働き盛りで収入も安定しているであろう30から40代が全体の37.5%を占めていることからみても、決して安くはない花を定期的に購入できる余裕のある世帯が多く住んでいることがわかる。それらも激戦区となった要因の一つではないだろうか。

また、中目黒周辺には、雑誌撮影などでよく使われることで有名な「代官山スタジオ」などの撮影スタジオがあり、その需要もあると白川氏は語る。「テレビ、雑誌などで使われるスタジオの飾りとして、花を買いにくるお客様も多いですね。そればかりでなく、お店で撮影をさせてほしいという問い合わせがくることもしばしばです」。

激戦だからこそ、地道な宣伝とコミュニケーションが重要になる

しかし、個性的な店も多い激戦区で、競合他店とどのように渡り合っていけばいいのだろうか? (hana-naya)では、店舗での営業と並行し、花を自転車に載せた昔ながらの「引き売り」を行うことで差別化につなげている。

「もともと、平安時代から『大原女(おはらめ)』と呼ばれた行商人が花を売っていたように、移動販売が花屋の原点。そこで、自転車を使った移動販売をメインにした花屋を作りたいと思っていたんです。店舗での販売に比べてそこまで高い売上にはなりませんが、店舗で販売しているよりもお客さんと親密なコミュニケーションを取れることが引き売りの醍醐味。また、引き売りをすることが地道な宣伝活動にもつながっていて、後日お店まで足を運んでくれる人も多いですね」

花文化の基本に立ち返った「引き売り」という珍しい販売方法が、店舗の経営にもプラスに働いているようだ。しかし、白川氏の野望はそれだけにとどまらない。「まだ実現できていませんが、ゆくゆくは牛乳や新聞のように、毎朝花を届けるサービスができればと考えています」と語る。

開店祝いのお花など、新規オープン店舗の多いエリアにはビジネスチャンスも!

単に美しいブーケや可憐な花を販売するだけでなく、白川氏は「新たな花文化の創出」を目指している。「(hana-naya)」のほかにも、同じく中目黒の花屋「farver」では都会に住む30から40代男性に向けた観葉植物専門店「CONDUIT」をオープンし、新たな文化の開拓を試みている。文化の担い手となるクリエイターが数多く住む中目黒だからこそ、いままでにない新たな文化の創造に挑戦することができるのだろう。では、独立にあたってのヒントはあるのだろうか? 白川氏は、「中目黒に限らずですが」と前置きし、次のように語る。

「お店をオープンする前の宣伝活動はとても大事だということを身に染みて感じました。ぼく自身、なかなか手が回らなかったのですが、SNSやウェブで情報を発信し、お店の存在を認知してもらうこと。あるいは、地元の不動産屋さんや会計事務所などに宣伝しておくと、そのお客様の開店祝いなどにお花のご注文をいただくことがあります。そんな努力をしておけば、オープンしてから軌道に乗るまでの期間がとても楽になりますよ」

実際に都内の花屋激戦区は、銀座・新橋・表参道など、飲食店や小売業が盛んなエリアに集中していることがわかる。

センスを求められる花屋。店主の想いに共感する顧客を集める

お祝いごとや記念日など、花を贈る習慣があるかぎり、花屋の需要はある。調理師などの「資格」が必要な飲食店とは違い、「センス」を求められるのが花屋。開業には店主の個性が求められるのではないだろうか。とくに最先端の文化が生み出される街では、おしゃれで洗練されているだけでなく、新たな文化を生み出すという心意気も重要。そんな、店主の想いに共感した顧客に支えられ、成功する店舗もあるようだ。

※データ:商圏データ「マケプラ」調べ(2017年3月現在)

 マイナビ独立マガジンの最新記事

一覧を見る

 マイナビ独立フランチャイズマガジンの最新記事

一覧を見る
PAGE TOP