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先輩開業インタビュー

20代前半で年収1千万円も夢じゃない。脅威のサロンOCEAN TOKYO代表 高木琢也の一人勝ちの理由

2013年秋の開業以来、もっともファッショナブルでトレンドのメンズカットを提供するヘアサロンとして、若い世代を中心に圧倒的な支持を集める「OCEAN TOKYO」。わずか3年で、流行の発信基地である原宿・表参道エリアに3店舗を構えるOCEAN TOKYOは、代表である高木琢也氏の月間売上が1,200万円という、ヘアサロン業界で不可能と言われた驚異的な数字を叩き出したこともある人気店です。顧客は日本各地から訪れるだけあって、予約は数か月待ちになることも。OCEAN TOKYOは、いかにして業界ナンバーワンとなったのか。共同経営者の一人、カリスマ美容師としても名高い高木代表に、話を聞きました。

流行にのるサロンではなく、僕たちが時代を創る側になる

cont01.jpg――高木さんは人気サロンから独立してOCEAN TOKYOを開店されたそうですね。400以上のサロンが店を構え、ライバルが非常に多い原宿・表参道エリアを最初に選んだのはなぜだったのですか?

高木:ニューヨークのタイムズスクエアは世界的な流行の発信地ですよね。もし、それを東京で実現するなら発信地は原宿であってほしい。新しい流行を原宿から世界に発信したいと思って選びました。

それに、サロン業界ってみなさんが思う以上に、自由が少なかったりします。たとえば、店ごとに打ち出したいヘアスタイルがあるので、若いスタイリストが独自のスタイルを発表する場はあるようでない。じつは僕もそれが不自由で独立したタイプでもあります(苦笑)。ファッションの流行にのったヘアスタイルを提案するのがいままでのサロンだとすると、OCEAN TOKYOは、流行の最先端を走る場所でいたい。だから僕たちが流行を発信し、時代を創る側にならないといけないと思っています。

――それがOCEAN TOKYOのコンセプトなんですね。

高木:そういう「攻め」の姿勢を、開業当初からやってきたからこそ、うちには全国からお客様がいらっしゃってくれると思うんです。学校や仕事の大事な休みを使って、髪を切るためだけに何か月前から予約をして上京する方もいれば、修学旅行の自由時間にやっと来れたという男子学生もいる。僕は期待を持って来てくれる人たち全員をカッコよくしたいんです。だって髪型が決まれば、自分に自信がつく。そうすれば、その髪型に似合うオシャレもしたくなるし、生活スタイルだって変わる。本人が気づいていない魅力を引き出すのが、僕たちの仕事なんです。

――OCEAN TOKYOは男の子に勇気を与えるサロンなんですね。では、開店当初はどのように顧客を増やしていかれたんですか? 以前に働かれていたサロンでは、高木さんの顧客だけで月に500万円の売上があったそうですが、そのみなさんに声をかけたりなどは?

高木:いや、それは絶対しないですね。僕の場合、前のお店に育てていただいたという思いがありますので、筋は必ず通します。一緒に働いていたスタッフにも、指名してもらっていたお客様にも、独立のことは一切何も言わなかったんです。

OCEAN TOKYOの開店も、辞めてから2か月で準備したので、最初はお店のウェブサイトもなかった。急展開すぎて、開業を公にしにくいところもあり、告知を始めたのも開店3日前でした。でも、辞めたあとの僕をTwitterやFacebookで調べて探してくれた人がたくさんいてくれたんです。そのおかげもあって、電話予約をスタートしたらめちゃくちゃ電話が鳴って、次々に予約で埋まっていったのがとても嬉しくて、いまでも覚えています。

――流行の発信地である原宿・表参道のコミュニティーや、口コミ効果もすごかったんでしょうね。とても順調な滑り出しです。

高木:でも……開店するまでは地獄でしたよ。僕が前職に勤めていたときに、ライバル店で人気ナンバーワンのスタイリストだったトメ吉という男と意気投合して、共同経営すると決めたのですが、そもそも店を出すことが二人とも初めてだし、開業する経験も知識もない。物件を借りようと思っても、事務所もないから身分も証明できないし、担保は? 保証人は? って、何もわからないんですよ(苦笑)。まず、信用というものがないから、何もできないんですよね。

――そこでどうしたんですか?

高木:親父が国家公務員だったので、いろいろ教えてもらいなんとかなりました。開店したときから売上はずっと上向きなので、お金では苦労しなかったんですけど、物件が決まるまでは事務所さえなかった自分たちのことを、多くの人に信用してもらうのは大変でした。信用だけはお金じゃ買えませんから。これは教訓でしたね。

常にモテる存在でいたい。それはスタッフにとって「やっぱり社長はカッコいいな」という目標でありたいから

cont02.jpg ――OCEAN TOKYOは経営も順調で、いまも現場に立っている高木さんを信頼して訪れる人も多いそうですね。独立を決断することができたのは、ご自身の腕に自信を持つことができたから、というのもあるのでしょうか?

高木:腕には当然自信がありました。僕ら美容師の仕事は、お客様にとって最高に似合う髪型を作って、「かわいい」「かっこいい」を感じてもらうことだと思っています。アーティストのように、なかったものをイチから作るんじゃなく、お客様をブラッシュアップするのが仕事だから、毎日やっていたらどんどん技術は磨かれていくはず。1人のお客さんに対して、できることを全力でやっていれば、絶対満足してもらえるはず。美容師のやるべきことは、すごくシンプルなんです。

――OCEAN TOKYOは、現在3店舗で62名のスタッフが働いていらっしゃいます。予約満杯のサロンのお仕事は、かなりハードだと思いますが、スタッフの意識やモチベーションを高める秘訣は何でしょうか。

高木:それに関しては、相方であるトメ吉の存在が大きいですね。そこは共同経営で良かったところ。美容師って基本歩合制だから給料とか先が見えにくいし、自分がデビューして何歳になったときに顧客は何人いるのかとか、けっこう不安な部分があるんです。僕とトメ吉はそこで役割分担をしていて、僕は「アーティストじゃなくても、美容師が武道館でヘアショーができる」とか、「1,000人の前でセミナーをやれるんだ」とか、美容師は髪を切る以外でもエンターテイメントなことができる、夢があるというビジョンを魅せる役。サロンの経営や教育については、相方のトメ吉がリーダーを育ててメンバーをまとめて、という仕組み作りをしてくれている。僕は背中を見せて引っ張るタイプ、相方はみんなの後ろから背中を押してあげるタイプなんですね。そのおかげで上手くいってるのだと思います。

――さらに高木さんもトメ吉さんもまだ30代前半で、スタッフの方もかなりお若いですよね。若いメンバーを管理する難しさはありませんか?

高木:平均年齢はほかの業種に比べても、ズバ抜けて若いです。でも、若いからこそ、いいノリが生まれることもあって。年に一度「OCEAN合宿」をやっているのですが、サロンの生い立ちを伝えるほか、全員で運動会と称してスポーツをし、仲間意識を高めるようにしていますね。

――社長たちが率先して、ムードを作っているんですね。

高木:それから、社長自らが、カッコ良くなってモテたいとか、美容師自身がカッコ良くなるんだ、という欲を見せてあげることも大事かなと。男性スタッフの場合は「やっぱりうちの社長、かっこいいな」って思うことで、「社長を超えて、誰よりもカッコ良くなってやる」という欲が、自然と仕事へのモチベーションにつながることもある。

そもそも僕もトメ吉も、王道のイケメンじゃないから、けっこうコンプレックスはあるんです。でも、女の子に対する気遣いやサービス、服の着飾り方、相手への伝え方などを変えればモテる人間にはなれる。お客様から、お手本や憧れになるような美容師になってほしいし、OCEAN TOKYOのスタッフをお手本にすれば、モテるんだと思ってもらいたい。それにはまず、社長たちがモテてないといけないんです(笑)。

「ついてこれない人は、いつ辞めても構わない」。本気で日本一のサロンを目指しているから、厳しいのは当たり前

cont03.jpg ――なるほど、「見られる仕事」でもある美容師にとっては、「モテ」がモチベーションにつながると。

高木:モテ以外でお話すると、トメ吉は仕事の楽しさをスタッフに伝えるのが上手いし、モチベーションが下がってるかも? というスタッフに対しては、「君の強みはここだから、もっと伸ばすといいよ」って、長所を見抜く能力があるんです。僕もトメ吉に助けてもらったことがありますし、人の気持ちをのせて引きつける才能もある。とはいえ、日本一のサロンで居続けるために、僕は入社する人には「ついてこられない人は、いつ辞めてもらって構わない」って話をするんです。逆に相方のトメ吉はスタッフ一人ひとりに寄りそって支えてくれるので、心身共に熱いメンバーが育っています。

――それくらい、実力本位で厳しい世界だということも、教えてあげる。

高木:やっぱり日本一のサロンならば、日本一仕事がキツくなるのは当たり前だし、そうじゃなきゃダメ。そもそも働くことに対して、「厳しい、難しい」とかデメリットばかりではなくて、メリットも考えてほしい。だって美容師ってほかの会社員に比べて、髪型、服装、ライフスタイルも自由。自分の手でお客様を幸せな気持ちにできて、それを目の前で実感できる職業だし、もしかしたら、一人の人生を変えられるかもしれない。そんな仕事なかなかないでしょ。

――とはいえ、美容師の新人はサロンワークに朝夜の練習、ミーティングなど、ハードワークな仕事だと聞いています。

高木:もちろん夜も遅いし、大変なことは多いですが、そのぶん目標の高いサロンで働くからこその魅力も感じてもらえるようにしています。同級生たちよりも圧倒的に早く、一人前で華やかな注目を集められるチャンスもあります。この業界では、スタイリストと呼ばれるようになって一人前なんですけど、うちの場合、スタイリストになる時期がだいたい23~24歳くらいで、年収は1千万円以上の子もいます。

――20代前半で年収1千万円はすごいですね。

高木:歩合率がいいところは、ほかにもあると思いますが、うちで働けば、お客様は100%満足してくれて、リターンしてくれる。お店そのものにお客様を呼ぶ努力をしているから、一人の月売上200万円くらいは絶対いくし、350万円売り上げて、やっと一人前の美容師かなと。だけど、その基準も早く500万円まで上げたいんです。美容師は物をたくさん売ればいい仕事ではないので、店を伸ばすには、一人ひとりの売上や腕を上げるだけではなくて、そのお客様のために何ができるか? を、考える。そしてより多くの人に「感動」を増やしたい。そもそもの目標基準を上げておけば、努力しようという意欲も自然と上がりますからね。

――目標がはっきりしていて、個人の努力がちゃんと年収アップという目に見えるカタチに結びつくと、やる気も出ますね。

高木:たとえば、みなさん靴はTPOに合わせて5足くらい持っているじゃないですか。車は1人1台が普通ですよね。家も1軒あればいいとか。でも、それってつまんないなと思うんです。天気やファッションに合わせて車を替えられたら楽しいかもしれない、だったら車も5台買えばいい。そもそもの常識や基準を上げてしまえばいいんですよ。そうすれば5台は無理だったけど3台は買えました、となる。

売上もみんなが「200万すごいね!」って言ってるから200万しかいかないのであって、その数字を通過点に替えちゃえばいい。そもそも願うことをしなければ、叶うこともないのだから。こういう話は、スタッフにもよくしています。デカいことは言ったもの勝ちだし、言うだけならタダですからね(笑)。

ヘアカットのために何万円も交通費をかけて来る地方学生もいる。その人たちに僕らができることは何かを考えています

cont04.jpg ――デカいことといえば、「独立するって宣言して、ダメだったらどうしよう……?」と、考えがちな人も多いと思います。

高木:うーん……、たとえば僕が日本代表のサッカー選手で「世界一になる」って言ったら、多くのプレッシャーや厳しい言葉を浴びるかもしれません。でも、僕はただの美容師で、もし失敗したり、大ボラ吹きになったとしても、とやかく言ってくるのは多く見積もって100人くらいでしかない。だから、たいした数じゃないと思えば、いくらでも挑戦できると思うんです。それに案外周りの人間は、夢が叶わなかったことより、必死に頑張ったことを評価してくれるはずです。


――自分自身を大きな視野で見ることも、経営者には必要なのかもしれませんね。

高木:僕、高校や大学受験で第一志望に落ちて、国家公務員試験も、行きたいサロンにも落ちたんですね。でも、第一志望の高校や大学に10%でも受かる可能性があるなら挑戦してみたかったんです。可能性が少しでもある限り「やってみる!」という姿勢は昔から変わらずに持っています。

――そんな高木さん、OCEAN TOKYOの今後の目標は何でしょうか?!

高木:開業したときから変わっていませんが、やっぱり全国に200、300店舗と増やしていきたいですね。地方に住んでいるお客様はいま、7,000円のヘアカットのために何万円もかけて、新幹線や飛行機に乗ってうちまで来てくれている。そこまでしてくれるお客様に対して何ができるかというと、僕たちがみんなのところに行けばいいよなと。コンビニって、何でも買える場所じゃないですか。OCEAN TOKYOは「ここに行ったらカッコよくなれる場所」「元気になれる場所」にしたいので、全国各地で気軽に来てもらえるような場所を増やしたいです。

――髪を切りに行くだけの場所ではなく、来店した人の気持ちも変えるような場所でありたい、と。

高木:それによって、ヘアに興味を持つ人が増えてくれて、アーティストのように「美容師」が憧れの存在になってくれたらいいなと思うんです。うちは高校生のお客様が多いので、お店に来てくれることを通して、美容師になりたい人が増えれば、もっと日本中にかっこいい人、かわいい人が増えると思うから

自分と合う合わないで、人間関係を決めつけない。一歩踏み出して相手の好きな部分を探すほうが、楽しいでしょう?

cont05.jpg ――若い世代のお客様が、OCEAN TOKYOに新しいスタッフとしてやってきたら、よりおもしろくなりそうですね。そういえば求人募集もユニークだと聞きました。

高木:そうですね。新卒採用では、会社説明会も募集広告も行っていません。Twitterだけで募集するのですが、人と関わる仕事なのに書類で審査するのって僕はもったいないと思う。だから志望者全員に会いたいんです。その時期は面接を受けに250?300人が並んでくれています。それも良いスタッフの母数を増やす努力をしてきたからで。OCEAN TOKYOを魅力的にすることが、いい人を集められることにつながっていると感じます。

――では最後に、高木さんが思う、経営者が大事にすべきことは何でしょうか?

高木:「人」だと思います。お客様、スタッフ、協力してくれるのはすべて「人」なので。僕は節税とかには詳しくないので、ちょこちょこ細かい処理をするくらいだったら、いっぱい稼いで、いっぱい国にお金に払って、スタッフたちにいっぱいお金を払ってあげたい。それでもあまるくらいの会社に僕たち経営者がすれば良い。会社の具体的な経営はトメ吉が軸となり、戦略をたててやっています。

――相方さんやスタッフ、お客さんとの出会い、家族のサポート……。「人」との?がりが、すごく重要なターニングポイントになっていますね。

高木:仲が良い人、ウマが合う人と仕事をするのは楽しいですが、逆に「この人苦手だな」「興味がない」という人と関わるのも大事だと思います。ずっと社員や部下として働いていくなら、好き嫌いがあってもしょうがない部分はあるかもしれませんが、経営者はそこの壁は作るべきではない。「苦手」から一歩踏み出して、その人とつき合うメリットを探すほうが楽しいし、広がりが生まれるんです。そこからいろんな発想が出てくることだってある。マイナスポイントだけじゃなく、プラスポイントを探していろんな人たちと関わりを持つことも大事だと思います。

OCEAN TOKYO

東京都渋谷区神宮前5-27-7 アルボーレ神宮前4F
03-6427-5323
12:00〜21:00(土日祝日11:00〜20:00)
月曜休
http://www.oceantokyo.com/
※取材時点の情報です

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