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先輩開業インタビュー

コストを抑えた分はすべて顧客に還元したい!ラーメン好きの院長が夫婦で始めた整体院

慢性的な腰や首、肩などの痛みを改善しようと、定期的に整体や接骨院へ通う人は少なくありません。しかし、さまざまな施術方法があるなか、自分に合った施術が見つからない、なんてことも。そんな“整体難民”が駆け込む場所が、埼玉県川越市に店舗を構える「S-Body整体院」です。店長である高田祥吾さんは、自身がヘルニアを発症したことをきっかけに、体の痛みと向き合う職業へと転向。以降は、痛みだけでなく心身の健康を取り戻すための技術や知識を学び、お客様それぞれに合った施術を提供しています。そんな高田さんに、店舗立ち上げの経緯や、運営について詳しく取材しました。

顧客の健康を考え、多角的な施術・サービスを用意

S-Body整体院の棚の写真 ――S-Body整体院では、どのようなサービスを提供しているのでしょうか?
妻と二人で運営していて、腰や首を始め、体のさまざまな痛みを和らげるための整体と、健康を内側から補助するためのサプリや栄養補助食品を提供しています。整体については僕が担当をしていて、いわゆる指圧やストレッチなどとは違い、DRT(ダブルハンド・リコイル・テクニック)という背骨を揺らす施術を提供しています。妻は基本的に施術のサポート、物販などが主な担当となります。

――来院される顧客はどのような方が多いですか?
当店のお客様は8割くらいが女性です。体の痛みについての相談だけでなく、体型への悩みを抱える人もいて、そういった方々にはサプリや栄養補助食品、また一定の期間固形物を断つ「ファスティング」などを活用したサポートも行っています。その他にも、美容目的の方向けに、岩盤浴エクササイズといったメニューも用意しています。

ヘルニアになったことがきっかけで、本格的に整体の道へ

――開業までの経緯を教えてください
2002年に高校を卒業して、2年ほど土木の仕事をしていました。やはり肉体労働ということもあって、腰椎椎間板ヘルニアになってしまったんです。すぐに整形外科へ通い始めたのですが、その先生から「リハビリ助手を募集しているからやってみない?」と誘われ、何だかおもしろそうだからと興味本位で始めたのが、この業界に足を踏み入れたきっかけです。それから整形外科で8年ほど働き、その間に柔道整復師の資格も取得しました。その後、専門学校時代の同期に整骨院を経営している人がいて、その方から声をかけていただき、雇われ院長として整骨院でも8年ほど勤めました。そして、2019年にS-Body整体院をオープンしたという流れです。

――独立はいつ頃から意識されていたのですか?
当初はまったくその気はありませんでした。ずっと雇われでいいと思っていたのですが、いろいろなお客様を見ていくなかで、施術法に疑問を感じるようになったんです。電気治療や薬の処方、また、マッサージやストレッチといったアプローチで施術を行っても、慢性痛のお客様はまたすぐに来院します。つまり、僕が行っていることは、一時しのぎにしかなっていないということ。そうした悩みを持ち始めた頃にDRTに出会い、この技術ならまた別のアプローチの施術をお客様に提供できると思ったのが、独立する一番の決め手だったと思います。

S-Body整体院の高田祥吾さんの写真 ――整体の技術はどのようにして身につけたのですか?
多くの症状に触れているうちに、体にも土台みたいなものがあるはずだと思うようになり、その時に習ったのが骨盤矯正です。ただ、その手法を使っても、お客様からそれほど満足のいく反応を得られませんでした。何かもっと方法はないかと勉強しているうちに、DRTの施術に行き当たったというわけです。その技術を生み出した先生が、僕の尊敬している方の師匠であったこともあり、それなら一度セミナーを受けてみようとなって。それ以来、施術では今の技術を採用しています。

――今もセミナーは受講されているのですか?
はい。もう通い始めて6年ほどになります。今では技術を教える側のポジションになりました。実はそのほかにもさまざまなセミナーへ通っていて、当店でも販売しているサプリなどを展開している会社が主催する講義などに妻と一緒に参加しています。そうしたなかで栄養学やファスティングなどについても学び、当店のサービスにも幅を持たせることにつながっています。常に成長していきたいと考えているので、年間を通して、二人でセミナーには定期的に通っていますね。

デザイナーを入れず、ゼロから自分たちで内装を考案

――物件はどのようにして決めましたか?
今の物件を選んだ理由が2つあります。1つが、以前勤めていた整形外科や整骨院が近いということ。ありがたいことに、当店にはそれら整形外科や接骨院からついてきてくれているお客様がいます。普通は独立する際に、そのお店から顧客を連れていくことはNGです。でも、整骨院のオーナーは「これまでよくしてくれたから、担当しているお客様にはお店を立ち上げることを伝えていいよ」と言ってくれて。なので、そうしたお客様もある程度通える立地でお店を構えようということになりました。2つ目は、僕は無類のラーメン好きで、この店のある鶴ヶ島駅前は、名店が多いんです。それも気に入って、今の場所に決めました。

施術をする場所の写真 ――開業するまでに資金はどれくらいかかりましたか?
600万円ほどかかったと思います。資金はこれまでコツコツと貯めた貯金があり、そこから捻出しました。以前、子ども写真館に正社員として勤めていた妻にも資金的に協力してもらえたので本当に助かりました。ここはビルの設備しかないスケルトンの状態だったので、1か所もそのまま使えるものがなく、ゼロから自分たちで内装を考えました。本当はデザイナーを入れたかったのですが、そこまでの資金がなくて、内装業者に素人ながら自分たちの考える設計を伝えて、手探りで作っていったので大変でした。

――店づくりで一番苦労したところは?
やはりプロではないので、間取りの考え方がわからず、実際に作ってみたら部屋にベッドのサイズが合わなかったり、思いのほか狭くなったりと、イメージとは違ってしまった点も多々あります。本当にアバウトに決めて内装業者へ伝えていたので、コンセントの位置が全然合わないとか、受付や棚の位置が変わってしまうなど、失敗したところもありましたが、そこは臨機応変に対応しました。入口の窓にカッティングシートを自分で貼ったり、インテリアを設置したりと、DIYの部分もかなりありますね。

集客に時間をかけるなら、技術を磨いて施術で返したい

――オープン時の告知はどのように行ったのですか?
広告宣伝費は、ホームページを作ったくらいで、あとは一切かけていません。当店に来院する方は、ほとんどが前から付き合いのあるお客様やその紹介なので、新規を積極的に取りにかかる必要はありませんでした。そこにお金をかけるなら、セミナーへ行って新しい技術や知識を身につけて、今来てくれているお客様に還元したほうがいい。経費はそうした勉強代のほうへ使うようにしています。

――料金設定はどう決めましたか?
僕の師匠が1人15分枠で、5000円で施術しているのでそれをベースにしています。なので、消費税も考えて1回の施術で5500円に設定しました。あとは、地域価格も考慮しています。都内に店を構えている僕の同期は、7000円や8000円に設定しているところもあります。ただ、それだとこの周辺では高額になってしまいます。一応、近隣店の価格を見て、相場も考えながら決めました。それに、前の職場の接骨院で、料金について独自で取ったデータも参考にしています。

S-Body整体院のボードの写真 ――それはどのようなデータですか?
新規顧客を集める時に、うたい文句として、初回0円、980円、1980円、2980円、3980円と時期をずらして仕掛け、どのケースの人がリピート客になるかを調査しました。すると、0円はたくさんの来客があるものの、リピートはほぼゼロ。続いて、980円、1980円もやはりリピートはほぼない。2980円から少し残るようになり、3980円はほとんどの方が残ったのです。なので、5500円に設定してもそれほど怖くないだろうと。実際に当店は高いリピート率をキープしています。

――広告費を使わずに顧客をキープできているのは理想的ですね
知り合いのお店の話を聞くと、チラシやSEO対策などに費用がかかるとぼやいています。それも大切なのはわかりますが、僕は集客に時間をかけるなら、しっかりと勉強してお代に合うような技術を身につけ、施術で返したい。5500円という金額も決して安くはありません。だからこそ、その料金に見合うように自分も高めないといけない。それは常に心がけています。

「話す時間」を設けて、お客様とのつながりを強化

――今後の展開を教えてください
夢の話をさせてもらえば、今住んでいる一軒家を手放して、広い土地に店舗兼住宅を建てたいです。そこでは整体と、健康につながる食を提供するカフェも併設したいですね。お客様同士がコミュニケーションをとれる場所にしてほしいんです。さらに野望を言ってしまえば、ラーメンづくりやそこに入れる野菜づくりなどにも携わりたい。無農薬無肥料にこだわった小麦を作ったら、今度は製麺所まで作ったりして。また、ラーメンを作る際に出る骨のガラを砕く機械も作って、畑に肥料としてまく。そうやって、健康を害さないおいしいラーメンを作れたらいいですね。考え出すと止まりません。健康をいろいろな角度から見てみたいんです。

S-Body整体院の高田祥吾さんの写真 ――整体に負けず劣らず、ラーメン愛も強いのですね
実は仕事とはまったく関係なく、「治療家ラーメン部」という活動をしています。Facebook上でラーメン好きの治療家を募っていて、最初は2、30人だったんですが、今では520人が参加してくれています。それぞれ好きなラーメンの写真をアップするだけのコミュニティですが、いずれは治療家が集まって情報交換できる場にしたいと考えています。個人でお店をしていると、同業者で話す場はあまりないのが現実です。好きなラーメンを通して気の合う方々と交流できれば最高です。

――最後に、運営を続けているなかで一番大切にしていることはなんですか?
お金第一主義にならないことです。人に貢献した対価として料金をいただいています。これが経営になると、ついお金を稼ぐことに必死になりがちですが、そこはかなり気をつけています。実は、コロナ前は1枠30分だったのですが、今は50分と増やしています。なぜなら、コロナ禍になって、人と話したいけど話せていない方が増えましたよね。だから、少しだけゆっくりしていただける時間を取ることに決めたんです。それで、1枠の内におしゃべりできる時間を設けています。当然、1日に対応する件数は減りましたが、反対にお客様とのつながりが強くなって、運営的には以前よりいい状態を保てています。時代の流れによってお客様が求めるものは変わります。それに対応していくためのスキルを身につけておくことが、僕の仕事だと思っています。

S-Body整体院

所在地:埼玉県川越市小堤911-1 郡慶ヒルズ106
TEL  :049-299-8675
定休日:不定休
※取材時点の情報です

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