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塾経営を成功させるためのポイントとは? 塾の開業に必要な準備も解説!

独立・開業・起業を目指すにあたって、「地域社会や日本全体に貢献したい」という思いが原動力になっていると話す人も少なくありません。そうした人に選ばれているのが「塾を経営する」という道です。教育は社会の根幹を支えるもの。子どもたちの未来のために貢献したいと考える人も多いでしょう。

一方で塾は、生徒となる子どもたちがいてはじめて成り立つビジネス。少子化が進む日本では、その将来性に疑問を投げかける声が少なくないのも事実です。そこでこの記事では、塾の経営に興味がある方に向けて、塾業界の現状や塾開業に必要な準備、塾経営を成功させるためのポイントなどを解説します。

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「塾経営は厳しい」といわれる理由

まずは塾業界の現状について見ていきましょう。

昨今では少子化の影響によって、都市部であっても、小学校や中学校で「1学年に1〜2クラスのみ」というケースが珍しくなくなりました。塾にとってみれば、対象となる顧客数が減少し続けているのです。

このように市場が縮小している一方で、塾業界への新規参入は増加傾向にあります。昔ながらの集団指導塾や独自の強みを持つ個別指導塾に加え、最近ではAI(人工知能)を活用した「Ed Tech」の広がりとともに、人が勉強を教えないという新しいスタイルの塾も登場しています。塾業界で長い歴史と知名度を持つ企業だけでなく、異業種からの参入も増加。こうしたなかで、塾経営にはより高い戦略性と経営スキルが求められるようになっています。

従来型の「集団指導塾」や「小規模塾」には逆風も

塾といえば、一昔前は学校の教室のように一つの部屋に机を並べ、講師がたくさんの生徒に勉強を教える集団指導が一般的でした。このモデルであれば1人の講師で20〜30人程度の生徒を受け持つことができ、小規模な塾でも潤沢な利益を確保できました。オーナーが塾長や先生を兼ねる個人経営塾でも勝負しやすい時代だったと言えます。

しかし昨今は、塾に通う生徒のニーズが集団指導から個別指導へ流れています。個別指導には、勉強が得意な子も、そうでない子も、自分のペースで学習を進められるというメリットがあるためです。前述のEd Techの進化もこうした現状に拍車をかけています。

こうした個別指導塾においては、生徒1〜4人程度に対して講師1人といった体制が求められます。集団指導塾と比べて多くの講師を確保しなければならず、人件費負担が増すばかりか、人材採用にも苦労することとなり、資金力や知名度に劣る小規模塾や個人経営塾で事業成功を収めることが以前よりも難しくなりました。
そのため、新たに塾の開業を目指す人にとっては、フランチャイズ本部に加盟することも有力な選択肢と見られるようになったのです。

個人塾の経営とフランチャイズ塾の経営の違い

それでは、個人塾の経営とフランチャイズ塾の経営にはどのような違いがあるのでしょうか。以下で解説します

個人塾

個人で塾を開業し、経営することの最大のメリットは、なんと言っても自身の思うままに方針を決められることでしょう。どんなスタイルの塾にするのか、どのようにカリキュラムを組むのか。そうした塾としてのあり方を考え、生徒一人ひとりに合わせて勉強を教えることができます。

また、個人で開業する場合には後述するフランチャイズ加盟時の加盟金やロイヤリティが必要なく、初期費用を抑えてスタートできます。

一方で、塾の経営ノウハウや、生徒の効果的な集客方法などは、すべて自身で学び、実行する必要があります。立地によっては大手の塾が競合となることも多く、知名度や実績で劣ってしまう分、集客に苦戦することも考えられます。

フランチャイズ塾

フランチャイズ本部に加盟して塾を開業する場合は、すでに多数の塾を展開している本部のノウハウを得ることができます。高い知名度を持ち、全国規模でTVCMを展開するなど広告戦略にも力を入れているフランチャイズ本部であれば、生徒集めを有利に進め、早い段階から売り上げを伸ばしていくこともできるでしょう。

ただし、ほとんどのフランチャイズ本部では月々の「ロイヤリティ」の支払いが必要となります。ロイヤリティの設定は月間売上(授業料)の5〜15%と本部によって異なり、これ以外に入学金のうちの一定割合がロイヤリティとして設定されているケースもあります。ロイヤリティは本部のサポート体制の対価と言えるものですが、個人で開業する場合と比べて利益率が下がってしまうことは否めません。

塾開業に必要な準備

次に、塾を開業する際に必要な準備について見ていきましょう。塾開業にあたっては特別な資格は必要ありませんが、開業資金の調達に始まり、店舗(教室)の取得、什器・備品調達、スタッフ採用、生徒集客などさまざまな準備が必要となります。以下で詳しく解説します。

開業資金を調達する

まずは、塾を開業するための開業資金を調達することから始まります。塾の開業にあたっては物件取得や内外装、備品調達などさまざまな費用がかかります。フランチャイズ本部へ加盟する場合には、多くの場合で加盟金(0〜250万円程度/本部により異なる)や研修費も必要となります。

また、開業後の運転資金を用意しておくことも重要です。塾開業と同時に上限に近い生徒数まで集客できることは稀であり、開業当初から収益のみで運転資金をまかなうことは難しいでしょう。適切な事業計画を立てた上で、必要経費に加え自身の当面の生活費も見越し、6〜12カ月分は運転資金を確保しておきたいところです。

とはいえ、開業資金はなるべく安く抑えたいと誰もが考えるもの。塾開業の場合は講師を雇わずに自分一人で始めたり、テナントを借りずに自宅の一室を教室として使用したりなど、開業資金を抑える方法もあります。

資金計画が明確になったら、その調達方法を考えます。最も手堅いのは自己資金の範囲内で開業することですが、日本政策金融公庫などの金融機関から融資を受けて調達する方法もあります。事業計画書の妥当性や、関連する経験の有無にもよりますが、一般的に調達資金の3割程度に相当する自己資金が必要となります。

教室を用意する

塾には教室が欠かせません。店舗用物件を借りるのはもちろん、自宅の一室を利用して教室とするケースもあります。それぞれのメリットやデメリットを確認していきましょう。

店舗用物件を借りて開業する場合

店舗用物件を借りて開業する場合の最大のメリットは、立地を選べることです。塾のスタイルによって、「アクセス便利な駅前」「小中学校近くの住宅街」など適した立地はさまざま。戦略的に立地を見定め、開業したい塾の規模に応じて適切なスペースの物件を選ぶことで、開業後の経営の安定につながります。

ここで留意しておきたいのは、塾は「多くの子どもが集まる場所」であるということ。多少は騒がしくなることを見越して、周辺からのクレームが出にくい立地を選ぶ必要があるでしょう。また、自転車で通う子どもたちのために駐輪場を設ける必要もあります。

加えて、保護者の送迎時の利便性に考慮することも重要です。学校や最寄り駅から距離がある立地では車で送迎する保護者が多くなるため、十分な駐車スペースを設ける必要があります。駐車スペースが限られていると塾周辺での路上駐車を誘発してしまい、近隣トラブルにつながってしまうこともあります。

他方、店舗用物件を借りる場合は当然ながら賃料負担が大きなコストとしてのしかかり、当然、好立地であればあるほど、賃料は高くなります。加えて、業務用空調の光熱費を始め、諸経費も見積る必要があるため、想定を超えるランニングコストとならないよう、立地・広さ・付属設備など、なにを優先するのか、慎重な検討が重要となります。

自宅の一室で開業する場合

自宅の一室で開業する場合は、なんといっても初期費用を抑えられることが大きなメリット。新たに物件を取得する費用がかからないことはもちろん、内外装費用も最低限に抑えることができます。また、小規模な塾とすることで、講師やスタッフを雇うことなく始めることも選択肢となります。

一方で、自宅の一室で開業する場合は立地を選ぶことができません。塾開業に適した立地に自宅があればよいのですが、そうでない場合は、開業後の集客により一層の工夫が必要です。

什器・備品を準備する

教室を確保し、内外装が整ったら、次に進めるのが什器・備品の調達です。生徒が使う机や椅子、ホワイトボードなどの什器・備品に加え、空調設備などが必要となります。また、授業で使用するテキスト・教材類なども準備します。

冒頭で紹介したEd Techを活用する塾の場合は、PCやタブレット端末などの導入が必要となる場合もあります。

受付や講師などのスタッフを採用する

一定規模以上の塾を開業するのであれば、受付や講師としてスタッフを雇用する必要も出てきます。家族経営の場合以外は、人材採用や育成も重要な準備の一つだと認識しておきましょう。

多くの生徒や保護者から選ばれる人気の塾となるためには、質の高い講師を確保することも必要です。塾講師といえば大学生や大学院生の定番アルバイトとして認知されていますが、なかにはいわゆる「トップ校」や「上位校」の学生のみを雇って差別化している塾もあります。

申請書類の手続きをする

もう一つ、忘れてはならない準備として各種申請書類の手続きがあります。具体的には「開業届」を所轄の税務署に、「事業開始申告書」を都道府県税務署へ提出する必要があります。加えて、従業員を雇う場合には税務署へ「給料支払事務所等の開設届出書」も提出しなければなりません。届け出の期限は従業員を雇用することになってから1カ月以内です。他にも必要な手続きがないかしっかり確認して準備をすすめましょう。

生徒を集める

ここまでの準備に目途が立ったら、いよいよ生徒を集めていくことになります。塾の集客方法としては近隣地域への折り込みチラシの配布やポスティング、ウェブやSNSでのPRなどさまざまな方法があります。開業当初や新年度を迎えるタイミングには、地域の小中学校の前でチラシを手渡しする活動に力を入れている塾もあります。

また、「紹介割引」や「紹介特典」を設けておくことも集客には有効です。質の高い授業を展開できれば、すでに通っている生徒の家族(きょうだい)や友人へと紹介の輪が広がり、徐々に集客に苦労しなくなっていくでしょう。

塾経営を成功させるためのポイント

続いては、塾経営を成功させるためのポイントについて考えていきたいと思います。開業した塾を「地域の人気塾」へと成長させていくためには、何が必要なのでしょうか。

経営者としての知識・スキルを身につける

塾を開業するとなると「生徒に勉強を教えている場面」ばかりが思い浮かぶかもしれませんが、塾の経営者に求められる知識やスキルは、1人の講師に求められるそれとはまったく異なります。

資金繰りやマーケティング、人材マネジメントなど、経営者としての知識・スキルを身につけ、磨き続けていくことが欠かせません。

自身の塾の課題を適切に捉えるためには、客観的なデータに基づいた分析を行うことも大切。例えば、高校受験対策を強みとするのであれば、志望校別に「過去の合格者の入塾時期」「過去の合格者の受講コース」「学校のテストや模試の成績との関連」など、さまざまなデータをかけ合わせた指導方法を確立できるはずです。

フランチャイズ本部へ加盟して開業する場合には、自身の塾だけでなく、他オーナーが経営する塾のデータも参考にできます。本部のサポート体制を最大限に活かして経営へのアドバイスを求めましょう。

他塾との差別化を図り、集客活動に注力する

冒頭でも説明したように、現在は少子化で塾の市場が縮小する一方、塾業界への新規参入が続いて競合が増え続けています。同じ地域に複数の競合が存在することも珍しくないため、授業スタイルや講師の質など、他塾との差別化ポイントを明確にしていくことが必要です。

ここで重要なのは、安さではなく質で勝負すること。塾に通う生徒やその保護者は、志望校合格や成績アップという明確な目的を持っています。とはいえ、大手塾が大々的にアピールしているような「入試合格実績」などを開業当初からアピールするのは困難です。

では、初期から実行できる差別化戦略にはどのようなものがあるのでしょうか。

一つには広告展開における工夫が挙げられます。例えば、ある個別指導塾では学生講師の採用活動に特に力を入れ、国内でもトップレベルの難関大学に通う講師を確保。折り込みチラシなどでは「現役東大生講師が教える!」といったキャッチコピーを用いて訴求し、志望校合格を目指す生徒や保護者を惹きつけることに成功しました。

別の角度の取り組み事例として、「食事付きの塾」という差別化戦略もあります。遠方から通う子どもは帰宅時間が遅くなることもあり、保護者にとっては食事の用意が大きな負担に。塾が食事を用意して提供すれば保護者の負担軽減につながり、学校帰りにも安心して直行できる場所として認識されるでしょう。

集客は、塾経営者の最も大切な仕事の一つです。自身が展開する地域にはどんな学校があり、どのような進路希望を持つ生徒が多いのか。そうしたデータをもとに戦略を練り、最適な集客策を実行していかなければなりません。

そうした集客活動の前提として、塾としての「教育理念」や「指導方法」にも磨きをかけ、生徒や保護者に強みが伝わりやすいよう、アピール方法を考えていく必要があります。

コスト感覚を持つ

塾経営者には、売り上げと経費のバランスをしっかりと把握し、赤字経営に陥らないようにするためのコスト感覚が求められます。

特に注意したいのが開業当初の出費。開業準備においては、自身の城としての塾を作ることに高揚して、必要以上に広い物件を契約したり、すぐに必要としない什器・備品、設備を購入してしまったりすることも。開業当初は特に支出や固定費増に注意を払い、節制を意識しましょう。

塾経営のコストを抑えるコツ

上記「コスト感覚を持つ」でも述べたように、どんなに集客がうまくいっていても、本来は不要なはずの経費がかさんでいると収益状況の悪化につながってしまいます。ここでは、塾経営のコストを抑えるコツを紹介します。

システムをうまく活用する

塾経営においては、毎月の授業料やスタッフ給与などを管理する教室事務も重要です。ただ、アナログな管理体制で経営者がこうした事務に追われていると、本来向き合うべき集客やマネジメントなどに集中できなくなってしまうかもしれません。また、事務作業が非効率なままでは、人件費の増大につながってしまうおそれもあります。

そこで有効活用したいのが、教室事務を効率化してくれる各種システムです。毎月の授業料の引き落としやスタッフの給料計算など、固定で必ず発生する事務作業を効率化することで、結果的に不要なコストを圧縮することにつながるはず。昨今はクラウドサービスから、そうした優れたツール自ら選定することもできますが、IT支援システムが整ったフランチャイズ本部を選ぶことで対策することも選択肢です。

不要な設備・備品購入やリース契約に注意

経営者としては、開業当初から立派な教室を整えたいと考えるのも無理はありません。しかし、設備や備品を購入する際には「本当に現時点で必要なのか」をよく吟味して決めることが大切。すぐに必要ではないものについては、生徒増に合わせてそろえていきましょう。

例えば、プリントを多く取り扱う塾業態では重宝される複合機やコピー機などの値が張る設備を導入する際には、必要な機能をよく確認し、家庭用コピー機での代用を含め最低限の出費に抑えることも重要です。高額なリース契約を結んでしまうと、後々の経営を圧迫してしまうことにもつながりかねません。開業資金・ランニングコストを必要最小限に抑えた経営を意識しましょう。

まとめ

ここまで、塾業界の現状や塾開業に必要な準備、塾経営を成功させるためのポイントなどを解説してきました。

競争が激化する塾業界ですが、子どもたちの教育を支援し、未来の社会をつくる基盤となる塾は、今後も必要とされるビジネスであり続けるはず。教育への情熱を独立・開業・起業へつなげるためにも、必要な知識を仕入れ、適切に準備を進めましょう。

とはいえ、「一から情報収集するのは大変……」と感じている人も多いかもしれません。その場合は、独立・開業・起業を目指す人のための支援情報と独立開業情報を網羅する「マイナビ独立」をチェックしてみることをおすすめします。
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