1. 独立・開業・フランチャイズ情報TOP
  2. マイナビ独立マガジン
  3. トレンド・フォーカス
  4. 【2022年版 意識調査】昨年とは異なる結果に? 国内外の変化を受けて、独立・開業に対する意識はどう変わったのか?
トレンド・フォーカス

【2022年版 意識調査】昨年とは異なる結果に? 国内外の変化を受けて、独立・開業に対する意識はどう変わったのか?

長引くコロナ禍に加え、世界情勢の急激な変化の最中で迎えた22年春、マイナビ独立では毎年恒例となった「独立・開業に対する意識調査」を行いました。全国20代から60代の男女18,894人を対象に、独立・開業への興味を問うアンケートを実施。さらに、その中で「興味がある」と回答した1,000人に対し、「独立・開業を考えたきっかけ」や「興味がある業種」「独立・開業時に重視するポイント」「独立・開業した際の目標年収」などを聞きました。昨今の社会情勢を受けて、独立・開業に対する意識はどのように変わったのか。昨年のデータとも比較しながら、調査結果を見ていきましょう。

<INDEX>

昨年の急増から一転!「独立・開業に興味がある」と回答した人の割合は41.9%に減少

まずは、全国18,894人の男女に聞いた「独立・開業を考えていますか?」という質問に対する回答結果から見ていきます。「興味がある」と答えた割合は全体の41.9%でした。昨年の43.9%という数字から2ポイント減少し、2019年の水準(41.3%)に戻りました。昨年、コロナ禍において独立・開業に興味を持つ人が大きく増えたことから、今年もその傾向が続くかと思われましたが、予想に反する結果となりました。新しい働き方が広がり、価値観が変わりつつある一方で、長引くコロナ禍や混沌とする世界情勢の影響で不安が強まり、安定志向に回帰する人が増えたのかもしれません。

▼独立・開業に興味がある割合 ※N=18,894/単一回答

独立・開業に対する興味のグラフ

男性の減少が目立つ結果に

「独立・開業に興味がある」と答えた割合を男女別に見てみると、男性が50.7%、女性が33.4%という結果でした。昨年比で男女ともに減少し、男性は2.8ポイント、女性は1.1ポイント低い数字となりました。男女間の差が大きく、男性は50%台前半、女性は30%台前半という傾向は例年通りでした。

▼独立・開業に興味がある割合(男女別)

独立・開業に対する興味(男女別)のグラフ

若年世代が減少した一方、40代以降はほとんど変化なし

年代別の割合を見てみると、男女ともに若年世代の減少率が目立ちます。20代男性は昨年から9.2ポイントも下がり、30代男性も4.7ポイント、20代女性は5.1ポイント、30代女性は2.3ポイントの減少でした。他方、興味深いことに40代以降は男女ともにほぼ横ばい、もしくはやや上昇する結果となりました。40代以降の世代では独立・開業への興味が衰えていないことが読み取れます。

▼独立・開業に興味がある割合(男女・年代別)

独立・開業に対する興味(男女・年代別)のグラフ

独立・開業に興味を持ったきっかけは「収入を増やしたい」が4年連続1位。トップ5の順位は昨年と変わらず

ここからは、「独立・開業に興味がある」と回答した1,000人を対象に実施した意識調査の結果を確認していきましょう。

まずは「独立・開業を考えたきっかけは?」というアンケートの回答結果から見ていきます。一番割合が高かったのは、4年連続で「収入を増やしたい」(28.2%)という回答でした。次いで、「やりたいことがある」(21.4%)、「自分の能力を試したい」(15.1%)、「プライベートの時間を作りたい」(11.7%)、「労働環境に不満がある」(9.8%)が続き、トップ5の順位は昨年と変わらず、割合にも大きな変化は見られませんでした。

▼独立・開業を考えたきっかけ ※N=1,000/単一回答

独立・開業を考えたきっかけのグラフ

調査開始以来初めて男女が同順位に

男女別で見ると、1位の「収入を増やしたい」から5位の「労働環境に不満がある」まで男女でまったく同じ順位となりました。男女間で順位に違いが出なかったのは調査開始以来初めてのことです。男性では「収入を増やしたい」(29.4%)の比率が非常に高く、女性では「収入を増やしたい」(26.9%)と同等に「やりたいことがある」(26.7%)の割合が高い傾向は過去3回の調査と変わりませんでした。

▼独立・開業を考えたきっかけ(男女別)

独立・開業を考えたきっかけ(男女別)のグラフ

興味のある業種は、昨年に続き「その他各種サービス」がトップ。「飲食」も根強い人気を示し2位をキープ

続いて、「独立・開業するなら、どのような業種を選びますか?」というアンケートの結果を見ていきます。もっとも人気が高かったのは「その他各種サービス」(33.2%)でした。次いで、「飲食」(20.8%)、「IT・通信・情報・携帯電話」(19.3%)、「塾・スクール」(13.2%)、「理美容・整体・エステ・リラクゼーション」(10.6%)が続き、昨年と同じ結果となりました。
2位に入った「飲食」は昨年とほぼ横ばいの割合を獲得し、根強い人気があることを示したものの、一昨年が26.5%だったことを考えると、コロナ禍の影響を色濃く受けていると感じざるを得ません。

▼興味のある業種 ※N=1,000/複数回答

興味のある業種のグラフ

※その他各種サービス:運送業/コインランドリー・クリーニング/保険・金融/防犯/アミューズメント/生活関連/冠婚葬祭/住宅関連/ペット関連/広告/食品・飲料/商材支援/環境・エネルギー など

20代では「IT・通信・情報・携帯電話」が人気

年代別で見ると、すべての世代で「その他各種サービス」の割合が高く、50代では38.6%も占めました。「飲食」と「IT・通信・情報・携帯電話」も幅広い世代で高い割合を獲得していますが、他の世代と比べると20代では「飲食」の割合が低く、「IT・通信・情報・携帯電話」の割合が突出して高いことが目につきます。若い世代ほど社会の変化に敏感に反応し、業界の動向をシビアに判断している結果と言えるかもしれません。

▼興味のある業種(年代別)

興味のある業種(年代別)の表

「塾・スクール」に興味を持つ女性が増加

男女別の順位では、男女ともに「その他各種サービス」が1位を獲得。男性では、次いで「IT・通信・情報・携帯電話」(24.4%)、「飲食」(20.0%)、「塾・スクール」(10.7%)、「修理(リペア)・クリーニング」(10.3%)となり、昨年と順位は変わりませんでした。女性も上位5位に入った業種の顔ぶれに変化はありませんでしたが、注目すべきは「塾・スクール」(16.0%)が3位に入ったこと。昨年比で2.7ポイントも上昇する結果となりました。オンラインのセミナーやレッスンが一般的になったことで、「塾・スクール」の開業が身近になったことが要因の1つかもしれません。

▼興味のある業種(男女別)

興味のある業種(男女別)のグラフ

「経験や能力が活かせそうだから」という理由が大半の業種で上位に

次に、それぞれの業種がどのような理由で選ばれたのかを見てみましょう。全体の傾向としては、ほとんどの業種で「経験や能力が活かせそうだから」と「好きな事や物に関われそうだから」という理由が多くの割合を占めました。特に「経験や能力が活かせそうだから」は、各業種で昨年よりも割合が増加する結果となりました。社会情勢の先行きが不透明な中で、堅実に「得意な領域での独立」を検討する人が増えたのかもしれません。また、昨年の調査において「お客様に喜んでもらえそうだから」という理由が多くの業種で上位に入った点を特徴として挙げましたが、その傾向は今年も同様でした。長く人とのつながりが制限される中で、引き続き「お客様に喜ばれる」というやりがいを求める人が増えているようです。

▼業種を選んだ理由 ※N=1,000/単一回答

業種を選んだ理由の表

業種別に見てみると、全体で一番多くの人気を集めた「その他各種サービス」が選ばれた理由としては、「経験や能力が活かせそうだから」(32.2%)、「好きな事や物に関われそうだから」(18.7%)、「収益が期待できそうだから」(12.7%)が上位にきました。他の業種と比べても「経験や能力が活かせそうだから」の割合が高いことから、スムーズに開業できるイメージがある点が「その他各種サービス」が人気を集める理由の1つと考えられます。

2番人気の「飲食」では、「好きな事や物に関われそうだから」(27.9%)、「経験や能力が活かせそうだから」(20.2%)、「お客様に喜んでもらえそうだから」(13.0%)という理由が上位を占めました。加えて「人とのコミュニケーションが好きだから」(11.5%)の割合が高いことが、この業種の特色と言って良いでしょう。「飲食」を選ぶ人の多くは、人の触れ合いを通じたやりがいを求めていることが読み取れます。
3番人気の「IT・通信・情報・携帯電話」では、「経験や能力が活かせそうだから」(27.5%)、「好きな事や物に関われそうだから」(16.6%)、「収益が期待できそうだから」(15.5%)という理由が上位に入り、「その他各種サービス」と近しい結果になりました。特徴として挙げられるのは、「収益が期待できそうだから」の割合が高いこと。昨年の12.9%という数字から2.6ポイントも上昇しており、「稼げる事業」としてIT関連サービスに興味を持つ人が増えているようです。

「自分のペースで働ける・自分の時間を持てること」の割合が増加

続いて、「独立・開業をするときに何を一番重視しますか?」という質問への回答結果を見ていきます。もっとも多かったのが、「自分のペースで働ける・自分の時間を持てること」で20.0%を占めました。例年通りの順位ではありますが、昨年や一昨年(共に18.0%)と比較して2ポイントも上昇していることから、より「自分のペース」を重視する傾向が強まっていることがわかります。コロナ禍で在宅ワークが定着したことが影響しているのかもしれません。
また、昨年の調査で3位になった「人間関係のストレスがなく働けること」(10.3%)が引き続き上位に入ったのも注目すべきポイントでしょう。「自分のペース」と同様に、新しい生活様式が広がり、仕事におけるコミュニケーションのあり方が変わったことが、こうした結果につながったと考えられます。

▼独立・開業時に重視するポイント ※N=1,000/単一回答

独立・開業時に重視するポイントのグラフ

若い世代ほど「人間関係のストレスがなく働けること」を重視する傾向

年代別に「独立・開業時に重視するポイント」の結果を見てみると、すべての年代で「自分のペースで働ける・自分の時間を持てること」が高い割合を占め、20〜40代では20%を超えました。
世代間のギャップが顕著に表れたのは、「人間関係のストレスがなく働けること」。20〜40代では10%を超えたものの、50代・60代の割合はそれほど高くありませんでした。この結果から、若い世代ほど独立・開業にあたって人間関係を重視していることが読み取れます。逆に、「定年後も安定した生活を得られること」は20〜40代では割合が低く、50代・60代になると重視される傾向が見えました。特に50代では非常に高く、現実的に定年を意識し始めるタイミングで、生涯働く手段として独立・開業が意識されている様子がうかがえます。

▼独立・開業時に重視するポイント(年代別)

独立・開業時に重視するポイント(年代別)の表

独立・開業に対して不安に思うことは、4年連続で「売上・収益の確保について」がトップ

では、「独立・開業に対して不安に思うことは?」というアンケートの結果を見ていきましょう。「売上・収益の確保について」(63.3%)の割合がもっとも高く、次いで「経営に必要な知識や事務処理について」(48.2%)、「開業までの準備・進め方について」(46.1%)が続き、上位5項目の順位は昨年と同じでした。前回の調査から追加した「天災(地震・台風)や不測の事態(新型コロナウィルスによる時短営業等)による影響について」という項目については、昨年の33.1%よりも6.1ポイント下がり、27.0%に留まりました。天災や不測の事態などの不確定要素を心配するよりも、売上や収益、自身のスキルといった目の前の課題に不安を感じている人が多いことがわかります。また、新型コロナウイルスの影響に関しては、ウィズコロナの生活が日常化したことで、「リスク」と捉える感覚が薄まっているのかもしれません。

▼独立・開業に対して不安に思うこと ※N=1,000/複数回答

独立・開業に対して不安に思うことのグラフ

独立・開業後の目標年収はやや低下傾向。男性は各年代で「301~500万円」と「501~600万円」の割合が増加

次は、「独立・開業したらどれくらいの年収を得たいですか?」という質問への回答結果を見ていきます。全体的に、女性よりも男性のほうが高い年収を望む傾向は例年通りでした。今年の特徴としては、男性の各年代において「301~500万円」と「501~600万円」の割合が増えていることが挙げられます。過去の調査では、もっと上の年収レンジがボリュームゾーンになっていたことを考えると、少々意外な結果と言えます。女性はこれまでと同様に「501〜600万円」以下の年収レンジを選ぶ人が多く、すべての年代で「301~500万円」がもっとも高い割合を占めました。男女ともに従来よりも目標年収は低下傾向にあり、独立・開業が大きく稼ぐための手段ではなく、安定した収入を得るための働き方として浸透してきているのかもしれません。

▼独立・開業した際の目標年収(男女・年代別) ※N=1,000/単一回答

独立・開業した際の目標年収のグラフ

昨年に続き、時勢の変化による影響は大半が「特になし」と回答。その一方で「見送り」を選択した人も多数

最後に、「独立・開業を検討するにあたって、時勢(コロナウイルスの流行による影響を含む)の変化による影響はありますか?」という質問の回答結果を性別・年代別に分けて見ていきます。昨年と変わらず、すべての性別・年代において「特になし」がもっとも多く、女性では60代を除く各年代で50%を超えました。多くの人が時勢の変化を物ともせず、独立・開業を検討しているようです。特に、20代男性、30代男性では「見送った」という割合が低く、「独立・開業する時期を見直した」や「検討している業種・業態を変更した」の割合が高いこと。同様の傾向は20代女性でも見られることから、この時勢にあっても若い世代の多くは独立・開業を見送らず、その実現に向けて模索している様子が読み取れます。
一方で、40代以上の男性、30代以上の女性では「検討していたが独立・開業を見送った」という回答も多く、とりわけ40代男性は31.0%、60代女性に至っては41.5%を占め、年代によって時勢の変化に対しての対応、慎重さに開きがあることが分かりました。

▼時勢の変化が独立・開業の検討に影響したこと(男女・年代別) ※N=1,000/複数回答

独立・開業を検討するときに頼る相談相手のグラフ

「2022年版 独立・開業に対する意識調査」のまとめ

ここまで、全国20代から60代の男女を対象に行ったアンケートの結果を確認してきました。この意識調査は今回で4回目、コロナ禍では3回目の実施となりますが、昨年同様の傾向が見られた部分もあれば、そうでないものもあり、非常に興味深い結果となりました。最も意外だったのは、「独立・開業に興味がある」と答えた割合が減少したこと。コロナ禍で新しい働き方や価値観が広がる中、昨年の調査では43.9%まで上昇しましたが、今年は一転41.9%まで下がり2019年の水準に戻ってしまいました。

また、「独立・開業時に重視するポイント」などのアンケートでは昨年と同様の傾向が見られた一方、「独立・開業した際の目標年収」では例年と異なる変化が読み取れました。コロナ禍も徐々に落ち着きつつある状況で、果たして来年はどのような結果になるのでしょうか。マイナビ独立ではこれからも継続して「独立・開業に対する意識調査」を行い、トレンドを把握・発信していく予定です。

【アンケート概要】
調査対象: 20歳〜60歳の男女
サンプル数: 18,894名および「独立・開業に興味がある」と回答した1,000名
調査期間: 2022年3月17日〜22日
調査方法: インターネットリサーチ
※本調査では小数点第1位で四捨五入しているため、足し上げても合計数値が100%とならない場合がございます。

 マイナビ独立マガジンの最新記事

一覧を見る

 マイナビ独立フランチャイズマガジンの最新記事

一覧を見る
PAGE TOP