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先輩開業インタビュー
フラワーデザイナーに年齢制限はない? 30代で独立した女性が語る、仕事の本音

花のある風景は人々の心を癒すだけでなく、日々の生活を豊かに彩ります。なかでも結婚式などの特別な日に贈られる美しいフラワーアレンジメントは、一生忘れられない大切な記憶と結びつけてくれる存在。そんな暮らしの中の草花を演出するのが、「フラワーデザイナー」という仕事です。現在、フリーランスでオーダーメイドのフラワーデザインを手がけている角田えみさんは、数年間の会社員経験を経た後、専門学校に通ってフラワーブティックに就職。ブライダル部門でキャリアを積み、タイミングと偶然が重なったことでフリーランスの道へ。そんな彼女に、独立するまでと仕事が軌道に乗るまでのプロセス、そして「フラワーデザイナー」のお仕事について聞きました。

フラワーデザイナーを目指し、ゴルフ場受付を辞めて25歳で上京

cont01.jpg――角田さんはいま、フリーランスでフラワーデザインのお仕事をされていますが、独立する以前は何をされていたのですか?

角田:お花とはまったく違う仕事をしていたんです。茨城県の実家の周りにはゴルフ場がたくさんあるのですが、その受付として5年ほど勤めていました。

――実家暮らしで安定したお仕事のある生活から、なぜ畑違いのフラワーデザイナーへの転職を考えたのか、気になります。

角田:なにせ田舎なので、周囲の雰囲気ものんびりしていますし、普通にしていればきっと25歳くらいで結婚して子どもを産んで……と想像はできたんです。実際に25歳になって、周りも結婚し始めたのを見て、「これから先、私ってどう生きていくのかな?」と考えたとき、「自分のやりたいことに、一度は挑戦したい」と思ったんです。母が生け花の先生をやっているので、花はいつも身近にありましたし、教わってもいました。そこで花にまつわる仕事をやってみたいと、25歳で上京して専門学校に行くことを決めました。

――フラワーデザイナーになるには、みなさん専門学校に通われるんですか?

角田:いえ、むしろ少ないですね。花の仕事に特別な資格はいらないので、いきなり花屋さんに勤めて仕事を覚えることもできますし、花を扱う会社に勤めながら技術を身につけることもできます。

――資格もいらず、花の扱いや技術も実践で身につけられるとすれば、専門学校に通うことはむしろ遠回りだとも考えられますね。なぜ専門学校に通うことを選ばれたんでしょうか?

角田:私の場合は、田舎暮らしから、いきなり上京して一人暮らしをして花屋に勤めることに不安がありました。学校というワンクッションがあれば、その間に「本当に花の仕事を続けていいのかな?」と考える時間もできるかなと。ちょっと格好悪い理由なんですけど(苦笑)。

――学校はどちらに通われましたか?

角田:日本フラワーデザイン専門学校です。花の専門学校はいくつもありますが、一番デザインに力を入れている学校を選んで、それまでの貯金と奨学金で2年間通いました。でも家族にはすごく反対されましたね。とくに母は、花を仕事にする苦労を知っているので。生け花の先生だけではなかなか食べていけないですし、お花屋さんは一般的にお給料が高くないので。でも、一歩でも自分の道を見つけたくて、ワガママを言わせてもらいました。

フラワー業界は、やる気さえあれば30歳の未経験者でも飛び込める世界

cont02.jpg ――専門学校ではどんな勉強をされましたか?

角田:花にまつわること、デザインにまつわることは何でもですね。美術の歴史、花の文化の歴史、色彩学などの講義もありましたし、生け花やフラワーデザインの実技ももちろんありました。

――専門学校に行かずとも、花の仕事に就くことは可能だとおっしゃいましたが、角田さんご自身、学校に通って良かったことは?

角田:有名なフラワーアーティストの講義が受けられたり、生け花の家元のお手伝いをさせてもらえたり、普通にお勤めをしていては出会えないような方に会えて、とてもモチベーションが上がりましたね。

――ちなみに当時から、角田さんの将来像は今のようなフリーランスのフラワーデザイナーだったのですか?

角田:デザイナーとして独り立ちしたいという漠然とした夢はありましたけど、実際はどこかの会社に勤めるだろうなと思っていました。卒業後のみんなの進路も、大きく分けるとだいたいがお花屋さんかブライダル関係。私はデザイナーらしい仕事ができそうなブライダルの会社に就職しました。

――就職もすんなりと?

角田:はい。そこは、専門学校に行って良かったことの一つですね。学生時代から、将来働きたいなと思っていた会社のお手伝いができたのと、学校で技術的な基礎も学んでいたので、すぐ決まりました。

――まずはブライダル専門のフラワーデザイナーとしてキャリアをスタートされたのですね。

角田:はい。最初の会社は1年半くらい働いて、その後、クリスチャン・トルチュという世界的にも有名なフランスのフラワーアーティストのアトリエブティックの日本直営店に転職して、そこでもブライダル部門を担当しました。クリスチャン・トルチュは、野生の草花をアレンジメントに持ち込んだ第一人者で、より自然を大切にしたデザインは、花の歴史に革命を起こしたんです。私もトルチュのデザインが大好きで憧れていたので、ぜひ彼の店に入りたいと思って転職しました。

――そこにもすんなり転職できたんですね。

角田:フラワー業界って、常に人手が足りないんです。せっかく入っても辞めてしまう人が多く、入れ替わりも激しい。やる気さえあれば未経験でもチャンスはあるし、頑張っただけいいキャリアを積める業界ではあると思います。私も最初に入ったときは28歳くらいだったので、年齢の制約もほぼないと思いますし、なかには未経験で30歳近い人もいました。ただ、学校で実技を経験していたり、フラワーデザイナーの資格を取得していれば、より良い就職ができると思います。実技経験や資格を持っていれば、入社後に任せてもらえる仕事のレベルが変わりますね。

独立後は、粘り強い売り込みと口コミで仕事を探した

cont03.jpg ――クリスチャン・トルチュのアトリエは3年ほど勤めたそうですね。

角田:はい。私はトルチュの会社でずっと働きたかったのですが、直営店が日本から撤退することになり、他の会社に転職するかすっぱり辞めるかの2択に。

――そこで転職せずに、辞めることを選択されたと。

角田:トルチェの会社が大好きだったので、他のブティックに行く気にならなかったんです。そこで今後を考えようと思い、4か月間フランスに短期留学をしました。帰国後は、再就職しようと活動していたんですが、たまたま、知り合いのバーのオーナーが、「月5万円で店に花を生けてみないか?」と言ってくださって、やってみたらとても楽しかった。地道にこういう仕事を増やしていけたら、自分一人なら生活していけるかもと思い、33歳のころにフリーランスで仕事を始めました。

――仕事はどのように増やしていかれたんですか?

角田:最初の1年は、花屋さんなどでアルバイトをしながら、街の飲食店やアパレル店へ飛び込み営業をたくさんしました。自分が生けた花の写真をポートフォリオにまとめたり、チラシを作ったりして。ほとんど断られましたね。オフィスに花を飾る仕事もしているのですが、それは知り合いの紹介が多いです。一度花をご注文いただいた方のご紹介や、Facebook、Instagramを通じてご注文を受けることもあります。今は企業と個人のオーダーメイド注文のほか、アレンジメントのレッスン講座なども開かせていただいています。

――フリーランスにとって、SNSは大事な営業ツールでもあるんですね。

角田:そうですね。そして、営業を粘り強くやることも大切だと思います。レコード会社ともお付き合いさせていただいているのですが、きっかけは好きなアーティストのジャケット写真に、よくお花が使われていたのに気づいたことでした。それを自分が手がけてみたくてレコード会社に売り込みに行き、最初は断られながらも何度も通いつめていたら、作品に使うお花のほかにも楽屋花やコンサート会場に飾るスタンド花などのお仕事もいただけるようなったんです。

――やりたい気持ちと粘り強さで叶えた夢ですね。現在、お花の管理や作業場所はどうされていますか?

角田:自宅の一部屋を花専用にして保管しています。生花の管理は気を使いますが、品種によっては1週間くらい持つ花もありますし、注文をいただいてから花を仕入れに行くときも多いので、なんとかなっていますね。

——企業から大がかりなフラワーデザインを依頼されることもありますよね。

角田:会社やお店への飾りつけは先方に伺って行なうので、自宅に広いアトリエがなくてもやっていくことは可能です。ただ、器は自分で用意するので、どうしても保管場所は手狭になりますし、お花に部屋を占領されるので、あまりオススメできませんけど(笑)。

――他に仕事を続ける上で、気をつけていることは?

角田:外に出て作業することが多いので、体力をつけること。花と陶器を持って歩くのは、車を使うにしても重労働ですし、一人だと他に頼る人もいない。フリーランスでお仕事されている方はみなさんそうですが、まずは健康第一。私もヨガで体調管理しています。

――フラワーデザイナーとして辛いことはなんですか?

角田:ブティック勤務で一番辛かったのは……冷え(苦笑)。お花のことを考えて貯蔵庫の気温を下げているので、年中寒い。あとブライダルだと朝早く夜が遅いので、労働時間も不規則です。フリーランスになってからも、朝早く市場まで仕入れに行くので、慣れないうちは大変ですね。あと、ブライダルに限らず、フラワーデザインはお客様の要望にお応えする仕事なので、コミュニケーションスキルと草花の知識、経験を積む努力は必要だと思います。新しい品種を知るために週3回ほど市場に通ったり、生産者さんとのやりとりも、時間があるときは農園に伺いますし、Facebookや電話での交流も多いです。

——フリーランスは、料金設定なども自分で決めなくてはいけませんよね。

角田:そうですね。でも花の場合、仕入れの値段などでだいたい相場が決まりますし、フラワーショップに勤めていたときの経験があるので、見積もりも出しやすい。急にフリーランスになったのではなく、専門学校やブティック勤めをしたから今があるのだと感じています。

――ではフラワーデザイナーとして、角田さんがこだわっていること、大事にされていることはなんでしょうか。

角田:季節感を大事にして、旬のお花をアレンジするようにしています。自然の風景を思い起こさせる素材とナチュラルな生け方にこだわったデザインが理想ですね。花に触っていると、頭の中でこうアレンジしたいとイメージしても、手がついていかずに上手く形にできないことのほうが多い。でもそれが仕事を続ける上での原動力にもなっていて。私はやっぱり花が好きだし、私の花で感動してもらえるようになりたい。その情熱が、一番大事かも知れないですね。

――目標とする方はいらっしゃいますか?

角田:目標なんて言ってしまうと、身のほど知らずのようで恥ずかしいですが……花道家の上野雄次さんは憧れです。花に対してアグレッシブなところを尊敬しています。美しい花を生けられる一方で、ライブパフォーマンスでは花をダイナミックに動かしてアーティスティックに表現されている。私も上野さんのように、いろいろな花の可能性を追求しながら、真摯に花と向き合っていきたいです。今後はライブパフォーマンスにもぜひチャレンジしたいですね。

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