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スペシャルインタビュー

株式会社グランフーズ(ライフデリ) 代表取締役 小川雄一郎――「想い」のある本部を選ぶ『トップの肖像』

2012年にフランチャイズ事業をスタートした高齢者向け配食サービスの「ライフデリ」。700種類以上の多彩なメニューと、食材・調理にこだわった商品が評判を呼び、現在、200店舗以上の加盟店が全国に広がっている。創業者である小川雄一郎社長は、元々はフランチャイズのオーナーとして加盟店を運営していた経験の持ち主。なぜ、自らフランチャイズ本部を立ち上げることになったのか。「ライフデリ」ではどんな仕組みの実現を目指しているのか。その経緯や想いについて、幅広く語っていだきました。

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加盟金や保証金は要らない。
「簡単に潰れない仕組み」によって
加盟店が継続して発展することが、
本部の発展にもつながる。

低資金で始められる事業として目をつけた配食ビジネス。出合った瞬間、「これだ!」と閃いた。

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──小川社長は20代半ばで独立されたとお聞きしています。その前はどのようなお仕事をされていたのか、ご自身のキャリアについて教えてください。

大学では心理学を学んでいましたが、なんとなく「これからはITの時代だろう」と考え、新卒で大手IT企業にシステムエンジニアとして入社しました。当時、携わっていたのは国の電子申請のシステム開発。プロジェクト自体の規模が大きく、自分の仕事は「歯車の一部」という感覚が拭えず、1年半で退職しました。元々の入社動機が「なんとなく」だったのでモチベーションが続かなかったんです(笑)。

──キャリアのスタートはシステムエンジニアだったんですね。次は、どのような道に進んだのでしょうか?

転職先として選んだのは、大手の情報系企業でした。そこは出身者の多くが独立・起業していることで有名な会社で、学生時代に就職活動をしていた頃から興味を持っていました。働く社員も個性があって魅力的な人が多いイメージだったので、そういう環境で働いてみたかったんです。「3年で卒業する」という有期雇用制度を利用して、飲食系情報誌の広告営業として入社しました。システムエンジニアとはまったく違う仕事でしたが、営業力を磨く良い機会になると思いましたし、多くの店舗経営者に会えることも自分にとってプラスになるだろうと考えました。

──その段階で「独立・起業」というのは、意識されていたんですか?

いえ、転職した当時はそこまで明確には意識していませんでした。ぼんやりとは思っていたかもしれませんが、「独立しよう」と考えたのは広告営業を始めてからですね。1年半の間、いろいろな飲食店経営者とお会いする中で、それなりに経営に関する知識も増えてきましたし、「自分にもできるかもしれない」という思いが少しずつ芽生えてきたんです。正直、3年近く会社員をやってきて「自分には向いていないな」と感じていました(笑)。ずっと心の中にあったのは、「自分でコントロールできる仕事がしたい」ということ。それで、契約満了を機に「転職」ではなく「独立」という道を選びました。

とはいえ、当時はまだ20代半ば。「この事業で起業しよう」というアイデアや経営のノウハウがあったわけではありませんから、自分でイチから起こすのは難しい。そこで、フランチャイズに加盟して独立しようと考えたんです。少ない資金で始められるフランチャイズビジネスとして、目をつけたのがテイクアウトやデリバリーの飲食サービス。FCフェアなどにも参加し、いろいろと検討を進める中で高齢者向けの配食サービスと出合い、「これだ!」とパッと閃きました。これから高齢者が増え続けることを考えれば、市場の成長性が高い。大きなチャンスがあると感じたんです。

──それで、高齢者配食サービスを展開しているフランチャイズ本部に加盟したんですね。

そうですね。ただ、加盟を決めてから実際に開業するまでは少し時間がかかりました。開業資金が60万円くらいしかなかったので、イチから物件を借りて設備を入れることができなかったんです。引き継げる既存店舗を探すしかなく、思うように準備を進められない苦労がありました。

──開業してからはいかがでしたか? 事業は順調だったのでしょうか?

すごく順調でした。1年間はスタッフを雇う資金が足りなかったので、私も含めて3人という最小人数で対応していましたが、どんどん売上も伸びていって、最終的には15人規模の体制になりました。立ち上げ直後から多くの依頼をいただいて、休みもほとんどない状態。会社員時代より忙しかったものの、どういう広告を打つか、どんなキャンペーンを実施するか、誰を採用するか。すべて自分で考えた通りに実行できるのが本当に楽しかったですね。高齢者の方々からも毎日「ありがとう」という言葉をいただけて、大きな責任とやりがいを感じていました。「成功者インタビュー」として、フランチャイズオーナー募集サイトに取り上げられるくらい、順調そのものだったんです(笑)。

本部への不信感からフランチャイズを脱退。自ら「低資金で開業できるフランチャイズ本部」を立ち上げることに。

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──フランチャイズ加盟店として、それだけ順調に事業を進めていたにもかかわらず、なぜ脱退することになったのでしょうか?

本部のスタンスに、疑問を感じることが増えてきたんです。大きなきっかけは、2つありました。1つは、更新のタイミングで契約内容が大きく変わったこと。新規契約のときと比べると契約書の厚みが2倍ほどになり、「これはNG」「こうしないといけいない」と加盟店を制約するようなルールが細かく追加されました。事業自体は順調でしたし、やりがいも大きかったので契約は更新しましたが、納得できない気持ちはずっと残っていました。

そして、もう1つ。それまで使っていたシステムが突然使えなくなったことも大きかったですね。開業時に借金までして管理システムを一括購入していたのですが、本部から「新しいシステムに切り替えるので、今後はシステムのレンタル料を月々4万数千円お支払いください」と何の前触れもなく通達がきたんです。さすがに、こちらは借金も残っていますから「冗談じゃない」と抗議したものの、「嫌なら辞めていただいて構いません」という対応で、まったく話になりませんでした。そういうことが積み重なって「本部は加盟店のほうを向いていない」という結論に至り、「だったら自分でやろう」と脱退を決めました。

──脱退後は、どのように事業を進めていったのですか?

配食ビジネスで重要なのは、多品目に対応できる工場や食材の仕入先を確保することなのですが、加盟店オーナー時代に築いたコネクションがあったので、比較的スムーズに事業を軌道に乗せることができました。高齢者の方々への配食のほか、配食事業者への食材供給を開始。さらに、新しく高齢者配食チェーンを立ち上げるフランチャイズ本部から声をかけていただき、食材卸のパートナーとして大量の食材供給も任されるようになりました。

──最初から「フランチャイズ化」は視野に入れていたのでしょうか?

いえ、最初は考えていませんでした。自社でフランチャイズを展開しようと思ったのは、食材供給をお手伝いしていたフランチャイズ本部との契約が完了したことがきっかけですね。パートナーとして、間近でフランチャイズ本部の仕組みや成長過程を見ていましたし、自分自身にも加盟店オーナーとしてやっていた経験もありましたから、「自分たちにもできるだろう」と。それで、2012年から「ライフデリ」のフランチャイズ事業をスタートしたんです。

──フランチャイズ本部を立ち上げるにあたって、小川社長が「こだわったこと」を教えてください。

自分自身が加盟店として開業したときにお金の面で苦労したので、低資金で始められる仕組みにすることを徹底しました。開業時にかかるコストをできる限り抑えて、運転資金に回してほしいなと。特に個人のオーナーさんの場合、自分が怪我や病気になったら事業を続けられなくなってしまいますから、リスクヘッジのためにスタッフを雇って余裕のある運営体制にしておくことが重要なんです。

だから、「ライフデリ」では加盟金も保証金も0円。月々定額の会費とシステム利用料しかいただいていません。正直、フランチャイズ本部を立ち上げた当初は、キャッシュフローの面で苦労しましたが、加盟金を取ろうと思ったことは1度もないですね。途中で契約内容やプランを変えることはトラブルの元になると経験上わかっていましたし、そもそも数百万円の加盟金を取ったとして「なぜ、そんなに高いのか」という理由をオーナーさんに合理的に説明できる自信がないんです(笑)。本部も加盟店も余計なことに気を使わずに、同じベクトルを向いて事業に取り組むためにも、シンプルな仕組みにするのがベストだと思っています。

──率直な疑問ですが、月々定額の会費とシステム利用料だけで本部の運営は成り立つのでしょうか?

もちろん、大丈夫です。本部としては、無駄な運営コストを徹底的に省くようにしています。たとえば、スーパーバイザー(SV)。以前、私が加盟していたフランチャイズチェーンではSVが月に1回やってきて、ルーチンの情報共有と現場チェックを行っていましたが、正直「意味があるのかな」と感じていました。そこで、「ライフデリ」では定期訪問などはせず、必要なコミュニケーションやサポートはWebのツールを中心に行うようにしています。また研修に関しても、対面でしか教えられない内容に絞って1泊2日の短期間で研修プログラムを実施。こうした工夫によって人件費などの経費を大幅にカットしているんです。

──SVが定期訪問しなくても、オーナーとのコミュニケーションに問題はないのでしょうか?

Webを通じてやり取りできるので問題はありません。対面でのコミュニケーションは多くはありませんが、オーナーさんとの関係においては「双方向」を意識しています。「本部としては、こうしたい」「今後こうしようと思っている」という施策や方針については、必ずアンケートでオーナーさんの意見を聞き、多数決で決定するようにしています。本部の考えを一方的に押し付けることは一切なく、加盟店と一緒に運営している感じですね。オーナーさんたちも「自分たちが決めたことだから」と納得感を持って前向きに事業に取り組んでくれていると思います。

──事業戦略の面で、大切にしていることはありますか?

目に見えないところですが、食材や調味料にもこだわった美味しい食事を丁寧に作り込み、提供することが大切だと考えています。実際に、「ライフデリ」では野菜の8割以上は国内の契約農家から仕入れています。ただし、だからといって価格が高くては意味がありません。品質の高いものを安く提供できる。それが、コスト管理を徹底している「ライフデリ」ならではの強みなんです。
また、オーナーさんに対しては、「飲食業」ではなく「介護サービス」という視点で事業に取り組むことが大切だと伝えています。たとえば、普段から介護施設のケアマネジャーと綿密に連絡を取り、お客様の状況をこまめに共有しているオーナーさんは、他店舗よりも大きく売上を伸ばしています。重要なのは、食事を配るだけでなく、心も一緒に配ること。こうした心構えの重要性に関しては、説明会でも必ずお話するようにしています。

20年、30年付き合うつもりでオーナーさんとの関係を構築。「簡単に潰れない仕組み」が高い継続率につながっている。

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──今も、説明会の対応は小川社長が行っているんですか?

そうですね。フランチャイズへの加盟を希望されている方は、「本部の社長はどんな人なのか」ということを知りたいはずですし、知っておくべきだと考えているので、私が直接説明しています。

──説明会後のフォローの連絡などは、どうされているんですか?

私からも社員からも、後追いの連絡は一切しません。参加のお礼メールを送ることはありますが、電話をすることは絶対にないですね。「勧誘されたから」という気持ちで加盟してほしくありませんし、「自分の意思で決めた」という覚悟がないとうまくいかないと思っています。まったく後追いの連絡をしないので、「加盟したいのですが、大丈夫でしょうか…?」と不安そうに連絡をくださったオーナーさんもいました(笑)。

──現在、加盟店は200店舗を超えていますが、継続率は96.5%と非常に高い数字を維持されています。その一番の要因は、なんだとお考えですか?

単純に、「簡単に潰れない」からだと思います。低コストで開業できて、ランニングコストも少なくて済む。販促活動に関しても本部が無償でDMの送付などを行っていますし、リスクを背負い込まずに運営できるから続けやすいのではないでしょうか。私たちも、加盟店のオーナーさんとは20年、30年とお付き合いするつもりで契約していますから、こういう数字は励みになりますね。

──今後の事業に関するビジョン、新たに挑戦しようとしている取り組みなどがあれば教えてください。

急いで店舗数を増やすのではなく、1店舗ごとの売上をどう伸ばしていくのか、そこに焦点を当てて注力していくつもりです。たとえば、介護施設へのDM送付をはじめ、オーナーさんが何もしなくても自然と認知が上がっていくようなサポートを強化していきたいですね。ノウハウの共有方法に関しても、一斉にWebやメールで公開するだけでなく、オーナーさんの経験年数や加盟時期に応じて、必要な情報をタイムリーに出し分けるような仕組みも構築していきたいと考えています。

また、将来的には新しい事業に挑戦したいという思いもあります。ある意味、「ライフデリ」はこれまでのセオリーからは外れた新しいフランチャイズ本部の形だと自負しています。飲食や介護という軸でサービスの幅を広げるのか、まったく異なるジャンルで事業を立ち上げるのかはわかりませんが、当社独自の「低コストでの本部運営」というノウハウを使って、新しい可能性を探っていきたいですね。

──最後に、これから独立・開業しようと考えている方にアドバイスをお願いします。

自分の実体験から言えるのは、「今経験していることは、必ず独立・開業したときに活きてくる」ということですね。私は新卒で入社した会社でシステムエンジニアをしていましたが、そこで覚えたことが本部でのシステム開発に活かされていますし、営業時代に身につけたことも非常に役に立っています。今にして思えば、優秀な先輩や同僚たちの仕事ぶりを見られたことも、自分にとって大きな財産になっている気がします。経験してきたことが、無駄になることは絶対にありません。だから、現在与えられている業務や役割に、前向きにコミットすることを大切にしてほしいと思います。それから、もし今うまくいっていない状況でも悲観することはありません。私のように働く環境や場所を変えたらフィットすることもありますから、自分に自信を持ってください。

もう1つ、フランチャイズを検討するなら、加盟を決める前に必ず代表者と会って話をしたほうが良いと思います。よほど大きなフランチャイズ本部でない限り、ビジネスの方針や理念には代表者の考えが反映されます。長く付き合うことを考えるならば、自分の目で「どういう社長なのか」を見極めることをお勧めします。実は、私がフランチャイズに加盟したときは、社長とほとんど話をしなかったんです。もし、きちんと会って話をしていたら、別のチェーンに加盟していたかもしれません(笑)。

  

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小川社長の「想い」をまとめると…

  • 加盟店時代に感じた本部への疑問が、フランチャイズ本部の立ち上げにつながった。
  • オーナーに負担をかけたくないという思いから、低資金で開業できる仕組みを構築。加盟金・保証金は取らない。
  • 本部の方針決定にはオーナーの意見を反映。本部と加盟店が同じ方向を向いて運営している。

取材に伺ったグランフーズ本社は、まるでアパレルショップのようなオシャレな内装。スタイリッシュなテーブルやチェアは、小川社長が設計士と相談しながら選んだそうです。取材では、こちらからの質問に、とても簡潔にわかりやすく答えてくださった小川社長。20代半ばで独立し、今では全国に200店舗以上を展開するフランチャイズチェーンの社長を務める実業家。そんな肩書きから連想される「ギラついたイメージ」とは一線を画す、物腰の柔らかい、気さくでスマートな雰囲気でした。その話しぶりから感じたのは、とても誠実で、合理的なお人柄。現場の気持ちがわかるバランス感覚の優れた経営者という印象を受けました。

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