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2017/12/21
インタビュー

有名チェーンの元SV(スーパーバイザー)が語る。意外と知らないコンビニ経営のイロハ

さまざまな業種・業態があるフランチャイズチェーン(以下、FC)のなかで、私たちにとって、もっとも身近な存在といえるのがコンビニエンスストア(以下、コンビニ)。
一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会の統計によれば、2008年末に全国に44,391店舗あったコンビニは、2016年末には57,818店舗へと増加。合計売上高も年間約8兆円から10兆円以上へと成長を続けています。FCでの独立・開業を考える際、ビジネスとしての堅実さ、成長度の観点からも、コンビニは高い確率で候補にあがるのではないでしょうか。
今回は、株式会社ローソンでの店舗運営や支援業務の経験を経て、2009年よりコンサルタントとして独立された井上竜也さんに、コンビニチェーンならではの制度の注意点や本部選びのポイント、成功するために必要な要素をお聞きました。

コンビニが店舗を増やしている理由は、誰しも買い物経験があることから生まれる「安心感」

井上さん

──FC加盟を考える際、もっとも選択肢にあがりやすいのがコンビニではないかと思います。データを見ても、店舗数は増加傾向にあるようですが、なぜコンビニはこれほどまでにFCで人気を集めているのでしょうか?

井上:やはり「誰しもがコンビニで買い物経験がある」ことだと思います。働いたことはなくても、コンビニがどういった仕事なのかは知っている。異業種からの独立・開業を考えたときに、事業内容がイメージしやすいビジネスのほうが安心感がありますよね。
また、詳細までは知らなくとも、コンビニ経営は本部から何らかの支援を受けられるという印象が世間に行き渡っていることも、安心感につながっているのではないでしょうか。

──たしかに、事業の内容を知っているという安心感はありますね。

井上:ただ、一口にコンビニといっても本部によって特色はさまざまですし、「なんとなく自分にもやれそう」というぼんやりとしたイメージだけでコンビニを選ぶのは早計です。どのビジネスでも同じですが、人によっての向き不向きもありますし、本部任せではなく、自分自身が努力しなければならないこともたくさんあります。コンビニならではの制度や現状をしっかりと理解しておかないと、成功するのは難しいでしょう。

意外と知らない、コンビニオーナーが得られる「利益」の仕組みとは?

オーナーは毎日の売上を本部に送金し、本部がそこからロイヤリティや仕入れ代金を差し引き、余ったお金を月ごとにオーナーに戻す「オープンアカウント」制度

──出店方法には、どのような種類があるのでしょうか?

井上:呼び名はさまざまですが、どの本部でも大きく分けて2つのパターンがあります。セブン-イレブンを参考にすると、店舗の土地と建物を本部が用意する「Cタイプ」と、加盟者が用意する「Aタイプ」ですね。
ただ、コンビニは立地に大きく左右される商売なので、出店にふさわしい土地と建物を自力で用意するには、多額の資金が必要です。好立地に自宅や土地がある場合は別ですが、都市圏ではちょっと考えにくいですよね。

──たしかに、Aタイプを選べる人は、かなり限られているように感じます。

井上:実際、多くの方がCタイプで出店しているのですが、両者には、ロイヤリティと呼ばれる、加盟店が本部に支払わなくてはならない、粗利益(※)に対するパーセンテージに違いがあります。Aタイプは初期費用が多くかかるぶん、ロイヤリティが低く設定されているので、開業後は利益が多くなりますね。

※編注:売上総利益や総粗利益高など、本部によりロイヤリティの対象となる科目や条件が異なりますのでご注意ください。

──開業後のお金の流れやオーナーの利益について、ご説明いただけますでしょうか?

井上:これは契約書を読み込むうえでも非常に重要な要素なのですが、コンビニならではの制度として「オープンアカウント」というものがあります。本部と加盟店との間で日々行なわれる会計処理の方法のことですね。
非常に複雑なシステムなのですが、とても簡略化していうと、オーナーは毎日の売上を本部に送金し、本部がそこからロイヤリティや仕入れ代金を差し引き、余ったお金を月ごとにオーナーに戻す、という仕組みです。このシステムをしっかりと理解しておかないと、売上は立っているのに資金がショートしてしまうなど、トラブルのもととなるため、注意が必要です。

──その本部から戻ってきたお金が、オーナーの利益になるということでしょうか?

井上:いえ、その時点では「収入」であり、そこからさらに光熱費や人件費などを差し引いたものがオーナー個人の「利益」となります。各本部ごと、オーナーに対して2,000万円前後の「最低保証額」というものが定められているところもありますが、これは「収入」にあたるもの。最低保証額が丸々オーナーの手元に残ると勘違いされている方も多くいらっしゃるので、ここはしっかりと覚えておいてほしいですね。

──それは大事なポイントですね。そのほかに知っておいたほうがいいことはありますか?

井上:本部ごとに、開業をサポートするさまざまな制度が設けられていますので、それはチェックすべきですね。たとえばローソンには、「FCオーナー・インターン制度」(※)というのがあります。これは、オーナーとして開業する前に契約社員として入社し、最低1か月から最大3か月間、店舗勤務を経験して、独立に備えられるという制度です。この制度を利用すると、開業資金として必要な100万円が免除になるなどのメリットも受けられます。

※編注:そのほか、ファミリーマートの「嘱託店長加盟支援制度」や「インターン社員独立制度」、ミニストップの「独立契約社員制度」など、呼称や内容は異なりますが、各社でさまざまな制度が存在します。

また、最近は「後継者問題」に悩んでいるオーナーも多くいらっしゃいます。そこで、複数店舗を経営するオーナーが、店長として雇っている従業員に店舗を任せて独立させる例も増えています。いわゆる、「暖簾分け」のようなシステムですね。
このように、コンビニの開業にもさまざまなバリエーションが出てきており、ほかのFCと比べて開業しやすい状況にあるということは、コンビニのひとつの強みだといえるでしょう。

セブン-イレブン、ファミリーマートなど、大手チェーンの特色とは?

井上さん

──おそらく、コンビニ開業を考える際のいちばんの悩みは、どの本部を選べばいいのかということだと思います。開業希望者の目線で見たとき、大手チェーンにはそれぞれどんな特色がありますか?

井上:売上高で国内最大シェアを誇る最大手、セブン-イレブンの強みは、総合的な意味での「本部力」の強さです。平均日販の高さもさることながら、オーナーへの指導も徹底しており、「やらせる力」は非常に強いと感じます。お弁当やファーストフードの開発にも熱心ですし、多数の大手メーカーが参加しているプライベートブランド「セブンプレミアム」からも、次々に新商品が発表され、またそれがユーザーからも、高く評価されていますね。

──ファミリーマートはいかがでしょうか。

井上:2017年に、「ファミマスクール」と呼ばれる教育支援制度を設け、従業員の資格制度を取り入れているほか、従業員の採用を支援する「スタッフ採用センター」を設立しました。オーナーにとって重要な責務である採用や教育を、本部が積極的にサポートしている印象ですね。人手不足が大きな社会問題になっているなかで、加盟店側の負担を少しでも軽減したいという姿勢がうかがえ、とてもよい取り組みだと感じています。

──続いて、ローソンはいかがですか?

井上:ローソンはチャレンジ精神に長けている印象です。HMVブランドを活かしたチケット販売や、人気アニメのコラボレーションなどでエンターテイメント力を高めたり、ナチュラルローソンに代表される健康志向を打ち出したりと、流行を加味したブランド力のアップに努めていますよね。また、「FCオーナー・インターン制度」に代表されるように、開業のハードルを下げるさまざまな施策を行っています。オーナーの年齢上限を撤廃して、団塊世代を中心としたシニア層の開業支援にも積極的に取り組んでいます。

──いまあげた3社が現在の「3強」として知られていますが、独自の路線を推し進めているミニストップについてもお聞かせください。

井上:店舗数・売上高では大手3社に水をあけられてはいますが、コンビニにおいて利益率の高いファーストフードに特徴的な商品が多いことは、加盟希望者にとっても大きな魅力だと思います。ソフトクリームを目的にミニストップに行くというユーザーも多いでしょう。今後は、さらに独自路線を進みながら、顧客をしっかりと掴んでいくのではないかと予想します。

※編注:上記4社をマイナビ独立が第三者の視点でコンビニ業界を客観的に分析したコンテンツ「コンビニ業界ケンキュウジョ」はこちら

──そのほかに、ポイントとなる部分はありますか?

井上:本部の規模や店舗数、平均日販などの「数字の大きさ」は、誰しも気になることです。しかし、私の経験からいわせていただくと、もっとも重視しなければならないのは、自分がその本部に合うか合わないかだと考えています。
FCの特徴として「契約年数」が設定されていることがあげられますが、なかでもコンビニの契約年数は、10~15年と比較的長い期間であるのが一般的。途中で契約を解除すると、違約金が発生します。そのためにも、自分に合った、つまり長期間つき合える本部を選ぶことが大切です。

──自分に合うかどうかを知るには、どうしたらいいのでしょうか?

井上:とにかく、あらゆる本部の資料を集め、説明会に顔を出すことから始めるべきですね。また、実際の加盟店の声を聞くことも重要です。説明会で先輩開業者の声を聞く機会が設けられることも多いのですが、説明会以外でもまっさらな状態で現役オーナーと直接話す機会をつくって、いいところや不満に思う点を聞くべきだと思います。
本部の雰囲気を知るためには、アルバイトとして実際にそのチェーンの仕事を経験するのもいいかもしれません。一生を左右する決断ですから、時間と手間を惜しむことなく、判断する材料をしっかりと集めてほしいですね。

「従業員との良質なコミュニケーションや明るい接客は、優秀な人材確保につながる」

──個人の資質として、コンビニ経営に向く人、向かない人の傾向はありますか?

井上:やはり接客業なので、明るく人に接することができる人が向いていますね。逆に、なんでも従業員任せにしてしまうタイプの人は、コンビニの経営には向いていないといえるでしょう。積極的に現場で作業を行い、従業員のよいお手本になろうとする姿勢が求められます。
従業員とのコミュニケーションがうまくいかないと、店の雰囲気も暗くなってしまいますよね。いまはどこにでもコンビニがありますから、同じ商品を買うなら、お客さまは雰囲気のいい店を選びますから。

──たしかに、従業員の雰囲気のいい店とそうでない店というのは、如実にわかりますよね。

井上:コンビニのアルバイトに応募する方の多くは、その店の商圏内に住んでいます。いい印象を持っていない店で働きたいとは普通は思わないですから、売上だけでなく人手不足にもつながっていきます。そうすると、従業員に過度な負担がかかり、店の雰囲気がさらに悪くなって……と負のスパイラルに陥ってしまうわけです。

──逆にいえば、接客のクオリティーや従業員のコミュニケーションなど基本的な要素をしっかりと抑えることで、よい循環が生まれていく?

井上:その通りですね。いい雰囲気の店をつくることができれば、優秀な従業員の採用にもつながり、結果として売上増加に繋がっていくと考えています。
小売業経験者が有利なことは間違いないですが、経験がなくてもコミュニケーション能力が高ければ、誰にでも飛び込むことができ、成功をつかむ可能性があるのがコンビニであるといえるでしょう。

──「どこにでもコンビニがある」というお話がありましたが、ライバルとして意識すべきなのは、やはり近隣のコンビニの存在でしょうか?

井上:コンビニだけでなく、ミニスーパーやドラッグストアも強大なライバルといえると思います。ドリンク類やカップラーメンの価格はミニスーパーのほうが安く設定されていますから、コンビニにとっては脅威ですよね。

──そういったライバルとの戦いに勝つためには、なにが必要なのでしょうか?

井上:「コンビニスイーツ」なども話題になっていますが、新商品が次々と置かれることは、コンビニの大きな強みのひとつです。その意味では、大手の本部が持つ商品開発力は、非常に魅力的ですよね。
そのほか、オペレーションが決まっているFCでは、「オーナーとしてできることは限られている」と考えるのではなく、自らが主体的に行動し、「顧客ニーズの変化に対応していかなければ競合には勝てない」という意識を持つことが必要です。
商品棚や販売データを日々チェックして、どの商品が売れているのか把握することや、陳列方法の工夫など、つねに努力を怠らないこと。従業員と目標を共有し、地域で愛される店舗づくりを行っていくことが、成功への条件だといえるでしょう。

井上竜也(いのうえたつや)

株式会社ローソンにて、店舗運営・支援業務を経て、マーケティング本部マーチャンダイザーとして企画・開発・運用業務に従事。2009年より、コンサルティングオフィス井上を開設し独立。一般社団法人 中小企業診断協会東京支部フランチャイズ研究会会員。

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