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公開日:2023/4/28
フランチャイズ研究

介護ならフランチャイズ経営!事業の種類や特徴、失敗しないポイントなどを解説

少子高齢化が進む日本において、介護事業の重要性は年々高まっています。成長が見込めるビジネスとして注目が集まる中、介護事業での独立・開業を目指している方も多いのではないでしょうか。この記事では、介護のフランチャイズを検討している方に向けて、介護事業の種類や、介護のフランチャイズで失敗する原因と対処法、事前に準備が必要なポイントなどについて解説します。フランチャイズ本部の選び方についてもご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

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需要が高まる介護業界とフランチャイズ

総務省統計局のデータによると2022年現在、日本の高齢者人口(65歳以上の人口)は3627万人にのぼり、総人口の29.1%を占めています。高齢者が高齢者を介護する「老老介護」の割合や、国から介護が必要だと認定された要介護者が介護施設を利用できない「介護難民」の人数は年々増加傾向にあり、介護サービスが必要なところに行き届いていない現状があります。今後、高齢化率はさらに上昇し、内閣府の発表では2065年には国民の約2.6人に1人が65歳以上になると言われています。介護サービスの需要がよりいっそう高まることは間違いなく、介助や住まいをはじめ、飲食、趣味、運動などあらゆる領域で高齢者を支援するビジネスが必要とされると予想されます。
成長が見込める事業として高齢者向けのビジネスがクローズアップされる中、現在多くのフランチャイズ本部(FC本部)が介護事業を展開しており、その業種は多岐にわたります。FC本部によるサポートのもと、未経験でも介護事業に参入しやすいフランチャイズへの注目度はますます高まっていると言えます。

参考:総務省統計局「1.高齢者の人口」

参考:内閣府「1 高齢化の現状と将来像」


介護業界のフランチャイズの種類

フランチャイズの介護事業には、大きく分けて2つの形態があります。1つは施設が必要な事業、もう1つは訪問型の事業です。事業の形態によって必要な初期費用は大きく異なりますが、一般的には訪問型のほうが低コストで始めやすい傾向があります。どちらの形態でも共通していることは、法人でないと開業できないこと。新たに介護保険サービス事業(介護保険法に基づくサービス)を営むにあたっては地方公共団体から指定を受ける必要があり、その際、法人であることが必須条件となります。個人事業主の場合そのままでは開業できないため、法人を設立する必要があります。

フランチャイズで経営できる各介護事業の特徴

では、フランチャイズで経営できる介護事業にはどんな種類があるのでしょうか。代表的な業種とその特徴をご紹介します。

デイサービス

デイサービスは通所介護とも呼ばれ、利用者がデイサービスセンター等へ通い、食事や入浴などの介護やリクリエーション、健康チェック、機能訓練等を受けられる日帰りの介護サービスです。外出や人との触れ合いを通じて、利用者自身の孤立感の解消、心身機能の維持・向上を図ると同時に、介護する家族側の負担軽減を目的としています。
定期的な利用を通じて自然とコミュニティが生まれやすく、リピート利用が見込める点は経営的に大きな利点と言えます。ただし競合も多いため、提供するサービス・プログラムに工夫を凝らすなどの経営努力は欠かせません。
なお、デイサービスは介護保険のもとで行われる国から認められた介護保険サービスです。介護報酬の大半は介護保険から支払われるため、売上の回収漏れが起きにくいというメリットがあります。その反面、国による制度の改定に経営が左右される可能性も小さくなく、常に制度の動向に目を向け、適宜経営戦略を見直す必要があります。
また、通所介護を運営する際には、以下のように管理者、生活相談員、看護職員、介護職員、機能訓練指導員を配置することが義務付けられています。人員の配置基準を満たしていない場合は、国から介護報酬の返還を求められることもあります。

・施設につき1名の管理者が必要(原則として常勤または専従)
・サービス提供時間数に応じて、1名以上の生活相談員が必要(資格要件は、介護福祉士、社会福祉主事または社会福祉主事任用資格など ※自治体によって異なる場合あり)
・1名以上の看護職員が必要(原則として専従)
・利用者数が15人までの場合は、1名以上の介護職員が必要
・利用定員数に関係なく、施設ごとに1名の機能訓練指導員が必要(看護職員が機能訓練指導員を兼務することも可能)

訪問介護

訪問介護は居宅で生活する要介護者を対象に、訪問介護員(ホームヘルパー)が自宅を訪問して生活に関するさまざまなサポートを行うサービスです。介護の内容に応じて利用者の身体に直接触れる身体介護と、家事の代行などを通じて日常生活を補佐する生活介護に分かれます。

・身体介護の例
食事介助、入浴介助、更衣介助、外出介助、体位変換、歩行介助など

・生活介護の例
掃除、ゴミ出し、洗濯、アイロンがけ、洗濯、料理、買い物など

訪問介護もデイサービスと同様に介護保険のもとで行われる介護保険サービスであり、介護報酬の大半が介護保険から支払われるため、回収漏れの心配がない点は経営上大きなメリットと言えます。なお、訪問介護事業所には以下の条件が定められています。

・常勤換算方法で2.5人の訪問介護員が必要
訪問介護員になるには介護職員初任者研修を修了する必要があります。もしくは、介護福祉士実務者研修の修了者や介護福祉士、看護師等の保有者も訪問介護員として働くことができます。

・訪問介護員の他に、サービス提供責任者と管理者が必要
介護福祉士や、実務者研修の修了者などが、サービス提供責任者になることができます。管理者に必要な資格はありません。訪問介護員はサービス提供者もしくは管理者を兼務することが可能ですが、3つすべてを1人で務めることはできません。

訪問介護事業所を開業するためには、訪問介護員とサービス提供責任者を合わせて、少なくとも3人以上の有資格者が必要となります。

訪問入浴

訪問入浴とは、看護職員と介護職員が利用者の自宅を訪問し、専用の浴槽を用いて入浴介助を行う介護保険サービスです。要介護者の訪問入浴にあたっては、最低でも1人以上の看護職員と2人以上の介護職員、合わせて3人以上の人員を配置することが義務づけられています。介護職員に必要な資格はなく、未経験でも入浴介助を担当することができますが、看護職員については看護師または准看護師の資格保有者である必要があります。また、要支援者の訪問入浴の場合は、看護職員が1人以上、介護職員が1人以上など、義務づけられる人員配置条件が異なるため注意しましょう。

訪問マッサージ

一般的な訪問マッサージは、国家資格であるあん摩マッサージ指圧師が、寝たきりや歩行が困難な方の自宅を訪問して施術を行うサービスを指します。自費で利用することも可能ですが、「医療上マッサージの必要性がある」という医師による同意(診断)がある場合には、医療保険が適用されます。介護保険サービスには該当しないため、介護認定の有無は問いません。
訪問マッサージと似たサービスとして、訪問リハビリテーションの一環として提供されるマッサージがあります。訪問リハビリテーションは要支援・要介護者を対象とした介護保険サービスで、医師の指示のもと理学療法士等によって行われます。基本的には介護保険が適用され、急に病状が悪化した場合などに限り医師の判断で医療保険が適用されるケースもあります。
現行の制度では、利用者は医療保険の適用対象である訪問マッサージと、介護保険サービスを併用することが可能です。そのため、訪問マッサージだけでなく、デイサービスや訪問リハビリテーションと組み合わせて複数の事業を展開することで、さまざまな介護需要を取り込める可能性が広がります。

高齢者向けの配食サービス

高齢者向けの配食サービスとは、高齢者世帯を対象にお弁当をお届けするサービスを指します。特別な資格が要らないビジネスのため、介護事業の中でも注目が高まっている業種の1つです。嚥下機能が低下した方や病気を患っている方など、利用者の健康状態にも配慮した食事の提供が求められるため、個人で開業するのはハードルが高いという理由から、特にFC本部のノウハウを得られるフランチャイズでの開業が人気を集めています。初期コストも小さく、1人でも始められる上に、ケアマネージャーや介護施設から信頼を得ることで売上が安定しやすい点は、経営上の大きなメリットと言えます。

その他

その他にも、高齢者の移動の足となる介護タクシー、高齢者の自宅や介護施設に出張してヘアカットやネイルケアを行う美容サービス、福祉用具のレンタル・販売、高齢者対応(バリアフリー)のリフォーム工事など、介護事業にはさまざまな業種があります。今後、高齢者の増加に伴ってニーズが見込まれることはもちろん、介護保険法に基づくサービスであれば、売上の回収漏れを心配する必要もありません。

介護のフランチャイズで失敗する原因と対処法

介護のフランチャイズを始めるにあたって事業の成功をイメージするだけでなく、どのような場合に失敗してしまうのか、その原因を知っておくことも非常に重要です。ここでは介護のフランチャイズで失敗する原因と対処法、心構えなどをご紹介します。

人手不足

介護保険サービスには人員の配置基準が定められており、事業者はこれを遵守しなくてはいけません。介護事業を営むにあたって最大の課題は「人材を集めること」と言っても過言ではなく、採用に注力する必要があることはもちろん、職員の定着率を高めるために働きやすい環境を整えることも重要です。普段から職員とのコミュニケーションを欠かさず、意見を積極的に吸い上げるなど、職員目線での事業運営を心がけると良いでしょう。また、もし人手が足りない状況になった場合でも、安定したサービスを提供できるよう、日頃から人材育成に努める必要があります。研修や資格取得支援といった仕組みの整備をはじめ、職員同士が教え合う風土づくりも大切です。

知識不足

介護事業の多くは、介護保険法に基づくサービスです。サービスの人員配置基準や価格は厚生労働省によって定められており、そのルールは定期的に見直されます。そのため、介護保険の知識を正しく理解していることが、介護事業を軌道に乗せるための必須条件と言えます。この知識を身につける努力を怠ってしまうと、なかなか成功することは難しいでしょう。
同様に経営(マネジメント)の知識も非常に重要な要素です。先述の通り、ほとんどの介護サービスは1人では運営できません。「いざとなったら自分が頑張れば良い」という考えではなく、何事も「自分自身がどういう役回りで動くと、組織全体がうまく回るのか」という基準で判断・行動する必要があります。経営の視点や知識がなければ、自分自身に負担が偏ってしまうだけでなく、人手不足にもつながってしまいます。経営の知識が十分にない場合は、開業前に経営スキルに関する研修・セミナーに参加したり、FC本部に相談したりして、できる限りの準備をしておきましょう。
また、フランチャイズ契約の内容はFC本部によって異なります。開業後に期待していたサポートが受けられないと、事業が滞ってしまう可能性があります。契約内容をしっかりと理解し、納得した上で加盟することが、フランチャイズ経営で失敗しないための第一歩と言えます。FC本部に任せきりにするのではなく、契約に関する基本的な知識も事前に学んでおくと良いでしょう。独立した事業者である以上、何事においても常に学ぶ姿勢を持つことが大切です。

FC本部選びや連携不足

フランチャイズの一番のメリットは、FC本部からアドバイスやサポートを受けられることです。ビジネスパートナーとして二人三脚で協力できるFC本部でなければ、フランチャイズに加盟する意味は半減してしまいます。そのため、FC本部を選ぶ際には実績やサポート体制に加え、「仲間として信頼できるか」という視点でもしっかりと見極めるようにしましょう。
開業後はFC本部と積極的に連携し、アドバイスや指摘を真摯に受け止め、実践することが大切です。フランチャイズ経営で失敗するパターンの1つとして、FC本部のアドバイスを聞き入れず、自分の考えを優先し過ぎるケースが挙げられます。FC本部からのアドバイスは、これまで培ってきた実績やデータに基づいているため、的外れであることはほとんどありません。まずはFC本部の知恵を借りて事業の土台を固めるつもりで、取り組むと良いでしょう。もちろん、頼り切りになることは良くありませんが、FC本部のアドバイスを活用しながら、主体的に動くことが成功への近道と言えます。

介護業界にフランチャイズで参入するメリット

フランチャイズのメリットだけでなく、デメリットもしっかりと理解した上で検討することが大切です。続いて、弁当屋フランチャイズのデメリットをご紹介します。

手続きのサポート

介護保険サービスを始める際は、以下の手続きが必要になります。
・法人設立手続き
・介護事業者指定申請

さらに、人員の配置基準がある介護保険サービスでは、早い段階で職員の雇用に関する諸手続きも行わなくてはいけません。
・労働保険手続き
・保険・年金手続き など

こうした煩雑な手続きをすべて1人で行うのは非常に大変ですが、フランチャイズであればFC本部からアドバイスを受けられることはもちろん、場合によっては書類の作成を代行してもらえるケースもあります。労力や時間を節約できる上に、アドバイザーのような存在が近くにいるため、安心して準備を進めることが可能です。制度や法律に関する専門知識や、介護の経験がなくても参入しやすい点はフランチャイズのメリットと言えるでしょう。

ノウハウを学べる

介護事業の課題の1つとして「人材の確保」が挙げられますが、人材募集の方法や研修プログラムなど、FC本部が持つ採用・育成に関するノウハウを得られることも、フランチャイズの大きなメリットです。
また、開業後は職員のマネジメントはもちろん、収支計画なども自分で作成し、実践していく必要があります。こうした経営に必要な知識・スキルは、決してすぐに身につくものではありません。フランチャイズの場合、経営に関するアドバイスを受けながら実践を通じてノウハウを学べるため、経営が初めてでも無理なく事業運営に慣れることができます。
もう1つ、介護事業では介護報酬の請求や、介護保険の変更対応など、膨大な事務処理が発生します。個人で開業した場合、その運用手順やルールを自分で整備する必要がありますが、フランチャイズではツールやマニュアルが用意されているため、そうした手間をかけずにスムーズに運営することが可能です。

経営方針が明確

フランチャイズではFC本部の経営方針や戦略に沿って、事業を進める必要があります。自由に運営できない点は見方によってデメリットと捉えることもできますが、FC本部の経営方針が明確に決まっているため、事業の方向を見失わず、軸を持って運営できる点はメリットと言えるでしょう。

こうしたメリットのあるフランチャイズですが、一方で加盟金や保証金、ロイヤリティといったコストが発生するデメリットもあります。また、同じフランチャイズに加盟している他の事業所で不祥事などが起きると、風評被害を受ける可能性もなくはありません。

介護事業所のフランチャイズにかかるコスト

続いてフランチャイズで介護事業所を開設する場合、どのくらいのコストがかかるのか見ていきましょう。

開業資金

開業資金は、開業時にかかる初期費用のこと指します。フランチャイズの介護事業では、事業の形態や種類、加盟するFC本部によって開業資金に差があります。ここでは費用の種別に応じて、一般的な相場をご紹介します。

・加盟金・研修費
加盟金は、フランチャイズに加盟する際に支払う費用のことです。介護フランチャイズの加盟金は、100〜350万円程度が相場と言えます。事業の種類によって相場は異なり、訪問型よりも施設を構える通所型のほうが高い傾向にあります。通常、加盟金の金額は一律ですが、FC本部によって開業予定エリアの高齢者数に応じて変動する場合もあるので、注意しましょう。
また、研修費は開業に必要なノウハウや知識をFC本部から学ぶための費用です。加盟金の中に含まれることもありますが、加盟金とは別に50~100万円ほどの研修費を設定している本部などもあり、通常そうした場合は、加盟金は抑えめであることが多いです。

・保証金
保証金は、不動産賃貸契約における敷金のようなイメージです。フランチャイズ加盟中に損害金や遅延金などが発生した場合は、保証金から補填されます。初期費用として負担する必要はありますが、契約満了時に返還されます。
保証金の金額もFC本部によってさまざまですが、およそ20〜100万円が相場で、不要としている本部もあります。

・事業所関連費(物件取得費・内装工事費・設備費など)
物件を事業所として利用する際には、契約時に必要となる取得費、内装工事費、設備費など、さまざまな費用がかかります。事業の種類にもよりますが、通所型の事業で施設をイチからつくる場合には厨房や消防設備、スロープなどを設置する必要があり、工事費や設備費が高額になることもあります。一方、訪問型の場合には工事費や設備費を低く抑えることができます。相場としては、通所型の場合で500~1500万円程度、訪問型の場合で50~300万円程度です。

・その他
介護保険サービスに該当する介護事業を始める場合は法人を設立する必要があるため、合同会社や株式会社の設立にあたって10〜25万円程度の費用がかかります。

運転資金

運転資金は、開業後に継続的に発生する費用のことです。主に職員の人件費、物件の賃貸料、ロイヤリティなどがあります。

・人件費
介護保険サービスの場合、人員の配置基準が定められているため、人件費は他の業種よりも高くなりやすく、一般的に売上の半分以上を人件費が占めると言われています。人件費の抑制は介護事業における経営課題の1つと言えますが、人件費を抑えるために職員の給与を低く設定しまうと、離職の増加につながることもあるので注意が必要です。介護事業所向けに人材育成を補助する助成金制度などもあるため、必要に応じて活用を視野に入れましょう。

・賃貸料
賃貸料は物件の広さや立地によって変わります。通所型は広いスペースが必要なため、訪問型よりも賃貸料が高くなる傾向があります。

・ロイヤリティ
ロイヤリティとは、FC本部から商標の利用権や経営ノウハウ、システムなどを得る代わりに、毎月支払う使用料のことを言います。ロイヤリティの算出方法には、売上に比例して一定割合を支払う方式と、毎月固定の金額を支払う方式などがありますが、介護事業の場合は介護保険収入に応じて一定割合を支払うケースが多く、売上の5~10%程度の割合が設定されていることが多いようです。

介護フランチャイズ参入のための事前準備

フランチャイズで介護事業を始めるためには、どんなステップを踏めば良いのでしょうか。事前に必要な準備をご紹介します。

事業形態やエリアの検討

介護事業にはデイサービスや訪問介護、訪問看護などさまざまなサービスがあります。また、介護保険に基づくサービスと、そうでないサービスがあります。各サービスの内容や特性を把握した上で、まずは自分がどんな目的で、そのような介護サービスを手がけたいのか、事業のコンセプトを決めることが重要です。併せて開業するエリアもイメージしておくと、後々FC本部とのやり取りがスムーズになります。

フランチャイズ本部の選定

介護事業のコンセプトを検討すると同時に、加盟するフランチャイズの選定を進めていきます。FC本部の情報は、『マイナビ独立』などのフランチャイズ情報を紹介するWebサイトを通じて集めることができます。イメージの合うFC本部を見つけたら資料を請求したり、説明会に参加してより詳しい情報を手に入れましょう。いくつか候補が絞られたら個別面談を申し込み、FC本部の担当者と具体的な条件のすり合わせを行います。FC本部によっては希望するエリアで開業できないこともあるため、この段階で自分の希望条件を伝えておくことが大切です。
数回の面談を経て加盟の意思が固まったら、正式にフランチャイズ契約を結ぶことになりますが、契約内容に不明点や疑問点が残ったまま契約することは避けましょう。フランチャイズ契約は独立した事業者同士の契約のため、消費者を対象としたクーリングオフ(一定期間であれば無条件で契約解除ができる制度)は適用されません。契約前にしっかりと確認し、納得した上で契約を交わす必要があります。

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資金の準備

フランチャイズで介護事業を始めるには、初期費用と当面の運転資金を合わせてまとまった資金が必要となります。金額は事業の形態やFC本部によって異なるため、加盟候補として検討しているFC本部の場合、どれくらいの費用がかかるのか、事前に確認し準備を進めると良いでしょう。必要に応じて金融機関の融資も利用できるため、自己資金だけでまかなえなくても問題ありません。政府系の金融機関である日本政策金融公庫には、フランチャイズへの加盟予定者向けの融資制度も用意されています。資金の調達方法については、FC本部とも相談の上、方針を決めることをおすすめします。

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資格の取得は不要

介護保険サービスでは有資格者を適切な人数配置することが定められています。そのため1人で開業することはできませんが、有資格者を雇用する場合は経営者本人が資格を取る必要はありません。

介護フランチャイズの流れ

フランチャイズに加盟してから介護事業所を開設するまでは、いくつものプロセスがあります。順を追って加盟後の流れをご紹介します。

物件選定

最初のプロセスは物件選定です。まずはFC本部の指導・アドバイスを参考にして開業エリアを確定し、そのエリア内で事業に適した物件を探します。FC本部によっては物件のリサーチを代行してくれるところもありますが、紹介された物件を無条件で受け入れるのではなく、自分の目でもしっかりと物件を見定めることが重要です。

法人設立

物件探しと同時並行で法人設立の準備を進めます。定款の作成・認証、法務局への登記といった設立に関わる手続きのほか、法人の銀行口座開設、税務署への設立届等の提出などさまざまな手続きが必要となりますが、多くの場合、FC本部がサポートしてくれるので心配はいりません。

人材採用・行政手続き

有資格者の配置が定められている介護事業において、人材の確保は非常に重要なポイントです。多くのFC本部が人材募集・採用に関して手厚いサポート体制を整えているので、相談しながら進めていきましょう。採用が決まったら、労働保険や保険・年金の手続きも行う必要があります。

事業所の改装工事・備品調達

工事業者や備品の仕入先については、基本的にFC本部から指定・紹介されるため、自分で探す必要はありません。都度現場に立ち会って工事の進捗を確認しながら、備品の納入日などを調整します。

行政への事前相談・指定申請

介護事業者指定申請に向けて、事前に地方公共団体(市もしくは都道府県)の関係各所を訪問し、物件資料などをもとに計画に問題がないか確認・相談を進めます。その後、指定申請書類を地方公共団体に提出しますが、指定事業者の決定までは事前相談の時点から2カ月程度かかることが多いようです。申請書類の作成・提出は専門的な知識が必要なため、FC本部のサポートのもと進めていきます。

スタッフ研修

採用した職員に対して、FC本部独自のノウハウに基づく研修を実施します。

事業所番号交付・事業開始

自治体から事業所番号が発行されたら、いよいよ事業開始となります。開業後は、FC本部のアドバイスに基づき、利用者の募集などを進めます。地域でのネットワーク構築のために、関係機関への挨拶回りなども行いましょう。

介護フランチャイズ成功のためのポイント

FC本部のアドバイスやサポートを受けられるフランチャイズは、個人での開業と比べて失敗するリスクは小さいと言えます。しかし、誰もが成功するとは限りません。ここでは成功するために必要な3つのポイントをご紹介します。

人材確保に計画的に取り組む

介護事業においては「人材の確保」が事業の成功を握ると言っても過言ではありません。豊富なノウハウを持つFC本部のアドバイスを参考に、効果的な方法で採用活動を行うことが大切です。特に、事業運営の必須条件である有資格者の採用は、FC本部と密に連携して進める必要があります。
またパート・アルバイトの募集に関しては、職場の立地が大きく影響します。物件を決める際は、賃貸料や広さに加え、アクセスのしやすさや近隣住民の属性なども踏まえて判断しましょう。もちろん、働きやすい環境づくりも重要です。FC本部と相談しながら、職員のモチベーションを維持する仕組みや評価制度、人材育成・教育制度など、職員が働きがいを持てる環境づくりに継続的に取り組む必要があります。

利用者のニーズを把握する

「社会的な需要が高まっているから」という市場の成長性だけを理由に介護事業を始めても、長期的に成功を収めるのは難しいかもしれません。継続して利用者から評価を得るためには、利用者本人やご家族の気持ちや要望に耳を傾け、本当に喜ばれるサービスを提供し続けることが不可欠です。FC本部の方針に沿いつつも、常に「利用者とご家族のために何ができるか」を考え、改善する努力を欠かさない。そういった姿勢が成功につながります。

焦らない

3つ目のポイントは、焦らないということです。介護事業はリピート利用が見込めるため、軌道に乗れば安定した売上が期待できる一方、短期間で大きく成長するビジネスではありません。すぐに結果を求めるのではなく、長期的な視野で地道に利用者を増やしていくことが将来の成功に結びつきます。失敗のリスクが少ないフランチャイズであっても、事業が軌道の乗り、売上が安定するまでは数年かかると想定しておきましょう。

フランチャイズ本部の選び方

フランチャイズの介護事業を成功させるためには、先に述べたような取り組みや心構えが必要ですが、何よりも重要なのはビジネスパートナーとして信頼できるFC本部を選ぶことです。どのようにFC本部を見極めれば良いのか、その評価基準をご紹介します。

長年にわたって介護事業の運営実績があるか

長年にわたって介護事業を継続しているFC本部は、豊富なノウハウを持っていると考えることができます。開設から5年以内に廃業する介護事業所も珍しくないと言われる介護業界において、5年、10年と長く介護事業を展開しているということは、利用者から高い評価と信用を得ている証拠と言えます。成功事例をもとに最短ルートで事業を安定化できる力を持っていると考えて良いでしょう。
ただし、その一方で介護事業の歴史が浅いからと言って、そのFC本部はノウハウや信用がないと即断することはできません。手がけている介護サービスの内容にも目を向ける必要があります。現在、増え続ける介護保険の給付を抑えることが、国の財政健全化に向けた大きな課題となっています。介護保険サービスの見直しなどが議論される中で、今後は高齢者の身体的、精神的な自立をサポートするような「本質的な介護」が重要視される可能性があります。「これまでの実績」に加えて、「これからの必要性」という観点も加味してFC本部の事業を評価しましょう。

サポート体制が充実しているか

介護事業所の立ち上げには、物件探しや内外装工事、備品の調達、宣伝、採用、各種手続きなど、さまざまな準備が必要です。開業準備をスムーズに進めるために、できるだけサポート内容が充実しているFC 本部を選ぶと良いでしょう。
また、開業時だけでなく、開業後のサポート体制にも目を向ける必要があります。問題や悩みに直面したときに随時相談できる体制なのか、研修やノウハウ共有の機会は提供してもらえるのか、実際の事業運営をイメージし、適切なサポートを受けられるのか見定めましょう。特に、介護事業においては人材採用に関するサポートが重要です。

コストとリターンのバランスは合っているか

フランチャイズではノウハウやサポートを得られる対価として、加盟金やロイヤリティをFC本部に支払う必要があります。そのコストに見合うリターンがなければ、フランチャイズに加盟する意味はありません。FC本部から提示された条件をそのまま鵜呑みにするのではなく、自分自身でも収支をシミュレーションして、コストとリターンのバランスが合っているか、厳しい目で判断しましょう。
また、サポート内容や契約条件に疑問があれば、積極的にFC本部の担当者に質問することが大切です。質問に対して真摯に対応してくれるかどうか、そのスタンスによって信頼関係を築けるパートナーか判断することができます。長く付き合うことを見据え、一方的に考えやアドバイスを押し付けてくるFC本部は避け、コミュニケーションが取りやすいFC本部を選ぶことをおすすめします。

まとめ

ここまで介護フランチャイズの種類をはじめ、失敗する原因と対処法、フランチャイズ経営のメリットやコスト、成功のためのポイントなどをご紹介しました。基本的な知識をご理解いただけたことで、より具体的に介護のフランチャイズを検討しやすくなったのではないでしょうか?
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