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公開日:2020/3/12
フランチャイズの基礎

「独自開業」と「フランチャイズ」にはどんな違いがあるのか?開業までの方法・準備を徹底比較&解説【第4回:開業準備編】

「独自開業」と「フランチャイズ」の違いを比較&解説するシリーズの第4回目。これまで飲食店の開業を例にして「コンセプト設計」から「メニュー開発」「マーケティング調査」まで、各工程ごとの違いを見てきましたが、いよいよ今回が最終回です。開業前の最後のプロセスである「開業準備」について見ていきましょう。

開業準備

<INDEX>

「開業準備」とは?

「開業準備」とは、これまで検討してきたコンセプトや事業計画に沿って、実際に「カネ・ハコ・モノ・ヒト」を準備する作業のこと。頭の中で描いていたプランを具体的なカタチにしていくフェーズです。具体的には以下のタスクがあり、第3回目の記事で紹介した「事業計画書の作成」も含めて同時並行で進めていきます。

(1)資金を調達する(カネの準備)
(2)店舗の工事を行う(ハコの準備)
(3)機材・備品を用意する(モノの準備)
(4)仕入れ先やメンテナンス業者を選ぶ(外部のヒトの準備)
(5)スタッフを採用・教育する(内部のヒトの準備)

では、「独自開業」と「フランチャイズ」の場合に分けてタスクの詳細を見ていきましょう。

資金を調達する(カネの準備)

独自開業の場合

必要な資金を計算する

「ハコ・モノ・ヒト」を準備する前に、何よりもお金を用意しなくはいけません。作成中の事業計画書に沿って、開業費用と当面の店舗運営にどれくらいのコストがかかるのかを割り出しましょう。必要な資金が把握できたら、用意できる自己資金を踏まえて、追加の資金がいくら必要なのかを計算し、調達方法を検討します。

注意したい点として、一般的に、飲食店の場合は経営が安定するまで半年以上はかかると言われています。最低限、運転資金はその点も考慮して見積もることが大切です。独自開業の場合、自己資金での開業に絞って検討しがちですが、開業率上昇が政策的に後押しされている昨今では、創業時に限って利用できる非常に有利な条件の融資・助成もあり、自己資金に余裕がある場合でも、追加の資金調達を検討した方が良いケースもあります。最悪の場合を想定、運転資金が枯渇する期間をシミュレーションするなどして判断しましょう。

融資や補助金・助成金を申し込む

資金の調達方法として代表的なのは、日本政策金融公庫や信用金庫などの金融機関から融資を受けること。そのほか、自治体の補助金や助成金を活用する方法もあります。融資の条件や申請に必要な書類は、金融機関や自治体によって異なるので、しっかりとリサーチしましょう。調べてもわからないことがあれば、遠慮せずに電話や対面で相談することをオススメします。融資を申し込んだ結果、希望通りの金額を調達できないケースもあります。その場合は、再度事業計画を見直して、物件や内外装工事、機材・備品などにかける予算配分を調整しなくてはいけません。

フランチャイズの場合

必要な資金を正確に見積もれる

フランチャイズで独立・開業する場合も、事業計画書に沿って必要な資金を算出することは一緒です。大きく違うのは、フランチャイズ本部のサポートを受けられること。過去のデータや事例をもとに、精度の高いシミュレーションができるため、必要なコストを正確に見積もることができます。

金融機関を紹介してくれる本部もある

融資を申し込む際も、フランチャイズ本部によってはサポートが受けられます。「どの金融機関の融資審査が通りやすいか」といったアドバイスを受けることができるため、イチから調達方法を調べる必要はありません。申請書類に関してもノウハウを持っている本部が多く、効率よく手続きを進めることができます。フランチャイズ本部によっては、金融機関への紹介ルートを持っているところもあります。資金面で不安がある場合は、こうしたサポート体制の有無をフランチャイズ選びの基準の1つとしても良いでしょう。

融資に補助金、助成金。独立・開業における資金調達方法の選び方とハウツーを解説

店舗の工事を行う(ハコの準備)

独自開業の場合

物件を決める

「ハコ」、つまり開業する店舗の選定にあたっては、時間帯ごとの人の流れを確認する通行量調査や、商圏自体の調査などを経て絞り込んだ候補地の中から物件を決定します。物件の契約は基本的に「先に申し込んだ人」が優先されるため、不動産会社に他者の状況を確認しながら、スピーディーに意思決定することが心がけましょう。
契約時に注意が必要なのは、大きな初期費用がかかること。前家賃のほか手付金や保証金、契約手数料など多額の支出があることを頭に入れておかなくてはいけません。また、物件の賃料は毎月出ていく大きな固定経費です。店舗運営に大きく影響する費用なので、賃料の交渉ができないか不動産会社に相談するのも良いでしょう。

参考:商圏情報リサーチツール「マケプラ」のアカウントを発行する

施工業者に依頼する

物件の契約と併せて、内外装の施工業者(設計会社)にプランや見積もりの作成を依頼します。このとき、施工業者に自分が意図する店舗に仕上げてもらうために、サービスのコンセプトや内外装のイメージ、導入予定の設備や什器などをまとめた資料を作成しておくことが大切です。もちろん、事業計画書に基づき、想定している予算も伝えておきましょう。イメージや予算感を共有することで、プランや見積もりの作成・確認がスムーズに進みます。

施工業者と契約する

プランや見積もりを確認し、金額交渉などを経て施工業者と契約を結ぶことになりますが、できれば2社以上の業者に相談することをオススメします。相談先が1社だけだと、デザインや見積もりの良し悪しを相対的に判断することができません。最近は希望に応じて施工業者を紹介してもらえたり、見積もりを依頼できたりするサービスもあるので、利用してみるのも良いでしょう。
施工を進める中で、計画通りにいかないことや専門家の意見を参考にしたいシーンなどが必ず出てきます。施工業者を選ぶにあたってデザインや費用が希望に合っていることはもちろん、「話しやすいか」「飲食店の設計実績が豊富か」といった点も判断材料に含めることが重要です。施工が始まったら工期が遅れないようにチェックし、完成間近のタイミングで保健所や消防署への届出を行います。

フランチャイズの場合

良い物件が見つからない可能性も考慮しておく

フランチャイズの場合、本部が物件を斡旋してくれるケースが多いため、物件の選定や契約をスムーズに進めることができます。ただし、100パーセント自分の希望に合った物件が紹介される保証はなく、良い物件が見つからず、開業できない可能性もゼロとは言い切れません。「店舗物件を決める前」にフランチャイズ契約を結ぶ場合には、「契約後、一定期間内に物件が決まらない場合、加盟金等は返還されるのか」といった条件を必ず確認するようにしましょう。

施工はお任せできる

フランチャイズでは内外装のルールやデザインが決まっているため、施工業者を紹介してくれるケースが少なくありません。その場合、施工にあたってイメージ資料等を準備する手間が省けるなど、作業負担を軽減できます。都度、設計図面などを確認する必要はあるものの、基本的には設計から施工まで本部と施工業者にお任せできると考えて良いでしょう。また、独自開業の場合、内外装の施工は見積もりの依頼から完成まで、早くても3カ月程度はかかるのが一般的ですが、フランチャイズの場合は工期をより短縮できるメリットがあります。一方で、本部によっては仲介マージンを設定しているケースもあり、得られるメリットに見合っているかの見極めは大切です。相見積もりが取得可能であれば取得、費用面も含めたトータルで有利な選択をできるよう意識しましょう。

機材・備品を用意する(モノの準備)

独自開業の場合

必要な設備・備品を取り揃える

「ハコ」の準備と同時並行で、厨房設備や什器、備品、消耗品など「モノ」の準備を進めます。物件の広さや間取り、予算の状況を踏まえて、これまでリストアップしてきた設備・備品の内容を再度精査し、それぞれの購入先も決定します。予算の状況によっては、業者との金額交渉も必要となります。特に、内外装の工事に影響する厨房設備、テーブル・椅子などの什器は、施工業者とも相談しながら早めに選定しましょう。まとめて施工業者が用意してくれるケースもあるので、お願いした場合の時間的なメリットとコスト面のバランスを考慮して判断することが大切です。

集客に必要な制作物を準備する

店舗のオペレーションに必要な「モノ」だけでなく、メニューブックや集客用のチラシ、看板などの制作も同時に行う必要があります。どうしても設備や什器を優先してしまい、制作物周りの準備は後回しになりがちですが、集客に直結する作業なので計画的に進めるようにしましょう。

▼飲食店の開業時に必要な準備物例

厨房設備 各種調理機器、ガス台、調理台、シンク、冷蔵庫、冷凍庫、保管棚 他
什器・備品 テーブル、椅子、食器類、棚、冷暖房器具、音響・映像設備、照明器具、清掃用具、レジスター、電話、パソコン、ゴミ箱 他
消耗品 洗剤、箸、ペーパーナプキン、使い捨て手袋、ふきん、伝票、エプロン、ユニフォーム 他
その他 メニューブック、看板、チラシ 他

フランチャイズの場合

フランチャイズの場合、店舗の規模などに応じて、本部が必要な設備・備品を一式リストアップしてくれます。ほとんどの場合、専用の物品・設備は本部を通じて一括発注することになり、計画段階でコストも正確に見積もられているため、予算の再調整や金額交渉などを行う必要もありません。フランチャイズ本部によっては、ある程度自由に設備・備品を選択できる場合もありますが、そのようなケースでも「何をどこに発注すれば良いか」といったアドバイスをもらえるので、業者との交渉もスムーズに進めることができます。

厨房設備や什器と同様に、集客に必要な「モノ」の制作もフランチャイズ本部がサポートしてくれます。本部の多くが豊富なマーケティングデータとノウハウを持っているため、集客の戦略面についてサポートが得られるのは、大きなアドバンテージと言えます。また、知名度のあるフランンチャイズチェーンの場合、施工中の看板自体に宣伝効果が期待できます。

仕入れ先やメンテナンス業者を選ぶ(外部のヒトの準備)

独自開業の場合

食材の仕入れ先を選ぶ

食材の仕入れ先は、肉、魚、野菜、飲み物類、その他の食品などジャンルごとに選定します。いくつかの業者に相談し、配送頻度や価格、取り扱い商品などを踏まえて、選ぶようにしましょう。仕入れ先が多岐にわたると、支払いの管理が煩雑になることもあるので注意が必要です。

各種メンテナンス業者を選ぶ

飲食店で使われるマットや清掃道具、おしぼりなどは、定期的な回収・取り替えが必要です。「ハコ・モノ」の準備と併せて、そうした各種メンテナンス業者の選定も進める必要があります。食材の仕入れ先と同様に、複数の業者に相談し、相見積もりを取って選定するようにしましょう。

フランチャイズの場合

フランチャイズでは、基本的に本部からすべての食材を仕入れることになります。どのメニューにどの食材が必要なのかも決まっているため、食材について頭を悩ませることはありません。メンテナンス業者に関しても、フランチャイズ本部と付き合いのある各地の業者を紹介されるケースがほとんどです。

スタッフを採用・教育する(内部のヒトの準備)

独自開業の場合

スタッフを募集する

スタッフを募集する前に、まずは必要な人員を決めなくてはいけません。お客様のご案内からオーダー受け、厨房への伝達、料理の提供、会計まで一通りのオペレーションを想定し、時間帯によってどこに何名のスタッフが必要か、人員の配置を考えます。必要な人員が決まったら、スタッフ募集の告知を行います。地域誌やアルバイト情報サイトなどを利用して、求人広告を出すのが一般的な方法です。その際、周辺エリアの飲食店の求人広告をチェックし、時給や募集条件の参考にしましょう。人手が集まりにくい現状において、少しでも興味を持ってもらえるように工夫することが重要です。

スタッフを採用する

募集開始後、応募がきたら面接などを行い、採用するスタッフを決定します。従業員を雇用するときは、雇用契約書(労働条件を通知する書類)を作成することが、労働基準法によって定められています。また、雇用する人数や労働時間にかかわらず、労災保険の加入義務が発生するため、管轄する公共職業安定所(ハローワーク)にて手続きを行わなくてはいけません。後々トラブルにならないよう、雇用関連の契約や届出はしっかりと対応することが大切です。

スタッフを教育する

スタッフを採用したら、開業までに研修を行います。効率よく教育するために、オペレーションやレシピをマニュアル化し、事前に研修内容を考えておくと良いでしょう。開業前には、必ず知人・関係者を集めた「プレオープン」を実施し、実践的なトレーニングを行います。プレオープンでの反省点を踏まえてオペレーションやマニュアルを見直し、グランドオープンに臨むことになります。

フランチャイズの場合

スタッフの募集から採用、教育まで一連の流れは、独自開業の場合と変わりません。フランチャイズで独立・開業する場合も、スタッフを雇用するのは本部ではなく、自分自身です。雇用関連の契約や届出については、責任を持って適切に対応するようにしましょう。

独自開業と異なるのは、オペレーションやレシピがマニュアル化されていること。基本的には効率よく店舗を運営できる方法が確立されており、必要な人員についても過去の事例から本部が的確にアドバイスをしてくれます。フランチャイズ本部によっては調理方法がシンプル化されているケースも多く、スタッフを教育しやすいメリットもあります。また、フランチャイズでは必ず加盟店オーナー向けの研修が用意されているため、スタッフ向けの研修内容をイチから考える必要はありません。自分が受講した研修内容をそのままスタッフの研修に活かすことができます。

開業前にプレオープンを実施するのはフランチャイズの場合も一緒です。ただ、そこで明らかになった課題に対して、本部のサポートのもと効率よく改善できるのは大きな違いと言えるでしょう。

「独自開業」と「フランチャイズ」の違いに関するまとめ

開業プロセスの最終局面である「開業準備」では、やらなくてはいけない作業が多く、しかも同時進行でタスクを進める必要があります。非常に労力がかかる工程であり、それだけに「独自開業」と「フランチャイズ」で、もっとも差が出る工程と言って良いでしょう。

どちらの場合も「カネ・ハコ・モノ・ヒト」の準備をしなくてはいけない点は変わりませんが、フランチャイズの場合は常に本部からサポートやアドバイスを受けられる環境にあり、業者や設備・備品に関してはイチから選ぶ必要がありません。また、事前にハッキリと予算を見積もることができるため、予算配分の見直しや各方面との金額交渉負担も大きく軽減されます。開業準備にかかる手間と時間を省略し、店舗運営のシミュレーションやスタッフの採用・教育に集中できる点は、経営初心者の方にとって大きなアドバンテージと言えるのではないでしょうか。

その裏返しのデメリットとして、フランチャイズは多くの場合、自由度に制限があります。コンセプトやメニューは最初から決まっており、原則として業者や設備・備品も自分では選べません。また、本部のノウハウを後ろ盾として最短距離で独立・開業できる一方、「本部のサポート」を期待しすぎるあまり店舗経営に対して「他責的」になってしまう可能性もあります。「人任せ」で軌道に乗るほど、事業は甘くありません。フランチャイズでの独立・開業を検討する場合は、そうしたリスクがあることを認識しておくべきでしょう。

ここまで4回にわたって見てきたように、「独自開業」と「フランチャイズ」それぞれにメリットとデメリットがあります。独立・開業することで、何を実現させたいのか。自分の個性を発揮したいのか、事業を成功させたいのか、その目的によって独立・開業の方法は変わってくるはずです。ぜひこの記事を参考にして、自分にとって最適な方法を選んでください!

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