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公開日:2019/11/6
フランチャイズの基礎

開業までの方法・準備にどんな違いがある?「独自開業」と「フランチャイズ」を徹底比較&解説【第3回:マーケティング調査編】

飲食店の開業プロセスを例にして、「独自開業」と「フランチャイズ」の違いを工程ごとに比較&解説するシリーズの第3回目。今回は、「物件リサーチ」や「事業計画書の作成」などの作業を含む「マーケティング調査」の工程について見ていきます。

マーケティング調査の画像

<INDEX>

「マーケティング調査」とは?

「マーケティング調査」は、実際に物件を借りたり、資金を調達する前に、さまざまな調査や情報収集を行うフェーズです。具体的には以下のタスクがあり、第2回目の記事で紹介した「メニュー開発」と同時並行で、工程を行ったり来たりしながら進めていきます。

(1)物件をリサーチする
(2)事業計画書を作成する

では、タスクごとにどんな作業が必要なのか、「独自開業」と「フランチャイズ」の場合に分けて詳細を見ていきましょう。

物件をリサーチする

独自開業の場合

出店エリアを選定する

物件を探すにあたり、まずは出店エリアを決める必要があります。当然のことながら、オフィス街と住宅街、商業地域では、想定されるターゲットの特性などがまったく異なります。自分が考えたコンセプトに合致しつつ、集客が見込めるエリアはどこなのか、候補地をいくつかリストアップしましょう。競合店の数や集客状況なども調査し、ニーズも見極めながら出店候補地を選定していきます。
このとき大切なのは、候補地を1つに絞り込まないこと。出店エリアを限定し過ぎてしまうと、条件に合う物件が見つからずに、物件探しが長引いてしまうことがあります。候補地が複数思いつかない場合は、不動産会社に相談してみると良いでしょう。類似のポテンシャルを持ったエリアを見つけるために、商圏情報リサーチツール「マケプラ」を活用することもオススメです。

商圏情報リサーチツール「マケプラ」のアカウントを発行する

物件の条件を決める

出店エリアに目星をつけたら、具体的に物件を探す作業に入ります。効率よく物件探しを進めるポイントは、「妥協できる範囲」を決めておくこと。「こういう物件が良い」という理想を追いつつも、現実的には資金計画に合う物件を見つけなくてはいけません。コンセプトやターゲットニーズ、コストなどの観点から多角的に判断し、立地・広さ・賃料などの条件について優先順位を決めておきましょう。初期投資を抑えるために「居抜き」を活用するのも1つの方法です。広く条件に適う物件の現地調査(内見)を繰り返し、候補物件を絞り込んでいきます。

居抜きとは?

物件を借りる際に、前入居者の内装や造作、設備などをそのまま引き継いで活用することを「居抜き」と言います。

通行量を調査する

候補物件が2〜3つに絞られたら通行量を調査しましょう。平日と土日に分けて、予定の営業時間帯に物件の前を通行する人数を計測します。年齢層や属性なども踏まえて来客見込みを予測し、物件選びの最終的な判断材料とします。

フランチャイズの場合

物件探しの方法は自分で選べる

フランチャイズの場合、物件探しの方法には2つのパターンがあります。1つはフランチャイズ本部から紹介してもらう方法、もう1つは独自開業と同様に自分で物件を探す方法です。どちらの方法で物件を探すのかは、基本的に加盟希望者の意思で判断できますが、フランチャイズ本部によってスタンスは異なります。原則として自力での物件探しを不可としているケースもあるので注意しましょう。

フランチャイズ本部から物件を紹介してもらう

フランチャイズ本部から紹介してもらう場合、これまでのノウハウやデータをもとに物件を紹介してもらえるので、あれこれと悩まずに効率よく物件を選ぶことが可能です。フランチャイズ本部によっては、独自のシミュレーションシステムを使って物件のポテンシャルを検証し、精緻な出店計画を作成してくれるところもあるようです。また、新規の空き物件だけでなく、既存のフランチャイズ店舗の引き継ぎを提案されるケースもあります。
この方法は自ら探す必要がないため非常に負担が少なく、不動産の知識がなくても好条件の物件を選べるメリットがありますが、その一方ですべて「人任せ」の他責思考になってしまうリスクもあります。本部からの提案や情報を鵜呑みにせずに、必ず自分の目で物件と周辺環境をチェックし、気になることは必ず本部に確認するようにしましょう。

自力で探す

自力で物件を探す場合は、独自開業と同じくエリアの選定から条件の検討、調査まで自分で行う必要があります。ただし、フランチャイズ本部から適切なアドバイスやサポートを受けられるので、独自開業の場合よりも効率的で安心感があるのは間違いありません。注意点は「テリトリー制」があること。他の加盟店との距離や、本部規定の出店数等により希望エリアで出店できないケースがあるので、自力で探す前に「テリトリー制」の詳細条件を確認しておくと良いでしょう。

事業計画書を作成する

独自開業の場合

資金調達の有無にかかわらず作成する

物件探しを進めながら、事業計画書の作成も同時に行わなくてはいけません。事業計画書とは、これから始める事業の概要(内容や目的)や資金計画(必要資金の計算)、収支計画(収益のシミュレーション)などを具体的にまとめた資料です。金融機関から融資を受ける際に、事業の可能性や採算性を説明するプレゼン資料の役割を果たします。
「資金調達の予定がない」という場合も、開業に必要な資金の把握や事業の改善検討・見直しなどに役立つ資料として、事業計画書は作成しておいたほうが良いでしょう。また、物件契約時に審査書類の1つとして求められるケースも多いため、飲食店を開業する場合は「必須のタスク」と言えます。

資金計画を立てる

いくつか候補物件を絞ったところで、Aという物件なら「物件取得費にいくらかかる」「こんな設備や什器が必要」という開業コストの内訳を具体化していきます。内外装工事については施工業者と相談し、どの程度の費用でどれくらいのことができるのか、しっかりと把握しておきましょう。ここで大切なのは、内外装工事費の上限を決めておくこと。「何に、いくらのコストをかけるか」という予算配分をハッキリと決め、開業コストの総額と資金調達が必要な金額を割り出します。このとき、全体のコストを抑えようと運転資金を削り過ぎないよう注意してください。

収支計画を立てる

候補物件に応じて想定される客数(座席数×満席率)や回転率をもとに、開業後の売上を予測します。飲食店の月間の売上は「客数×回転数×客単価×営業日数」という公式で求められます。この公式を使って計算した売上から、物件の賃料をはじめとする月々の運転コストを差し引いて、収益をシミュレーションしていきます。客単価を調整する必要があれば、メニューの構成や価格を再検討しましょう。収支計画で大切なことは、甘い見込みで予測しないこと。競合調査や通行量調査などのデータに基づく根拠のある数字をもとに算出することが重要です。

フランチャイズの場合

フランチャイズの場合は、フランチャイズ本部のサポートを受けながら事業計画書を作成していきます。場合によってはフランチャイズ本部が作成し、加盟希望者は確認するだけというケースもあるようです。

基本的には、開業にかかる費用の見積もりや収支シミュレーションを自分で行うことはなく、市場データや似たような商圏・物件での出店事例をもとに、フランチャイズ本部が必要な資料や情報を提供してくれます。数字的な根拠に基づく精度の高い事業計画書を作成できるため、金融機関からの信頼を得やすく、融資審査が通りやすいというメリットがあります。

とはいえ、金融機関から融資を受ける際は、自分自身で事業計画書の内容を説明しなくてはいけません。開業資金の内訳や金額の根拠、シミュレーションの裏付けとなるデータなどはしっかりと理解しておく必要があります。計画にムリはないか自分の目で厳しくチェックし、事業計画書を作成する中で疑問があればフランチャイズ本部に細かく確認するようにしましょう。

事業計画書を立てる
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「独自開業」と「フランチャイズ」の違いに関するまとめ

ここまで、「マーケティング調査」の工程として「物件リサーチ」と「事業計画書の作成」という2つの作業を比較&解説してきました。独自開業であろうとフランチャイズであろうと、どちらの作業も必須であることは変わりませんが、フランチャイズの場合は本部のサポートを受けながら、少ない負担で効率的に進められるメリットがあります。

特に、ここで例として取り上げている飲食店開業においては、「立地がすべて」とも言われるほど「物件リサーチ」は非常に重要なポイントです。限られた開業資金の中で、誰もが理想的な物件を見つけられるわけではありません。多くの場合、何かしら妥協をしつつ物件を選定していくことになりますが、個人での判断には限界があります。物件選びに失敗し、経営がうまくいかないケースも少なくないと聞きます。そう考えると、フランチャイズ本部が持つマーケティングデータやノウハウに基づいて、収益が見込める物件を紹介してもらえることや、物件のポテンシャルを見定めてもらえるのは、経営初心者の方にとって極めて大きなアドバンテージと言えるでしょう。

そうしたメリットがある一方で、サポートが手厚い分、「自分が経営者である」という意識が薄れて受け身になってしまうリスクもあります。どんなに収益シミュレーションの結果が良好でも、本人に事業を軌道に乗せる意思がなければ、その通りにいくとは限りません。フランチャイズで開業する場合は、そうしたリスクも自覚しておいたほうが良いでしょう。

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